見出し画像

雑誌編集長からwebに移る、という選択

みなさん、はじめまして。株式会社マイベストの浅沼です。
人生初noteです。というか、Twitterも最近始めたし、ブログ自体の執筆経験も思い返せばないし、tiktokに至っては観るたびに共感性羞恥に飲み込まれる、アンチWeb2.0の申し子な1990年生まれの午年です。あと、ここ数日でメガネと財布と指輪をなくしましたが、本日すべて見つかったのでマジでメリクリ。

そんな僕ですが、2021年の5月に株式会社マイベスト(https://my-best.com)に入社し、今はコンテンツ制作部の部長を務めています。
ド・Webの極み。ど真ん中。それまでは出版社で雑誌を作っていたので、超コペルニクス的展開です。

マイベストは「 インターネットを使った“最高の選択体験”を実現する」 をミッションに掲げ、毎日様々なモノやサービスを比較してます

マイベストでは日々、企画会議などを行ったりしているのですが、さすがはWeb会社、「アドベントカレンダー」なるものを開催することになり、この人生初noteに至っています。そもそも「アドベントカレンダーってなんだよ……」とググりつつ(結局ふわっとしかわからなかった)、聖なる夜24日に担当することになったので、会議の合間に必死で記事を書いているのが今。あと1時間で公開期限なので正直かなり焦ってます。ヤバい。

※執筆後追記:18時の公開なのに20時超えました。会社のみなさま、ごめんなさい。あと、めっちゃ長文になりました。読む人、耐えて!!!

本日まで23人の社員が様々な視点で「選択」について記事を書いてきました。なかでも、金融・サービスチームのマネージャーをしている伊藤さんによる『チー牛に「トッピング」という選択肢』という記事は秀逸。社員を動員して検証するという新卒2年目でマネージャーする優秀さが如実にあらわれてるうえ、なんか適度にチョけてる感じ……Wiseな方向で賢い。
そして栄えある24番目として、制作部の部長として何を書こう……と15分ほど悩んだ末、どストレートに「雑誌編集長からwebに移るという選択」をテーマに、転職の理由から、雑誌とweb(マイベスト)のコンテンツの違いを書くことにします。

若手のホープだけあって、制作部のメンバーを動員して検証する感じ……かっけぇす
https://note.com/fmasyacolor/n/n922c040ac24e

2021年4月まで、雑誌編集長をやってました

そもそも僕個人としての近年最大の選択が、今年5月に行ったマイベストへの「転職」でした。まだ転職して半年ちょっとなのにスピード感早すぎて、少しうろ覚えなのですが、元・雑誌編集長でした。きっと。
新卒で2012年に晋遊舎という会社に入社してから、広告を入れずテストするモノ雑誌「MONOQLO」編集部で8年間働き編集長に、その後、兄弟誌である「家電批評」で編集長をして……たと思います。
入社してすぐに大量のページを担当させられ会社に住み込み、特集を任せられるようになると、ライザップを覆面調査して20kgほど痩せながら徹夜で校了して嘔吐したり、iPhoneに鉄球を落下させて耐久性を比較したりと、日用品から家電、金融・サービスまで、コスメ以外はほぼすべての商材の記事を編集&執筆。
「MONOQLO」の副編集長あたりからは、次号の台割や表紙を作っては校了し(毎回なぜか最後は徹夜)、数字をみては一喜一憂し、エンドレスに毎月雑誌を作り続けてきました。

ちなみに、締切間近は睡眠もできず毎月ツラすぎて「こんなクソ仕事、絶対やめてやる」と思ったり会議室で叫んだりするのですが、校了して飲みに行って、爆睡して目が覚めると強烈な脳内麻薬により気持ちよくなって、出来上がった雑誌をみつつ、また次号を作り始めるアレ、編集者あるあるだと思うんですが、何だったんですかね。基本雑誌編集者ってドMです。

 部下に隠し撮りされた、校了直前の待ち時間の顔。たぶん年末進行(年末の取次や書店の関係で締切が早い)で3日くらい会社で過ごした果ての姿


9年間編集して気づいた、「雑誌」という媒体の悩み

ライザップは月刊誌で特集した翌年、ムックとしても出すことになったので、2年連続で覆面調査しました。痩せる→リバウンド→痩せる→リバウンドで、むしろ太るという結果に

自分で書くのもアレですが、今まで「モノを比較して、本音で生活に役立つ商品を紹介する」というポリシーのもと、約160ページの紙の束の編集という行為にかなり極限まで向き合ってきました(そのおかげで、ストレスで腎臓から三半規管などなど、様々な部位を痛めましたが)。

「今読者が潜在的に気になっているテーマは何なのか?」「どんな言葉を表紙に使えば人は手に取るか」から「まだ知られてない良いものはないのか」「この商材を比較する場合、ユーザーは何が知りたいのか」まで、寝るとき以外は思考&情報収集し続ける9年間でした。最後の方で気づいたんですが、結局答えなんてないので、マグロのように泳ぎ続けるしかないんですけどね。
その中で「家電批評」の編集長あたりからテストするモノ雑誌、ないし、雑誌という媒体の限界を意識するようになりました。
特によく思っていたことを3つ、紹介します。

①「想定読者は30〜40代男性」に限界を感じていた

男性誌の棚。スマホの写真アプリに何故か入っていたけど、どういう意図で撮影したんだろ

『男性・女性、両方のターゲットは厳しいよ』

「MONOQLO」編集部で編集長になった直後、雑誌のコンセプトを見直していたときに、社内でかけられた言葉です。
テレビでも、雑誌でも、基本的にメディアはメインターゲットを定めて作られます。例えば、ananなら女性30代の女性だったり(多分)、日経トレンディだったら30〜40代の男性ビジネスマンだったり(多分)。そのうえで、「ライフスタイル誌」「ファッション誌」などジャンルも定めます。

「MONOQLO」の場合は30〜40代男性、かつ、モノがかなり好きである人がターゲットでした。そのうえで「ライフスタイル誌」。そのターゲットを念頭に特集や表紙、見出し、商品選定などを考えてきます。
もちろん、ターゲットによって欲しい情報は違うので理にかなった作り方ではあるのですが、「MONOQLO」は趣味趣向関係なく、日用品から食品、家電製品などをストレートに機能性で比較して良いものを伝える雑誌でした。ジェンダーや年齢によるターゲティングがとても邪魔でした。だって、みんなふつーに生活してるじゃん。的な。
ただ、書店やコンビニではターゲットや種類によって棚が決められ、多くの人に訴求するのがとても難しいんです。せっかくみんなに役立つものを見つけても、手にとってもらえないと、伝わらない。「この食器スポンジ、良いものなのになぁ……」的なことがとても多かった記憶があります。
(結局、ターゲットを男女両方にしました。売上的にも、間違ってなかった選択だと思ってます)

②人それぞれの「ベストバイ」があるけど紙面狭くて1位のみ

適切な写真がなかったので、近所の二郎系まぜそばを。僕にとってベストバイですが、人によっては全く好みじゃない……ですよね

経験した2誌ともに、広告を入れずにモノを比較するという雑誌だったので様々なジャンルの1位を毎月紹介しました。スマートフォンで性能No.1は? 一番汚れが落ちる衣類洗剤は? タイに行くのに一番良いLCCは? などなど。
でも、読者には様々な人がいます。めっちゃ高給取りの人やお金があまりない人、子どもが生まれたばっかりで睡眠不足な人やめっちゃ寝てる人、また、脂性肌の人や乾燥肌の人など。

その人たちすべてにベストな商品って、なかなか無いんですよね。
属性でなく選ぶ視点でも、機能性か、価格か、デザインか。人それぞれ。たくさんテストをしているのでそのための情報はあるのに、雑誌の場合は紙面のサイズや紙であることの特性上「一番良いもの」をわかりやすく伝えるしかない。
毎月毎月もったいないな、と思いながら紙面を作っていました。


③「毎年2月以外には空気清浄機紹介しづらい」問題

写真なさすぎるので、実家の愛猫。先代猫が亡くなってから、かなり乱暴な性格に

正直なところ、最近雑誌って、売れていません。部数、全体的に下がりまくっています。悲しいし、ヤバいです。
そんななか、仕事なので毎月・年12冊を世の中に送り出さないといけないのが雑誌編集者です。そして、書店からの返本率次第ではより部数が下がっていきジリ貧になる負のスパイラルが業界全体で起こっています。
(なので、本の中身よりも付録の斬新さやコスパで訴求して、月間誌でなくムックとして売り切る、T社のビジネスモデルがコンビニでは氾濫してます)

すると、どうなるか。やっぱりある程度、実績のある特集は固定月に繰り返してやるようになります。それがジリ貧の大本なのですが、仕事なので仕方ない、的な。
僕はどちらかというと、新しい大特集を作るのが好きだったのですが、さすがに新生活&花粉の時期に空気清浄機をやったりなど、季節性やトレンド、あるいは実績的にルーチンとしてやる特集はありました。

ただ、よく考えるとモヤモヤする部分も。
空気清浄機、たしかに花粉が舞う前にやるのが適切だけど、夏や冬に欲しい人もいるじゃん、とか。1年に1回しか特集しないので毎年新しく作り直すのって誰も得してないんじゃね? とか。

偶発的に良いものに出会えるという雑誌の特性上、仕方がない部分ではあるけれど、本当に良いものを紹介したいという気持ちと結構なすれ違いがありました。比較するのも、コンテンツ作るのも好きだけれど、本当にこれで良いのかな? 的な。


そんな3つの悩みが解決した。それが転職の理由

入社の経緯は、wantedlyのインタビューでも話したから会社から怒られない……はず
https://www.wantedly.com/companies/my-best/post_articles/327948

そんなモヤモヤを持ちつつ、「家電批評」の編集長としてiPad特集号を作っているあたりにマイベストの代表・吉川に声をかけてもらいました。
当時、マイベスト自体は「似たようなことやってるなー」程度の認識で正直一切入る気はなかったのですが、何回かお話をすることに(思い返すと当時めちゃくちゃな態度だった気が。吉川さん、この場を借りてお詫びします)。

で、何が起こったかというと、上の3つの悩みがすべて解決されているのがwebであり、マイベストでした。

①「想定読者30〜40代男性」に限界を感じていた
→記事ごとでターゲット全部変えられる(マイベスト)

コーヒーミルから、チークブラシ、取り寄せ食品……などなどジャンル感とてつもないです

書いてあるとおり。
マッチングサービスに向けて邁進しているマイベストですが、今は検索流入が主です。目指す先はマイベストの指名使いなのですが、現状は商材ごとにユーザーが検索して、マイベストが表示される、という仕組みです。
つまりはマイベスト自体がターゲットを定めて発信するのではなく、すべての人がターゲットであるサービスとして存在しています。コスメから食品、金融商材、介護グッズなどなど。ターゲットに制限されて、商材を絞る必要がありません。
これって、結構すごいことだよなぁ。と説明を改めて受けて感動した覚えがあります。

②人それぞれの「ベストバイ」があるけど紙面狭くて1位のみ
→人の属性によって可変的にベストが変わる(マイベスト)

「おすすめ人気ランキング」の下の部分です! マイベスト使う際に要チェック!

これはマイベスト独自ですが、マイベストが目指しているのはマッチングサービスです(2度目)。比較検証したデータをきちんと蓄積&整理し、現在でも「クラスタリング」という機能でコスパや機能性などなど様々なニーズによってランキングを変えることが可能です(マジで便利なので、使ってみてください)。
ただ、その先にある未来は、ユーザーのデータを蓄積して、日用品から家電・金融商材まで自動で「それぞれにとってのベスト」が提案されるサービス。
めっちゃ便利。今までの悩み全解決。僕自身の人生のミッションが「良いものを見つけて、それを多くの人に紹介して、みんなのQOLを上げたい」というものなので、ドンピシャでした。

③「毎年2月以外には空気清浄機紹介しづらい」問題
→常に商品を追加して更新していける(マイベスト)

夏とかでも部屋が臭くなって、空気清浄機欲しくなりません? 僕は今年、夏に購入しました

ここも革新的です。
評価方法を一定にして、商品が出るたびに追加して検証、その結果が相対的にもわかるというもの。新しいスマホが出たら、それ自体のレビューだけでなく、性能として今までのスマホとどう違ってどれくらいのものなのかわかる仕組みになっています。
実は雑誌でも何度かチャレンジしましたが、やっぱり難しいんですよね。だって、160ページくらいの中で、毎月空気清浄機のランキングが4ページくらい載っていても……微妙じゃないですか。
ページやスペースの制約がなく、印刷所不要でいつでも更新できるというWeb、かつ、コンテンツ制作に重きをおいているマイベストならではの手法だと思っています。

+α 必要としてくれたから(マイベスト)

今年の忘年会の様子。5年目の企業ですがめっちゃ勢いあって、正直戸惑うことも多いです
(感染対策はきちんとしています。一応)

最後の決め手はこれでした。
細かい話ですが、日本におけるモノを比較するメディアというのは、①花森安治さんが作った「暮しの手帖」(ドラマ、とと姉ちゃんのモデル)、②日経BPの「日経トレンディ」(特にゼロ年代ごろ)、③晋遊舎の比較系雑誌(全媒体、創刊者は同じ編集者でした)がメインストリームだと認識しています。その末席を担わせてもらっていたのが僕でした。

そして、何回目かの代表・吉川との面談のあと、現場のマネージャー(編集長的なポジション)と対面したときに、
「あぁ、なんか今まで自分のために仕事をしていたけど、求められる場所で仕事してみるのも良いなぁ」
と思って、転職を決意しました。

なんか、久々に文章書いたなぁ。

と、気がつけば6000字超えて、締切は2時間超えてしまったのですが、これが僕が雑誌編集長からWebへの転職を選択した理由です。

周りを見渡すと、クリスマスイヴだからか続々みんなが帰っていっているので、そろそろ帰ります。
2021年、バイク買って、転職して、コロナでリモートもしつつ、朝型になってと激動だった気がするけど、来年はマイベストをよくしていくためにもっと頑張りたいと思っています。

では、メリークリスマス。今年もお疲れさまでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?