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美味しく飲んで、意識せずいつの間にか健康に。カテゴリー・クリエイターへの挑戦 Vol.20

さて、その頃になると、I橋との関係の整理にも目処がついてきていた。

これまでの間で、やはり彼は幾つか問題を起こしていた。あたかも当社の指示の元に行なっているかの様に装い、そしてこちらには対しては、まるで当社の為になることの様に言い繕いながら、サーバーメンテナンス工場の立ち上げのコンサルをして手数料を荒稼ぎしていた。
また、鹿児島県の水関係のブローカーらしい人物を、明らかに融資が実行され易くする為に、わざわざ銀行員を伴って上京させ、当社に引き合わせてきたりしたが、これには、「お前、ふざけんなよ!」と、あからさまに大いに怒ってみせた。

また、彼が仕入れたウォーターサーバーの一部が、曰く付きのもので本来転売してはならないものだったり、という掟破りなこともしていたことも判った。

その、他人の迷惑より己の利潤という、単純バカで節操のない態度は勿論許せなかったが、それより何より計画未達が甚だしく非道い。
私は2012年3月を以て固定報酬を打ち切りとし、4月からは成功報酬にすると言い渡し、ようやく三行半を下した。

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それは、ウォーターサーバーの仕入業者に関して、一応の伝手が出来たから行なえたことではあった。
I橋が契約した筈の代理店達ですら、彼に対してすっかり不信感を募らせていた状態であったのだが、その代理店の一社がサーバー仕入れが可能な会社を紹介をしてきたのであった。

その会社の社長であるKは、I橋と同様、東海地区のアクアクララで水業界に入ってきた者で、I橋のことも知っていた。
同じ穴のムジナの気配はあったが、I橋よりはまだマシだった。

ただし、事業スキームに於ける重要な変更を必要とされた。
K曰く、中古のウォーターサーバーを使うことには、元々調達に関して無理がある、と言う。
これまでの経緯からして、そのこと自体には異論は無い。
しかし、新品サーバーを仕入れすることに切り替えるのは、コストアップに直結する。
十分な売上高を獲得出来ていない現在の状態に於いては、決して嬉しくはない選択肢であったが、仕方がなかった。

I橋の様な流れ者のブローカーではなく、長年ウォーターサーバーの輸入・販売を行なってきた会社だけあって、信頼性はともかく、Kは業界でのルートを或る程度持っていた。
サーバーメンテナンス工場や、殺菌・除菌に関する会社、MCM原液を製造出来る会社、また、それまで簡易的なシステムでこなしていた顧客管理・受発注システムについても、ウォーターサーバー業界用に作られたアプリケーションを提供している会社の紹介も受けることとなった。
I橋とやっと手を切り、Kというサーバー仕入れ業者と取引を開始。そうして2012年4月下旬、新品のウォーターサーバーを購入し、その出荷を開始した。

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顧客獲得の為の施策は続く。
ありがちなものではあったが、競業他社たちのセオリー通り、初回半額キャンペーンや紹介キャンペーンを展開した。
ケーブルテレビのJ:COMでは、幾つかのサンプリング番組で視聴者プレゼントキャンペーンと謳い、一ヶ月無料でのお試しを先着200名で募り、並行してCM放送も行なった。
また、東急線全線や病棟待合室、大宮市、立川市、福岡天神など地方の駅前の大型デジタルサイネージでも15秒、若しくは30秒のCM広告を流した。

その、初めて制作したCM動画がこれ。
期間の余裕も無く、慌てて作ったので、随分とモッサリとしたモノになってしまったが、まぁ、仕方が無い。


2012年6月、それまで掛け持ちで事務局長を務めていたビジネス団体の会員数は600社に迫ろうとしていた。
水事業と並行して少しずつ規模を拡大してきたのだが、パワーバランスをおかしくしての共倒れを避ける為にも運営者を切り分けようということとなった。
ビジナス団体の方には、私の他にも関わっている事務局の人間がそこそこ居たのだが、水事業は私の専門職と言えた。S藤取締役に任せるという選択肢も論外だ。当然のこと。

私は水事業を担当することを選択し、ビジネス団体の運営からは一切手を引くこととしたのだった。


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