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Rambling Noise Vol.67 「メルマガナイトへGo ahead! その53」

デカダンスに加えてアイロニー。


そんなふてくされ少年だったアサノさんは、やがて高校卒業と同時に上京するが、公務員に就職したり、なまっちょろい親方日の丸の世界に飽いて辞めてしまったり、夜の世界に転じてみたり、警察にちょこっと捕まったり(いやいやダメよダメダメ。あ、前科は無いですよ)、再就職したりと、そうやって毎日を過ごしていくなかで、一旦ぼんやりと薄まってしまった想いは、消えることはなくとも燃え上がりもしない。

ここで再びの堀江貴文さんの著書『最大化の超習慣』。
P25、『3「楽しそう」と「楽しい」はまったくの別物」の節。

「「いつかやる」タグをつけて脳内に保留してしまう。そして未処理のままタグを溜め続け、「いつかやる」はだんだん「やれたら、やりたい」に変わり、最後には「やりたいことなんて特にないなあ・・・・・・」と思考停止に陥る」


そうして、「まぁ、いつかは・・・」と何年間も燻り続けていたアサノさんであったが、目の前の些事を理由として、いや、言い訳にしているだけに過ぎない自分に唐突に嫌気が差した。
このまんま何もせず、宙ぶらりんで終わってはいけないとの思いに至った。
「喝だっ! とりゃああああ!!」

おっとと。


勿論、時間はそれなりに要したのだが、或る時期アサノさんは、漫画を描き上げては何作か出版社へと持ち込みを続けた。
そんなアサノさんに、何回か作品を見てくれた編集者はこう言った。

「今、或る程度収入があるのだったら、これからアシスタントになって下積みで苦労することはオススメできないよ」

・・・うーんと。
過去を悔いても意味は無い。
無駄に時を遊ばせてしまったのは、誰でもない自分自身なのだ。

ほんと、後悔は役に立たず。

ちゃうちゃう、おっちゃん、そこ!間違っとるで!

やることはやったのだ。ま、もういいでしょう・・・。
気分爽快というワケでは勿論なく、鬱屈した気分ではあったが、アサノさんはとにかくここいらで踏ん切りをつけた。

いや、事実と真実は違う。


アサノさんは漫画家への道を絶った。これは事実。
その真実とは、じゅくじゅくとハッキリしないままにいたお陰で、自ら目標を捨てざるを得なくしただけということだ。
そんな惨めったらしいアサノさんにこの歌を贈ろう。


答えなら死んだと風が嘲った
そんな事 俺は知ってた
それなのに痛みが止まらないのさ
瞳も凍る この街
胸に狂った太陽 世界を燃やせ
夢は朽ちても
忘れはしない

世界を燃やせ
花は枯れても
泣いたりしない
(吉川晃司『狂った太陽』より)

(続く)

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