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ジャンケンはグーばかり出していたワタシ。_月曜日のNew なワタシ7_JUNE

このnoteは、自由な創作活動を生み出すスタジオ、神奈川県横浜市天王町駅の高架下にある「PILE -A collaborative studio-」 で、創作を生み出す「心」を創る企画として毎月コラムを発行いたします。

担当はHIPHOP、コンテンポラリーダンサー・振付家として現役で活動しているasamicro(アサミクロ)

撮影:ともまつりか

ジャンケンはグーばかり出していたワタシ。


 突然だが、あなたはジャンケンをする時に、自分の癖を知っているだろうか?または、意識している勝利戦略などは持っているのだろうか?私は小学生の頃、ジャンケンをするとほぼグーしか出さない傾向があると両親や周囲の大人に言われたことがある。自分自身の意識はなく、無意識にグーを出していたのだと思う。というよりもグーしか出せない子どもだった。

 今回のコラムでは、“強張り”や“緩み”について触れながら、梅雨を迎えるこの季節の心と身体の準備について考えていきたいと思う。日常生活の中で身体的な「身を委ねる」という言葉を意識する行動はあるだろうか。身近なもので感覚的に理解しやすいのは、“椅子に腰掛ける状態”である。お腹を引き上げ、重心を胸や頭に感じながら背筋を伸ばし、座面と身体の接点が少ない状態で姿勢良く座る状態に対し、肩やお腹の力を抜いて、身体の全ての体重を座面にあずけるように座る。この、後者の座り方のときに椅子に対して「身を委ねる」という感覚がイメージつきやすいのではないか。

撮影:前谷開

ダンサー・振付家として活動している現在、この“身を委ねる身体感覚”というのは、表現をする上でも、とても重要な感覚である。脱力して床や空間に対して振る舞うことで、対象物の質感が見えたり、対象物の特徴を活かした身体の動きが生まれる。舞台に上がる時、振付によっては、場所に身を委ねるのか、はたまた強固な身体で個の存在を強調した表現にするのか常に選択をしている。そのような視点で生活していると、目に止まった広告があった。

ある日、とある企業のサイトに掲載されていた“安心安全なドライビングポジションの説明”が、踊りに対してとても共感性が高く、素晴らしいポジションだと感じた。その基本姿勢はこんな内容だ(以下、一部抜粋)。 

【基本の運転姿勢は、腰、足、背中の順に決めてください。シートと腰、足、背中をうまく調和させるのが正しい運転姿勢のポイント。足は膝がのびきらず、少し余裕がある位置にシートを前後。背中において、両手でハンドル上部を握り、ひじに少し余裕ができる角度に背もたれを合わせる。】

 踊りにおいて「手足ダンスにならないで!」と言う表現がある。これは、胴体を軸に手と足がそれぞれ単体で動いていると可動域が小さく見えてしまうため、それを諌めるための表現である。手足ダンスにならないためには、起動位置を手や足と考えず、初めに腰や骨盤の位置を安定させ、手と足のパイプとして腰や骨盤を認識してから手足を動かす。そうすることで足先から指先までが連結された、可動域の広いダイナミックな動きが生まれる。

また、瞬発力を発揮するためには「膝を甘くする」と言って、膝が伸びきらない状態で床に対して身体を構えてゆくと、速いスピードに対しても細くステップを踏める。更にリズムも刻み
やすいので、音の取り方も美しいステップとなる。

こんな感じで“安心安全なドライビングポジション”は踊りに対しても割と的を得ているように感じた。

さて、冒頭に述べたジャンケンのグーの話に戻ろう。ストレスにより自律神経のバランスが崩れた事で、交感神経ばかりが優位に働くと、筋肉の硬直化が進む。この身体的条件と、不安感による閉鎖的心理によって反射的に差し出す手がグーとなってしまう傾向があったと考えられる。また表情をつくりだす筋肉である表情筋も緊張し、硬くなって表情がこわばるなど、中々緊張感のあるジャンケンだったに違いない。ストレスで固くなってしまうのは心ばかりではない。物理的に身体も硬くなるのだ。

私の友人のダンサーに、タコのように、ムーミンに出てくるニョロニョロのように、常に柔らかな身体で空間を振る舞う人がいる。その人は、コンテンポラリーダンスのコンタクト(重力や重心をうまく使って、相手に寄りかかったり持ち上げたり、接触し続けながら即興的に踊る)がとても得意で相手に身を委ねる事が上手なのだ。そして、その人の踊りに呼応するかのように、周りの人の動きにも更なる安定感が生まれるのだ。安心安全な基本姿勢として、やはり、緩みのある身体性としっかりと重心を感じ、委ねる点を見つけたい。現在学び始めた、空間における身体と心理学としても“委ねる”と言うことは私の大切な課題で学びである。

小さい頃の私にも、「緩み」があれば、もっとじゃんけんで勝てたのかもしれない。

最後にひとつ、手軽に身体の強張りをほぐし、ストレスが少し楽になる手のツボをご紹介したい。

【合谷(ごうこく)】
手の甲側、親指と人さし指の骨の分かれ目のやや人さし指側にあるツボ。
【神門(しんもん)】
手首の横じわの小指側の少しくぼんだ場所にあるツボ

有名なので、すでにご存知の方もいるかもしれないが、隙間時間に少し刺激し、柔らかな心と身体について見つめてみて欲しい。

asamicro


PILE -A collaborative studio-とは


PILEは、「新たな創造のための、自由な協働空間」をコンセプトに生まれた、クリエイター向けのコワーキングスペースです。デザイナー、アーティスト、ホビークリエイターなど、様々な職種や背景を持つ方々が空間を共有しながら、自由に制作仕事や創造的な活動を行うことができます。


PILE Monday Morning Drop-in

日 時:毎月第1・第3の月曜日10:30〜13:00
   ★次回2024年6月3日/6月17日/7月1日/7月22日開催
             ※祝日の場合は翌週の月曜日へ繰越
会 場:PILE -A collaborative studio-
料金:1,000円(税込)☕️コーヒー付
参加方法:Peatix または、当日飛び込み利用可能。


※現金はご利用頂けません。電子マネークレジットカード、交通系ICなどご利用頂けます

主 催:PILE -A collaborative studio-
企画・運営:asamicro
Guest珈琲:Cafe ちょこんと。




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