ノルウェー語?「それくらいできるでしょ」という意味不明な空気
☆11月5日のオスロの夕焼けです。写真は一切編集なし。綺麗でしょ。空もフィヨルドも紅色。Onpa kaunis päivä(なんて綺麗な日)
私は英語とフランス語以降の外国語は、わけのわからない自信がついていて、「やるという意識とモチベーション、目標がしっかりしていれば、外国語はマスターできる」と思っています。本当に、わけのわからない便利な思い込み。
周りに何を言われようが、ぶれずに突っ走ります。だからフィンランド語もいずれできるようになるよ。
ノルウェーに移住する前、日本では大学卒業後(3月)からノルウェー引っ越し・オスロ大学開始(8月)まで半年ほど時間があったので、就活はせずに東京でバイトしていました。
化粧品のコールセンターだったのですが、その時の上司や同僚に、
「え!ノルウェー行くの」
「ノルウェー語!?ノルウェー語って何?今から勉強するの?それって可能なの?」とびっくりされていました。
今でもよく覚えているシーンがあるんだけど、チームのリーダーが隣のパソコンで作業していて、
「えええええ???」みたいな反応だったんですね。静かに動揺していたよ、彼は。もうびっくり、なんじゃこの子はみたいな。
「いや、なんとかなりますよ。1年がっつりオスロ大学でノルウェー語レッスンだし。1年もあればなんとかなります。それ以上の時間、使いたくない」と言い切る私。
ぽかーんとしていた彼。
今でもなんか覚えているんですよね、このシーン。
私にとって外国語ってそんなに人生の中で大変なことじゃない(勉強が大変だとしたら、問題は言葉じゃなくて、その人の意識設定だと思う)。
こういう「えええ」反応されると、「なんだろう?」と首をかしげたいのは私なんです。だからたまに覚えている。
あちらは私を不思議そうに見るが、私からすると周りの反応が不思議。
まさか外国語3つ目をやることになるとは思っていなかったので、こういう気持ちもかなり強かった。
↓
「もうフランス語で外国語を学ぶ人生は終わりだと思っていたのに。冗談じゃない。1言語にまた何年間もかけるなんて嫌だわ、冗談じゃないわ。時間もったいないわ。絶対に1年間がっつりやって、日常会話くらいできるようになるわ」
また何年間も外国語に使うなんて冗談じゃないわ。
これがノルウェー語を猛スピードで習得できた原動力のひとつですね。
実はオスロ大学のメディア学は、2種類あるノルウェー語(私が学んだのは片方だけ)、スウェーデン語とデンマーク語もできないと、教材が読めない。先生や学生の方言もばらばら。
このことはノルウェーに住んで2年目になるまで私知らなかったのですよ。知っていたら、もっと絶望的な気分でノルウェーに来ていたかもね。知らなくて良かったわ。
この子たちに関しては、私の「それくらいできるっしょ」という態度ではなく、周りの「それくらいできるっしょ」が励みとなりました。
「いや、ノルウェー語の1種類のブークモルができれば、もう1種類のニーノシュクも、デンマーク語もスウェーデン語も、なんとなくわかるっしょ!」という周りからの「それぐらいできるでしょ、おまえ」みたいな雰囲気が圧力で何とかなった感じ。
「それくらい、できるよね」感がすごすぎて、「できません。ていうかノルウェー語の辞書で、スウェーデン語とデンマーク語はひっかかりません」という泣き言を、だれ一人として理解してくれない環境でしたの。メディア学に他に外国人がいなかったし。
ノルウェー来る前から私のマインドセットはかなりおかしかったと思う。けれど、ノルウェーに来てからは周りの意識もかなり特殊だったので、私の語学に対する姿勢はさらに個性的なものに強化された(ねじれた)よね。
周りに何を言われようが、どんな反応されようが気にしないのはフィンランド語でも同じ。「世界一難しい言語」とかいう噂、どうでもいいです。私には関係ありません。
というか、もうノルウェー語2種類に、スウェーデン語とデンマーク語が強制的にくっついてきた時代があれば、もうできない言語ってなくない?とか思っちゃう(モチベーションと学ぶ理由があれば)。
外国語の勉強より、国から滞在許可証もらえるかのほうがずっと大きなストレスだよ。
私の山あり谷ありの人生では、外国語の勉強はそんな山じゃない。むしろ外国語は山登りを助けてくれる登山靴です。
☆外国語ができなければ、出版できなかった本
☆社会運動では「北欧はなぜ環境先進国なのか」について寄稿しています。こちらも北欧各国の言語でずっと取材していたから書けた記事
『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』(かもがわ出版)発売中です。カラフルな写真とともに、ぱらぱらと読める北欧モデル資料集のようになっています。