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美味しく飲んで、意識せずいつの間にか健康に。カテゴリー・クリエイターへの挑戦 Vol.15

営業の甲斐有って、と言うかS会長の口添えが有って、S会長のメインの会社の店舗にウォーターサーバーを置いていただけることとなった。
全国約260店舗の内、北海道から東海地区まで、ざっと120台ほどだった。

ここで、既にI橋の掲げたストラクチャーに綻びが生じ始めた。ウォーターサーバーの調達に時間をくれと言ってきたのだ。
こらこら。
この程度の台数でまごつくのであれば、I橋が作成したあのバラ色の事業計画はなんだと言うのだろう。とても達成出来る筈が無いではないか。
その点を指摘してみても、I橋は「すぐやります」と言うばかり。そして、程なくして新古品を見つけたと言ってきたので、この際は事なきを得たのだが、私は、こんなヤツの作った仕組み上でビジネスを進めることの恐ろしさに憂いた。

なるべく早くこいつと縁を切らねばならない。だが、焦りは禁物だ。その為には、I橋抜きでも商品供給が成り立つ様にしなければならない。しかし、イニシアチブはこちらにあるという構えだけは貫かねば危険だと思い、「頼りにしている」という態度だけはとらぬ様にと心構え、彼に対した。

そんなこんなで、ありがたいことに2011年7月には約140店舗に設置が完了。グループ内ということで、大幅な値引きをせざる得なかったのはやや苦しいところだったものの、これでやっと設置総数も三桁となった。

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この頃、全く別のプロダクトが突然立ち上がってしまった。
東日本大震災の際に起きた福島原発事故。
放射性ヨウ素の飛沫によって、大勢の子供たちが甲状腺がんに罹ったチェルノブイリの悲劇を繰り返さない為に、天然ヨウ素を多く含んだ真昆布粉末と、MCMを半分ずつ混ぜた新サプリメントを無償配布するというものだった。
放射性ヨウ素を体内に摂り込んだとしても、先に天然ヨウ素を摂取していればスルーされ、甲状腺がんに罹らずとも済むという寸法だ。

提案者はMCMの開発者である小椋博士で、それを受けて社会支援の為に資金を供出したのはS会長の会社。当社の役割は、20,000袋の製品化とその配布の支援だ。
私は、2011年5月頃から6月までは製品化を監督し、その後は福島県の各市や避難施設などを訪れ、配布策を協議して廻った。

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しかし、この時に思い知らされたのは、お役人根性の情けなさであった。
或る市に於いては、市長に大歓迎されたので早速大量に現物をお送りしたところ、一ヶ月経っても二ヶ月経っても一向に配布実行の報告がいただけなかった。そこで問い合わせをすると、返ってきた答えはこうだ。
「子供に配布するというのであれば、教育委員会の許可が必要なのだが、それがまだ・・・」

また、500人近くの避難民が生活していた或る大規模な避難所に説明に訪問した際も、非常にありがたいと賞賛され、一旦は調達係と話がついたにも拘らず、いざ配布の当日に「県の保健局の許可は得たのかと配膳係りに指摘を受けた」とのことで中止とされた。

うんざりした私は、それぞれに対し、「もう結構だから、製品を返してくれ」と言った。

お試し


因みに、当時はビジネス団体の会員の中にも東日本大震災の復興支援をしていた人々がいたが、やはり役人の不甲斐なさや理不尽な出来事に対し、呆れながらも怒りを露わにしていたものだった。
例えば仮設住宅の設営は、ゼネコンが一手に引き受け、下請け各社に卸すが、下請け業者には技術的にも道徳的(こっちがより大問題)にもレベルのバラツキがあって、建物の当たり外れが酷かったらしい。出来上がりのチェックを役所がしていないばかりか、建設業であるその会員企業が現地に赴き、役所へオンボロ加減を報告してもナシのつぶてで、何もしやしない。
仕方がないから、彼は「うちの会社が勝手に自分の判断でやるのは良いですよね?」と念押しした上で、自社の責任に於いて仮設住宅の補修をすることをボランティアで行なったそうだ。

この世の綻びというものは、まったく、どうしたものなんだろう。


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