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「困ったらいつでも言ってね」が機能しないワケ

こんにちは。
”現役人事のコーチング”をやっていますアサマルです。

部下との距離感を縮められるようオープンマインドを心がけていらっしゃるマネジャーの方は、普段から部下に対して、

困ったらいつでも言ってきてね
どんなことでも相談にのるよ

といった声かけをされているのではないでしょうか?
でも、こういったアプローチも甲斐なく、
部下から相談してもらえないことってありませんか?

今日はそんなお話です。

「困ったらいつでも言ってきてね」で相談は来る?

部下に対してオープンな姿勢を示すのに良い言葉だなと思います。
マネジャーからそう言ってもらえると、部下には安心感があります。

ですが、そう言ってもらったからといって、
部下がマネジャーに気軽に相談するようになるかというと
それはまた別問題
だと思います。

そこには部下が、マネジャーを信頼していないといったことではなく、
別の要因が絡んでいると私は考えています。

待ってるのに全然相談が来ない…

私は、普段企業人事の仕事をしていますが、
マネジメントが抱える「人と組織の悩み・課題」を一緒に考えて
解決するのが最も大事な仕事の一つだと思っています。

一方で、人事に対しては、職場のマネジャーの方から
あまり良い印象を持たれていない感覚がありました。

何かいつも評価や査定のことでコソコソ動いていて、
ルール違反があったと知れば取り締まって罰することを
生業にしている人たち。

足元掬われるといけないから、下手なことは人事に言わない方がいい
そんな風に思われていたのかもしれません。

(元LIXIL副社長の八木洋介さんは、著書「戦略人事のビジョン
 ~制度で縛るな、ストーリーを語れ」
で、
 そんな人事部を「人事マフィア」と表現していました。
 言い得て妙だと、やけに関心したのを覚えています。)

しかし、これでは人事の大事な役割を果たすことができない。
私はそう考えました。

もっと人事に相談することの心理的なハードルを下げなくては、
と始めたのが、何でも相談にのりますPR作戦でした。

何か事務連絡をする時、問い合わせのメールに回答する時、
電話でチラッと会話する時、最後に必ず、
「何か少しでも困ったことがあったらいつでも相談してください」

と付け加えるようにしていました。

・・・ですが、一向に誰からも何の相談も・・・ない。

こんなにPRしても、何も相談がないということは、
本当は自分が考えているほど、職場では困ってないのかな、
などと思っていました。

でも、ある人事施策に関するアンケートの結果を見て驚きました。

・人事は何も支援してくれなかった
・現場任せに感じた

そんなコメントが多く寄せられていたのです。

正直ショックでした。
だってあんなにオープンに待ってたのに、
誰も何も言ってくれなかった
じゃないですか・・・


聞いてみれば出てくる出てくる、お悩み・モヤモヤの数々

アンケートのコメントを見て、何かアプローチの仕方が
間違っているのかもしれないと思いました。
マネジャーの皆さんは支援が必要だと言うのに、
何も言ってきてくれない。

何が起こっているんだろう?

マネジャーの方は忙しいので、わざわざ人事のアポイントを
取るのも大変です。手助けが欲しいことはあっても、そこまで
困っていなければ、相談しようと思わないのかもしれない。

それほど人事への期待がないのか、信頼がないのか。

私は些細な悩みでも教えてもらいたいと、取り合えず話を聞かせてほしいと
アポイントを取ってみると、マネジャーの方は皆さん快諾してくれました。

そして、実際にお話を伺ってみると、日々抱えている悩みや課題について
次から次へと話してくれるのです。
大抵の方が、こちらがお願いした時間を過ぎても話が止まらず、
色んな話をしてくれました。
自分から声をかけてみて良かったと思いました。


「困っていること」を話すって実は結構大変

自分から悩み話を切り出す、というのはそれだけで実は大変です。
相手の時間を貰うからには、自分が困っていることを
説明出来るようにして臨まなくてはならないから
です。

でも大抵のお困りごとは頭の中でモヤモヤした状態だと思います。

・自分は何となくこんなことに困っている。あんな悩みもある。
・そして関係する相手にも言い分がある。
・会社や組織としての方針も理解する。

こういう様々な考えが自分の頭の中をぐるぐる巡っている時
悩みがあるのでお話したい、と他人に切り出すには
大きなハードルがある
と思います。

そしてこれがまさに待っていても相談がこないが、
こちらから聞いてみるとどんどん出てくる原因ではないかと思うんです。

私は「人事」と「職場のマネジャー」という立場での経験をご紹介しましたが、これを「マネジャー」と「部下」に置き換えてみることができます。
上司と部下の関係性であれば、なおさら強い力学が働くと思います。


「困ったことはない?」の大きな意義

元スターバックスCEOの岩田松雄さんは、
著書「『ついていきたい』と思われるリーダーになる51の考え方」で、
「困ったことない?と聞くのがリーダーの仕事」と語っています。
なぜなら「部下の悩みを解決するには権限が必要だから。」

部下の悩みを解決する方法を考える時、手段として

・何か新しいことを追加で取り入れる
・これまでやってきたことをやめる

そこには判断と権限が必要になります。
だからこそ、マネジャーが部下の相談に乗ることには
物事を解決に繋げるきっかけになり、大きな意味がある
と思います。


いつでも相談に乗るよ、と普段からオープンマインドで接しているのに、
どうも悩みを話してもらえないな
、と感じているマネジャーの方。

「待ってるよ」、
ではなく、ご自身から「何か困っていることはない?」

と、何気なく部下に声をかけてみてはいかがでしょうか?

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