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アメリカ珍旅行記 英語を全く話せない男が一人旅でアメリカに行った話(5)

ロサンゼルスへ旅行が決まった際、事前に行きたい場所のリサーチはしてあった。どうせならロサンゼルスに来ないと行けない場所へ行きたい。
おばあさんの裸を拝んだ後、僕はハリウッド方面へ向かった。

バーで知り合ったインド人に教えてもらった通りのバスに乗り、バスの路線図をゲット。外の景色を楽しみながらのんびりと道中を楽しんだ。

遠くの方にハリウッドの文字が見えてきたので少し手前で降り、歩いて向かうことにした。お昼も過ぎている時間、事前に調べて絶対に行こうと決めていたタコス屋さんが途中にあるのでそこに向かうためだ。

途中でホームレスに絡まれた。
僕をけなしながら金をせびっているようだった。
どうにも怖くなり走って逃げることにした。
こうしてタコス屋さんを見失った。

ハリウッドの文字を頼りに3キロほど歩いた頃、ようやくハリウッドらしい活気のある場所へと到着した。とにかく腹が減った。どこもかしこも人がいて混雑している。
オススメのお店を聞こうにも英語が喋れない。
携帯で調べようにもWifiの電池が切れている。
陽気な外国人を横目に、僕はハリウッドを後にした。

湿気が無い分過ごしやすいと言われてはいたものの、気温はしっかり夏。
帽子もサングラスもしていない僕はうなる暑さにたまらず木陰で座り込んだ。

ヴォォオーーーン

しばらくうつむいていると、目の前にやたらうるさいSUVの車が停車した。
顔を上げるとそこには見慣れないブロンドヘアーで背の高い女性が僕を見ている。
英語なので何と言っているのかは分からないが、おそらく助けてくれようとしているのだろう。ありがたい。
僕はジェスチャーと分かる範囲の英語で気になっていたタコス屋へ連れて行ってもらいたいと伝えた。

するとその女性は
「私もまだお昼は食べてないわ!一緒に食べましょう!」
と言ったのかは分からないがそのような顔で僕を車に乗せてくれた。

決して美人という訳ではないのだが、これだけ親切にしてもらうと少なからずドキドキする。
そして何か裏があるんじゃないかと不安になりながらも、彼女は目的地に向けて車を発進させた。

しばらくすると車が停車した。
彼女にもう一度お礼を言い、一緒に車から降りた。
そこには確かにタコスの店がある。確かにタコスのお店だ。

「TACO BELL」

どうやら僕はまたしてもうまく伝えることができなかったらしい。
日本でも散々食べているタコベルをここでも食べることになるとは思わなかった。

しかし折角この彼女が連れて来てくれたんだ。
本当にお腹も減っている。多分、一緒に食べようと言ってくれた。

もう一度お礼をいい店内に入ろうとすると、彼女は車で去っていった。

現在地が分からなくなった僕は一人でお店に入り、タコベルで食事をとった。
日本では到底味わう事のできない何とも言えない味だった。


続く


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