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『シン・営業力』 作者:天野眞也

事業会社の経営者である私にとってみれば、営業力と謳われては気になるところ。ましてや、”シン”と、ややパクリ気味の枕詞が付いていれば尚更だ。最新の事情には常に敏感でいたい。

さて、著者は製造業の会社に新卒採用され、以後18年に亘って営業職を務め、そこで営業の力を磨いた。

営業と言えば、大事なのは「コミュニケーション能力に長けている」とか、「話し方が上手い」といったことに捉われがちだが、本書では、「対人折衝力」が特に必要と言われてきた「従来の営業力」ではなく、これからの時代にこそ求められる営業力を「シン・営業力」と定義し、選ばれ続ける営業、つまり「営業しない営業」になるための独自メソッドを紹介すると言う。

なぜ今、「営業力」を再定義するべきなのか? それは、「営業は、売ることが仕事である」という価値観では到底通用しない時代になっているからであるとも説く。

「こちらが営業しようと思ってないのに、お客様のほうから買いたいと言ってくれる」

「お客様のほうから”大きな予算のビッグプロジェクトがある”と声をかけていただける」

「時が経ってもなお、お客様が相談をし続けてくれる」

そんな営業力を得るにはどうすれば良いのか?

アメリカの心理学者のアダム・グラントは、人は三つのタイプに分類できると定義した。

25%は、他人に惜しみなく与える人「ギバー」。

19%が、自分の利益を最優先する人「テイカー」。

56%は、損得のバランスを考える人「マッチャー」。

営業としての行動原理は「お客様に、最も得をさせる」ことであり、ギバーな営業であり続けるべきだと著者は主張する。

さらに、「売るための営業」だから楽しめないと指摘し、営業の仕事を心から楽しめるようになっていくはずだからと、「ギバー」になることを勧めるのである。

「営業しない営業」

本書は、主に法人営業について書かれてはいるが、相手が何を望むのか、何をすれば喜ばれるのか、それを念頭に行動するということは、法人営業に限らず求められる姿勢なのであろう。


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