高揚感とともに夜道を帰る 3月14日(火)
毎月楽しみにしている、月にいちどの雨風BOOK NIGTHT。
去年からはじまったこの回も、14回目。
今回もたのしみに参加した。
今回は初参加の方が5名いらしたので、久しぶりに全員で自己紹介。
本を持ってきたひとは、本の紹介も。
主催の雨さんが「本を読むことだけが読書ではないと思うのです」といつも言っているけれど、自己紹介もひとつの物語のようだと思う。声のトーンや話すスピード。ためらいがちに話すひと、ほがらかに話すひと、立ち止まりながら話すひと。聞いているうちに、短編小説集を読んでいるような気がしてくる。
本の印象は「だれが」「どんな風に」紹介するかで大きく変わる。「この人がこの本を!?」というギャップもたのしいし、すてきなあの人が紹介した本はいますぐ手にしてめくってみたい。その日に紹介された本は、テーブルにずらりと並べられる。壮観。これもまたひとつの作品集に見えてくる。
途中には休憩タイムも。おしゃべりをしたり、テーブルに並んだ本を眺めたり。
この日は高知市内のコーヒー屋さんが、特別にカフェラテをふるまってくれた。おやつには、苺のロールケーキかチーズケーキ。甘いものと本の組み合わせは、約束された幸せのかたち。
夜更けに会が終わってからも(23時!)、参加者同士でおしゃべりしたり、この会を主催している読書の百戦錬磨「雨さん」が熱量高く紹介してくれた本を購入したり。眠くなってくる時間帯なのに、その場にいる人たちは来たときよりもずっと元気に見える。長時間のこの会は、何らかのエネルギーを生んでいるのだと思う。
会の余韻を楽しむような、なんとなく去りがたいような。そんな様子を眺めるだけで、じわじわと幸福感が広がってくる。そして、今回はじめましての方々は楽しんでくれただろうか、とふと思う。
高知の深夜は人気がない。大きな国道ですら、走っている車はほぼ皆無。普段だったら心細いのに、ブックナイトの高揚感が残っているので大丈夫。あの時間にわたしはきっと守られている。
運転しながら、その日語られた言葉についてぼんやりと考える。答えのない問い、新しい視点、心持ちの変化。会が始まる前のわたしと、今のわたしはもう違う。それはきっと、みんな同じなんじゃないかな。変化は自分の意思とは関係なく起こっている。ブックナイトでは、ただその場に身を置いて、まっすぐに言葉を受け取ればいい。こういった時間が普段は意外とないことにも気づく。
毎月あたらしい出会いが生まれるブックナイト。
家についたら空は満点の星。すっかり満ち足りて眠りについた。
photo: kettle_photo
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今回私が紹介した本はこちら
今月発売の村上春樹の長編小説がたのしみ!
『歴史の屑拾い』 藤原辰史 講談社
『1㎡からはじめる自然菜園』竹内孝功 学研プラス
『ゼロからの資本論』斎藤幸平 NHK出版新書
『騎士団長殺し』 村上春樹 新潮社
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