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Rambling Noise Vol.23 「メルマガナイトへGo ahead! その11」

深夜の下谷警察署。
取り調べを終え、指紋を取られて解放されたアサノさんは、ささやかな報復行動に打って出た。
それはどんな悪どいことかと申しますとー。

帰り際に署内のトイレをちょちょちょと拝借。
ストッカーのものも合わせて、トイレットペーパーをちゃっちゃかと残らず掠め取り、在庫をゼロにしてやった。
そうして頂いたペーパー達をトレンチコートの下に潜り込ませ、何食わぬ顔で警察署を後にしたのでごわした。
簡単に隠せて、冬で助かったね、アサノさん。

いや、そうじゃない。


セコっっっ。ささやかってなもんじゃないですよ。セコ過ぎる。
しかもそりゃもう立派な窃盗で、罪に罪を重ねてるし、すっかり犯罪者じゃないですか。このダメ人間

しかし、この時のアサノさんには、そんな事には頓着する気などちっとも無かった。どうしても実行せねばならないとびきり大事な理由が有ったのだ。
調書を取られている時点から、これは良い機会なんじゃない? と思い始め、すっかりその考えに取り憑かれたアサノさんは、そいつをキッチリやり通したまでの話。

若き日のアサノさんのココロの師匠の一人であった、松田優作主演の『ヨコハマBJブルース』という映画をご存知だろうか。

知らない。あっそう。


脚本 丸山昇一、監督 工藤栄一。

判らない。んーそう。


劇中、暴力組織のボスのお部屋で、或る事に憤った松田優作扮するBJという男が、帰り際にトイレを借りて一人小規模に暴れ、ついでにトイレットペーパーを頂戴してウサを晴らすというシーンがおいおいまねっこやんー

「だって、すんなり帰るの悔しかったんですもーん。似た様なシチュエーションだし、優作とおんなじこともしたかったんですもーん」

はいはい。良かったですねー。気が済みましたねー?

「でも、優作はパクったトイペを、戯れに紙テープの要領で大岡川にみんな投げ捨てちゃったけど、オレは持って帰ってちゃんと使ったもんね」


はいはい。偉いですねー。家計のタシになりましたねー?

そんなアサノさんにも、いつかは大人の階段昇る、そんな日がやって来るのだろうか。
それとも、君はまだシンデレラ?
いやいや、しあわせは誰かがきっと運んでくれると信じてるなんてこた、とっくにないから違うな。
(by H2O)

ていうか、なんですの、これ。
結局アレじゃないですか。松田優作の事しか言うてないやないですか。

んん? 優作ばっかなんて、そんなことないじゃんて、なんのこと?
警察からブツを奪い取ったなんて話、ちょっとイカしてないかって?

ちょっとイカれとるわ。


(続く)

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