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美味しく飲んで、意識せずいつの間にか健康に。カテゴリー・クリエイターへの挑戦 Vol.29

またその頃、言えば誰でも知っている東証一部企業の営業会社から、我々にアプローチがあった。ウォーターサーバーの新規設置獲得の営業についてだ。

勿論、彼らのガリガリな営業っぷりは知っていたので、その販売力については我々としても願ってもないことだったのだが、問題は彼らの求める販売手数料率の高さだった。
当たり前のことだが、損してまで新規顧客を得ても仕方がない。しかし、我々には社内に於ける周囲からのプレッシャーがねっとりと絶えずつきまとっていた。事業存続が掛かっていた。

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何とか交渉と工夫を重ね、薄利ではあるが粗利を確保出来る形を作った上で、我々はその営業会社と代理店契約をしたのだった。そして、彼らは自らのグループ企業達へ案件を落とし込んだのだったが、その実務内容はなんだか全然知らないがグループ間の調整やシステムの作り込みに数ヶ月間を要し、結果的に彼らが稼働を始めたのは2014年1月20日となった。

その結果は凄まじいもので、一ヶ月間で1,000軒を獲得してきた。
彼らのコールセンターで、お客様への受注確認の念押し作業を挟む必要があるとのことで、我々に設置先の情報が到達するまでにはタイムラグがあり、日に30〜50軒程ずつとなったのではあったが、新規設置の依頼が毎日どんどんとやってきた。

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だが、彼らのパワーに改めて感心したのも、そして喜んだのもホンの、本当にちょっぴりの束の間であった。
彼ら営業会社が獲得してきてサーバーをお届けしたお客様から、立て続けに解約依頼の連絡がやってきたのだ。中には、設置したその日に解約を申し出てくるお客までいた。
どういうことなのか、何が起こっていると言うのか。
ちんぷんかんぷん、というヤツだったが、解約を申し出てきたお客達の口っぷりから、その訳はすぐに判った。

営業会社の営業マン達のセールストークは、「無料で12リットルのお水2本を飲めるので、すぐに解約してもいいから、とにかくサーバーを一度置かせてください」と言うものだったのだ。
さらに説明が必要だろう。つまり、「ウォーターサーバーを設置すれば、お客様にキャッシュバックが有ります。そのキャッシュバックでサーバー解約料を賄えるので、実質無料です」などと言っていたのだ。

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そんなやり方でも、彼らセールスマンとしては、顧客を獲得した実績としてカウントされ、営業報酬を得ることが出来るらしい。
お客様にしても、そんな条件だから我々に対して解約料を支払うことに抵抗も無い。
いや待て。一番損するのは誰でもない営業会社自身ではないか。キャッシュバックをお客様に払うわ、セールスマンに報酬は払うわで、獲得するごとに確実に、間違いなく損失が発生するではないか。
何故そんなやり方をするのだ? 自分で自分が損する様に仕向けるなんて、そんなこと馬鹿馬鹿しい限りではないか。

いやいや待て待て、待ってくれ。
当社としては、解約料が入るので損失こそしないが、だからと言ってそれで済む話ではない。
大損まではしないものの、設置して即解約されるなどとは、そんなことは少しも望んではいない。我々は、継続して商品を供給することで利益を得ることこそが望みなのだ。誰でも判る話ではあるまいか。

しかも、しかもだ! とりわけ(バカで)荒っぽいセールスマンとのやり取りをしたお客の中には、「なんにも掛からないから、置けって言われた」と言い張る様な方や、数ヶ月経ち、毎月お水を受け取り続けたにも拘らず、「無料って聞いている」と言いだし、一向に代金を払わない者も少なからずいたので尚更だ。

HSアシスト様1

こんな誰も喜ばないやり方をされては冗談ではない。
我々は早速、その営業会社の担当者達に抗議をした。
「君たちだって全然嬉しくあるまい。直ちに社内に修正を働きかけよ!」と。
だが、彼ら下っ端の出来損ない達は、返事こそ良いが実行が伴わない。そして走り出した現場は止まる事を知らない。暴走一直線だ。
なるべく善処するので、既に獲得してしまった受注はともかく設置をしてくれないと困ると、一方的な言い方であった。
「はぇ?なんだそりゃあ」
そう思っても不思議でもなんでもあるまい。

だが、彼らの役立たずっぷりは、こちらの言うことへよりも、社内へおもねることの方に優先度を高めさせるのであった。幾ら我々の主張が正しかろうとも、彼らが挫けることはない。何故なら、そう、彼らはボンクラだからだ。


諦めた。バカに何を言おうが始まらない。代理店契約書の存在を盾に、訴訟問題に発展してもかなわない。
下手すればやりかねない。だって、彼らはバカなんだもん。

新規設置先の全員がそんなふざけたお客ばかりではなく、割合的には少ないながらも真っ当な顧客となった方もいた事と、彼らバカ軍団が営業活動の改善を約束してきた為、取り敢えずは継続を承知し、我々は一旦様子を見ることにした。


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