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洗濯物から視野を広げる。_月曜日のNew なワタシ8_July

このnoteは、自由な創作活動を生み出すスタジオ、神奈川県横浜市天王町駅の高架下にある「PILE -A collaborative studio-」 で、創作を生み出す「心」を創る企画として毎月コラムを発行いたします。

撮影:ともまつりか

担当はHIPHOP、コンテンポラリーダンサー・振付家として現役で活動しているasamicro(アサミクロ)


洗濯物から視野を広げる。


 あなたは雨が好きだろうか?私の周りの友人は割と雨好きが多いが、私は分かりやすく晴れが一番好きで、雨が嫌いだ。なぜなら、普段荷物が多いので傘をさすのが本当にめんどくさい。そして、無条件でテンションが下がる。だが、1番の理由は洗濯物が乾かないからだ。
 関東でも例年よりも2週間ほど遅れて梅雨入りが発表された。梅雨の季節、あなたにはどのような思い出話や感情があるだろうか。今回のコラムでは洗濯物をテーマに話してみたいと思う。

“当たり前じゃない、そのルール”

 私はできることなら毎日洗濯をしたい。理由はいくつかある。量を溜めてしまうと全ての工程において時間がかかり、苦労する。また、生活のメリハリとして達成感を味わいたいという想いもある。

 また、家事全般を見つめた時に【洗濯をする】という動きの中には、色々な身体の動きや思考が必要になる。

 例えば、洗濯機に洗濯物を入れる際も服の分別
をし、適量の洗剤を考え(我が家はアナログで洗濯機が計量してくれる訳ではない。。)、洗濯中の時間をどのように有効に使うかを吟味し、服を干すときは見合ったハンガーをセレクトし、乾きが早いように服同士の距離や素材、サイズを考える。(私は色までは拘らないが、祖母は色分けまでしながら洗濯物をグラデーションにして干す)乾いたら、アイロンをかけるべき物と、そうでない物を仕分けし、畳んでまた種類に仕分けし(家族や同居人がいる場合はさらに分別)、最後にタンスに入れる。

 ひとつの家事として、とても身体と脳みその動きを必要とするし時間がかかる。だから、終えた時には小さな達成感を覚えるのだ。繰り返される暮らしの中で、自分に達成感を得られる機会は実に重要である。この考えはちっぽけなことだろうか。たかが洗濯をしているだけなのだろうか。ジョークではないが、「洗濯する」ことは「選択する」思考の練習でもあると考えている。 

 そんなある日、夫から「洗濯しすぎじゃない?また洗濯するの?」と言われた。大雨ならまだしも、とても天気の良い日にだ。洗濯機にもちょいちょい服は溜まっている。「こんな好条件な天気に洗濯をしないなんて、勿体無い!」と私はすぐに考えてしまうし、私の母も祖母も洗濯は毎日行う家事の一つだったので、【やりすぎ】という概念が存在しなかった。

 夫の考えでは、洗濯は水道代もかかるし、そんなに毎日汗をかくわけでは無いのだから、1週間に数回、少なくとも毎日やる必要はないのでは無いかということなのだ。

 先ほども記載したように、私の母方の祖母は洗濯に対するマイルールが徹底されている。しかし、夫のように回数へのこだわりや、生活全体を通してのバランスを優先して家事や時間の過ごし方を考える場合は、当然選択の優先順位は後ろにきてしまう。(洗濯する際の干し方の拘りは、私より強かったりもするが)身内だけでもこれだけ考えが異なるのだから、世界の洗濯物事情はどのようなものだろうか。とても興味が湧いてきた。

“他国の洗濯物事情”

 アメリカの洗濯事情を見ると、乾燥機が一般的で、洗濯を干すこと自体あまりしないという情報が出てきた。洗濯物を干すと景観が損なわれるし、物件の価値が下がるので外干しがNGになっている場所もあるのだとか。また乾燥機がない=貧乏くささ、治安の悪さのイメージがつく事もあるらしい。

 インドでは洗濯機もあるが、川で洗濯している地域もある。経済格差の激しいインドではカースト制度外側の不可触民に値するドービー(洗濯人)と言われる職業集団の仕事が存在する。ムンバイにある巨大な屋外洗濯場の“ドービーガート”では街中の洗濯物が集結し、伝統的な方法で衣類を洗濯している。手でこすり洗いを行い、壁に布を打ち付けるなどして汚れを取り除く姿はとても迫力のある光景だそうだ。

 イギリスをはじめとするヨーロッパは水質が硬水なので、お湯で洗うのが主流なのだとか。またお湯で洗うと色落ちが起きやすいので、白い物、色の濃い物、薄い物を分けて洗う人が多いようだ。

 どれも実際の所は家庭のルールがあり、あくまで傾向や情報の一つとして受け止めていただきたい。

 洗濯物という風景には人々の暮らしや、生々しい家庭の情報が多く含まれている事から、コンセプトアートとしてのモチーフとしても扱われることも多い。
 アーティスト中西夏之さんの【洗濯バサミは攪拌行動を主張する】や、西尾美也さんの【感覚の洗濯】というパフォーマンスもとても面白い(残念ながら生で見た事はない)。ぜひ検索をしてみて欲しいし、共感の糸口とは別に、無意識に擦り込まれた自分自身を縛る行動にも気がつくかも知れない。

 蓄積された日常行動や思考から、世の中を捉え直す。改めて自分自身の視野や行動に興味と疑いを持つことで、新たな選択肢が見つかるかもしれない。それは日々の洗濯の回数や干し方ひとつとってもそうだと思う。

 たまには同じ服を着て、明日も出歩いてみたいと思う。(汗をかいていなければ)

asamicro


PILE -A collaborative studio-とは


PILEは、「新たな創造のための、自由な協働空間」をコンセプトに生まれた、クリエイター向けのコワーキングスペースです。デザイナー、アーティスト、ホビークリエイターなど、様々な職種や背景を持つ方々が空間を共有しながら、自由に制作仕事や創造的な活動を行うことができます。


PILE Monday Morning Drop-in

日 時:毎月第1・第3の月曜日10:30〜13:00
   ★次回2024年 7月22日/8月5日/8月19日 開催
             ※祝日の場合は翌週の月曜日へ繰越
会 場:PILE -A collaborative studio-
料金:1,000円(税込)☕️コーヒー付
参加方法:Peatix または、当日飛び込み利用可能。

Peatix 7月22日分↓

Peatix 8月5日分↓


※現金はご利用頂けません。電子マネークレジットカード、交通系ICなどご利用頂けます

主 催:PILE -A collaborative studio-
企画・運営:asamicro
Guest珈琲:Cafe ちょこんと。




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