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美味しく飲んで、意識せずいつの間にか健康に。カテゴリー・クリエイターへの挑戦 Vol.48

宅配便は、そもそもヤマト運輸のボンボン二代目である小倉昌男が発明したものだ。発明の経緯やボンボンっぷりについて詳しくお知りになりたい方は、小倉氏に関する書籍は多く出回っているので、どうぞそちらをお読みいただきたい。

とにかく、従来の三越などを相手とする大口配送便の仕事に先行きの不安を抱えていた小倉氏は、それまでタブー視され続けていた小口配送というものに目を向けた。
バラバラと個人から一点ずつ荷物を掻き集めるのは商売にならない。この定説に対し、一人ひとりではなく、一定の広さの地域に存在する荷物を顧客として捉えた場合には、実は潜在ニーズがあるのではないかと言い出し、戦略変更を唱えた小倉氏の下、ヤマト運輸はこれに着手した。

規制解除など郵政省と激しいバトルを展開しながらも拡がりを見せていた宅配便事業に、佐川急便、日本郵便らが参入し、ヤマト運輸の背中を追い始めた結果、この三社が全国規模での宅配業社として三強となった。

雰囲気としては、クオリティのヤマト、低価格の佐川、地道なゆうパックという感じで、それぞれシェア拡大に励み、価格競争でも凌ぎを削っていた訳だが、世の趨勢により、残業代未払いの問題が次第に問題視される様になり、いよいよ無視出来なくなったということで、リーディングカンパニーであるヤマト運輸が、これまでの態度を一変させたということなのである。

そう、恥ずかしげもなく、それはもう堂々と。

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宅配水市場だけではなく、EC事業者の全てに衝撃が走った。通販では「送料無料!」と言及することは、もっぱら当たり前的なツールであったのだ。
しかしながら、送料値上げは相当な額で圧倒的、しかも宅配会社は容赦もクソもなく一方的。
流石に立ちいかなくなっていった各通販事業者は、恐る恐る送料無料の看板を外しだしていかざるを得なかった。

その負担は、結局顧客に振り替えられることとなる。
そして不満を生む。
大衆の不満はマスコミにとって絶好の餌だ。
当然、連日テレビなどで送料値上げや、それによる商品金額自体の値上げ、または値段は据え置きながら、こっそりひっそりと内容量を減らすという「ステルス値上げ」などが報じられた。

通販の物流増加と、Amazonの過剰な早期配送などが呼び込んだ「物流クライシス」は、「送料が掛かるのなら近くの店で買っちゃるわ」という逆転傾向も見せ、100円均一ショップの出店が増えだしたという報道もあったりもしたが、しかし一度覚えた利便性からは、人はなかなか抜け出せない。通販事業が大きく傾ぐことはない。

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恥ずべきは、その様な社会情勢を生み出した当の張本人であるヤマトホールディングスの各子会社の社長達が寄せ集まって、弁明書とでも言うべき書籍をわざわざ出版したことだろう。その内容は、何故値上げするのかの言い訳に終始しており、実にくだらない。そして、小倉昌男が掲げたという「利益は後、サービス第一」という言葉を持ち出し、「これは飽くまで『後』であり、放棄している訳ではない」などど、馬鹿なことまで書き記している。

そう、またも恥ずかしげもなく、これまたそれはもう堂々と。

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これまで、通販といえば「送料無料」、という認識が一般にまかり通っていたのが、「あ、送料って掛かるんだ」と、塗り変わったこと自体については悪いことではないと思っているのだが、状況はそれどころではない。
宅配業界の三強らが足並みを揃えての値上げ攻勢は強硬であり、また容赦が無い。送料改定は一度切りではなく今後も続くと、ふてぶてしくも通販会社各社へ迫り続けた。
その矛先は、勿論我が社とて例外ではなかった。


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