動機が「やりたいから」ではなく「やったほうがいいから」ならやめておけ、という自論

私は現在、ライティング関係の仕事をしたいと考えている。
未経験からでも気軽に始められる時代で、まだ何も手をつけられていないのは恥ずかしいのだが。
いきなりフリーランスでそれなりの収入を稼ぐなんてのは夢を見すぎだし、勤めていた会社を退職してから半年以上経過して貯金も危うくなってきたので、せめてバイトでも関連する仕事ができないか模索中だ。

そんな中、珍しく未経験OKな正社員の求人を見つけた。
その企業ではライティングだけではなく編集や企画の仕事もがんがん取り組めるようだ。
企業のことをいろいろと調べていくうちに、そこで働く人々も、オフィスの雰囲気や企業理念などもすべて魅力的に見えてきた。
多くのことを経験できて、働くことで豊かになれると感じられたのだ。


働く自分を誇れるか?

ここ一年くらい、多くの求人を見てきたが、仕事内容には興味があっても応募には至らなかった、または途中で辞退した企業がある。

「扱っているコンテンツ自体に興味を持てない」とか、「社長の方がギラギラしたマインドを持っていそう」とか、「アダルトコンテンツやナイトワークをメインで扱っているのに求人ではそれを隠している」とか。
この3例のうちの最後の件については、明記すると応募が来ないから求人には書いてないのかなぁと思いつつ、書いてないということはその仕事に誇りを持てないってことなのか?なんて勘ぐってしまったり。

そんな経験があったからこそ、その企業で、あるいはその仕事をする自分を誇れそうか?というのが重要なポイントになっていた。特に、社員として入社するのであれば。

「今の私にはレベルが高いかもしれないけど、ここで働けたら理想的なライターになれるかもしれない」

そんな風にも思えたので、ダメ元でもいいから応募してみよう!と決めた。

そう、一度は決めたのだが。

結局やめた。
正確に言えば、今このタイミングで応募するのは見送った、ということになる。


その仕事への純粋な意欲

求人内容を見る限り、その企業では「企画」への意欲もかなり重要視されているようだった。

執筆に集中するよりも、企画もできるライターのほうが活躍できそうでいいじゃん!と、わたしのゆるふわな脳みそは考える。

しかし、企画がやりたいのかと問われると…。

その企業の社員インタビュー記事で、別職種からの転職で入社した方が「自分の本気を伝えるため、事前に用意しておいた複数の企画を面接の際に出した」とあった。
もしかしたら、もともと企画を出す必要のある選考だったのかもしれないし、その方が特に企画をやりたいタイプだったのかもしれない。
けれど、私だったらどんな企画を用意するか?どんな企画をやりたいと伝えるか?ということがまったく浮かばなかった。

「やりたいから」という気持ちはなく、「やったほうがいいから」「出来るようになったほうがいいから」としか思っていなかったのである。

ライターとして執筆に集中した場合でも、なにかしらアイデアを出さなければならない場面があるだろう。
私も、別に指示された通りに書くだけのライターになりたいわけじゃない。
それに、企画も「やりたくない」わけではない。

ただ、今の「動機の中に『やりたい』がない」というのを無視するわけにはいかなかった。


選択肢が現れたとき、なにをどう選ぶか

その判断基準は人それぞれだと思う。

以前出会ったある人は、「迷ったときはしんどいほうを選ぶ」と言っていた。彼が師匠から教わったことであり、実行してきて正解だったとも言っていた。
彼の師匠は大成功した人物であり、彼自身も成功者といえる。そう考えるとかなり説得力がある言葉なのだ。

その言葉に従えば、企画をやりたい意思がなくても応募すべきだ。そして、どんな企画をやりたいか考えておくべきだ。
ただ、私の場合、今回のように「やりたい気持ちはないのに出来たほうがいいからという気持ちだけで挑戦」したときには、ことごとく失敗してきた。
失敗の実績が多いのだ。

声優を目指していたころ。
演技力を身につけなければ!と、特に舞台で活躍したい気持ちもないのに声優養成所をやめて劇団に入った。
ちなみに、劇団といっても声優プロダクションと関係のある劇団であり、劇団員時代にゲーム声優の仕事をいただいたこともある。まったく別の道に進んだわけではないことを補足しておく。
しかし、舞台の演技が好きになれず、演じている自分も好きになれずに終わった。

とあるオーディションにて。
少年役を任される声優になりたかった私は、事前に用意された選択式の原稿2つから選んで「少年」の演技を披露する予定だった。
しかし、オーディションの雰囲気から「少女役のほうがウケるかも?」と考え、とっさに変更。
自分としては問題なく演じられたが、自己PRは本来の希望通り「少年役をやりたい」と言ってしまい、アピールしたい演技をなにもアピールせずに終わるというバカなことをしてしまった。
今振り返っても、本当にバカ。結構おおきなチャンスだったんだけどね、このオーディション。

前回の転職活動のとき。
32歳まで定職に就いた経験がなかった私は、意欲だけでもよく見せようとした。
その結果、面接でキャリアプランを聞かれたときに「ゆくゆくはマネジメントも出来るようになりたい」とアピール。
まぁ、これは「やりたい」ではなく「出来るようになりたい」と言っただけだし、嘘はついていない。出来るようになれたらいいなぁとぼんやり思っていたのは事実なので。
結果、この意欲が買われて内定を獲得し、定職に就くことができたのだが。
入社後、すぐに「マネジメントは自分には向いてない」と気づいたものの、ことあるごとに「面接で言ってたよね」と期待を持って接され、実際にマネジメントを任されたときにはメンタルをやらかすことになった。
積極的に取り組みたいと思っていないなら、別に言わなくていいのである。

「自分がやりたいと思うことしかやりたくない」というわけではないが、少なからず自分の中で忖度しているような感覚を覚えたら、それは警鐘なのだ。その道を選ぶのはやめたほうがいい。
ただの甘えでしかないかもしれないけど。
こんなこと言ってるから、転職できないのかもしれないけど。
これが私の判断基準だ。


今回は応募をするのをやめたけど、実際にライターとして経験を積むうちに企画にも注力したくなるタイミングが来るかもしれない。
やっぱりあの企業で働きたい!と強く思う日が来るかもしれない。
そのときが来たら、応募すればいいのだ。
もちろん、都合よく募集がかけられているとは限らないのだけれど。
タイミングが合わなければご縁がなかっただけ。

ただそれだけだ。


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