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秘露(読めるかな)での日々。①アトリエ・チゥアコ


ペルーに初めて来てもう9年ほどになるでしょうか。その間は日本に帰ったり帰らなかったりしていたのですが、今のパートナーと知り合い、首都のリマにアトリエを開いてから基本リマで生活しています。

私達のアトリエ・チゥアコは旧市街からも新市街からも丁度半分程の立地にあり、不自由はありません。                     正面は大きい総合病院、緊急搬送入り口に当たる道なりですし、隣近所は葬儀屋一帯、このパンデミックご時世でなくても毎日のように遺体が運ばれてきます。今、私が逝っても各々の葬儀屋・花屋が争奪戦繰り広げるでしょうし・・ほんと、不自由はありません。そして雇わなくても24時間明かりと見張り(?)も配置されているので比較的安心です。このレベルは、1ブロック先の警備員のいる24時間レストランで1日に2回ピストル強盗があったレベルなので、”日本に比べれば”、それはもう、比較的と言う不確実なレベルに至るわけです。日本と比べれば。・・・そういったペルーの、実に秘露らしい街に5年程私の生活があります。

アトリエは何度か日本の方達も来ていただいてますが、その度に間取りや場所が変わっています。最初は一階の工場スペースだけで仕事と生活し、その後工場+2階一部→+2階全部→+2階一部とか、その時の収入と入居者により対応してきました。現在はパートナー・サンドロの義理ファミリーとも生活しているため、1階2階全てのスペースで仕事と生活をして一年になります。 義理ファミリー3人はいずれも介護や助けが必要な方達です。この一年の共同生活とコロナ以前、以後では自分の考えの変化や発見などがめまぐるしく、日常に流されていく個々の出来事を綴っておくべきだと思いnoteをはじめました。次回からは少しづつそんな日々の記憶を投稿するとして、今回は私達のアトリエ・チゥアコを紹介することにします。

チゥアコはワークショップや制作、受注など幅広く展開していて、今に至るまで形態もどんどん変えてきました。アトリエよりもどちらかといえば”スタジオ”と言った雰囲気で、デザインやプロダクションに近い仕事をしています。そして私個人はファインアート、現代アートなんて呼ばれている分野に面白みを感じる方で、自分自身のアトリエスペースは別にありアーティスト活動とは意識的に切り離すようにしています。ただ、個人やグループ以外に”第三者(参加者)の存在する制作”が可能なワークショップや、アート分野にいなかった人にも、物作りだけでは無いアートを楽しめる企画を考えるのはかなり刺激的です。制作への相互作用と言う点でも重要な要素になっています。

サンドロが始めたワークショップがアートトイ制作で、現在オンラインでもかなり人気があります。これはさっきの”物作り”に分類されるので分かり易くホビーとして最適です。逆に私はつい、人気や分かり易さよりもユニークで少数的なプロジェクトに感心がいってしまうため、小規模な企画とプラン、アートディレクター的な役割です。去年から私が企画している”ボロ人形作るの会”やマイクロプラスティックを使ったイメージプロジェクトはいずれもエコやリサイクルを念頭に置いて進めているプロジェクトです。全く違った事をやっているので各々の特性をミックスさせたり引いてみたりしていますが、誰かと一緒だというのは新しい分苦労が一つ二つ上をいってしまいます。ドコまで許せるのか、という長年連れ添った夫婦関係を続けるコツ、みたいな・・自分も他人も尊重し、押したり引いたりする事で納得できる場所をみつけることが常に課題としてあります。(大概フラストレーションの塊ではき出されてしまう・・泣)

チゥアコはアトリエとは名ばかり、お手本の存在も無いので、明確な設計をせず数年来ました。現在の外出制限でまた180度形が変わりつつありますが、今後どうなっていくかとか、どうしたいとかはあまり文字に起こさず、新しい出会いや発見をただ楽しみたいと思っているところです。


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