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【コラム】事実を語る勇気

私のnoteに対するスタンス

今から4か月前、noteを始めた時に書いた自己紹介文を読み返すと、私は「不完全な人間の記録」をここに残すという意思表明をしていました。

きっと人は誰もが、自身の「不完全さ」を本心では認めたくない生き物なのだと思います。

そんな意思表明をしていた私も、本当は、自分の「不完全さ」を表現することには勇気がいるものです。noteはSNSなので、「美しく、しなやかで、スマートな自分」を演出し、ここで表現することで承認欲求を満たそうと思えば、幾らでも可能です。

それでも私は、(SNS全般に言えることですが)noteで綺麗な面ばかり見せて承認欲求を満たすことにはあまり興味がありません。承認欲求は、もう少し高次なことを達成して満たしたいという考えを持っているためです。

代わりに、私がここで綴りたいことは何か?

それは、改めて考える必要はなく、4か月前の私が、自己紹介文で指針を示してくれていました。

私は、美しい面ばかりではなく、物事の裏の醜い側面・問題点も、ストレートに綴ります。

その理由は、正しく・歪みなく理解することは、恐怖や不安に対抗する人類共通の最善策であるためです。
皇朝子の紹介文、「なぜ私は詩を書くのか?」より抜粋

今、綴っておきたいこと

先日、大学病院で病気が発覚しました。

原因調査や治療方針の決定、合併症の有無等を検査するのに時間を要するとのことです。今は、今後どうなるかが自分でも分からない状態で、不安です。

そんな事情によってか、今は詩が書けなくなってしまいました

普段なら、音を無にして、目を瞑ると、言葉が溢れてきて自然と詩ができあがっていたのに、それができなくなってしまいました…。

病名がかなり落ち込む類のものであるため、言葉を愉しむ余裕がなく、不安が頭をジャックしているような状態がここ1週間程続いています。

それでも、事実なら書けます。

今の私にしか書けないもの。それは、鮮度の高い経験です。

だから今日は、病気が判明した日のことを綴っておこうと思います。いつか、この文章に意味が宿ることを願って💐

あの日の鮮明な記憶

2022/10/22
定期的にお世話になっている美容皮膚科で、大学病院への紹介状をもらった。「大学病院」にかかるのは初めて。「紹介状」も初めて。これまでなるべく直視しないようにしてきた漠とした不安が大きくなった。
何かが、崩れそうになっていた。

2022/10/26
ド平日の水曜日(普段の私なら、平日に通院の予定はなるべく入れない)。

都内大学病院にて、病気と診断された。

「M先生からの紹介状ね。M先生は私の大学時代の先輩なの。私もあの美容皮膚科によく行ってるわ。」と笑顔で話す、女医さんだった。

彼女は私の不安を透視しているかのように、気さくでありながら無駄なことは一切言わず、病気について単刀直入に説明してくれた。

彼女の言葉が、いつ途絶えたのか判然としない。私は事実を受け止めきれず、かろうじて返事をすることが精一杯だった。結局私は何も訊き返すことができないまま、診察が終わった。

診察室を後にした。暫くは思考が出来なかった。とりあえず病名をLINEで彼に伝えると、彼からすぐに電話が来た。

彼「大丈夫?治るの?今仕事中だけど、少しなら話せるよ」

背景で彼の仕事用Teamsの通知が鳴る音がかすかに聞こえた。

私「わからないけど、治るように治療するって言ってくれた」

彼の声を聞いたら、涙が溢れた。

彼「きっと大丈夫だから、心配しないで」

彼は優しかった。そのあと彼と何を話したのかは、よく覚えていない。

お薬を貰い帰宅したら、15:30を回っていた。そういえば、ランチを食べてないが、お腹は空いていなかった。とりあえず産業医の先生にメールを送り、病名を伝えた。今後どうしたらいいか、自分でもわからなかった。

先生からの返信は、5分も開かずに長文で来た。先生には、これまでも何度かお世話になっている。彼女は医師として的確でありながらも、心から心配してくださっていると感じた。先生に促され、とりあえず直属の上長には病気について話すことにした。

上長のAさんに電話した。Aさんは、いつも通りビジネスライクだった。彼の語調から、「病気?…だから何?結論は?そんなことで騒ぐなんて感情的で面倒だ、、俺は忙しいのに。」と、薄々心の中で思っているということが、私にはよく伝わってきた。勿論、そんなにひどいことは言われていない。それでも、彼の口調は、私が本心を察するに十分であった。彼の「ご連絡ありがとうございます」という言葉には、心がこもっていなかった。

因みに、この方はビジネスの観点からは何も悪くない。ビジネスパーソンとして、効率的に仕事をしているだけだ。ただ、私はその時に限っては、単なるビジネスライクな対応にさえ傷ついてしまう程、もろい状態であった。

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