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ラブストーリー【ショートショート】

彼とは付き合い始めて2年。
だけど少し離れたところに住んでいるし、ふたりとも仕事が忙しいので、2週間に一回しか会えない。

2週間に一回、土曜の夕方頃私が彼の家の最寄り駅まで行き、彼が車で迎えに来てくれる。それから近くのスーパーで買い出しをしてその日は彼の家に泊まる。
外食がちな彼の心配もあって、土曜の夕食、日曜の朝食、昼食は私が作る。

夕食をとりながら一週間の出来事を話し、片付け終わったら一緒にお風呂に入る。夕食のお礼にと、彼は私の髪を洗って乾かしてくれる。毎回洗ってくれる。けれど気を遣わせないように、夕食のお礼に、と彼はいつも言う。
お風呂から上がると、二人でのんびり映画を見たり、ゲームをしたりする。
夜遅くまで遊ぶこともあるけれど、それでも2時までには眠る。
眠る前、彼と体を重ねるのが、未だに気恥ずかしい。けれど私にとって最愛の時間だ。その後、彼の体温を感じながら眠るのも至福だ。
そもそも向かい合って食事をとるのだって、彼の部屋の掃除の手伝いをするのだって、なんだか気恥ずかしいのだ。もちろん嬉しいのだが、私でいいのだろうか、とも考えてしまう。そんなとき彼は、いつも、君がいいんだよ、他の誰かなんてありえないと言ってくれる。

日曜日。朝ご飯を食べてからは、二人で散歩に出かける。新緑が眩しい季節に、いつの間にかなっていた。仕事に追われる日々は、それに気づけない。しかし彼と歩いているとそんな変化も感じることができるのだ。
散歩から帰ったら洗濯物を干す。散歩に出る前に洗濯機を回していくのだ。最初、彼は、いいよ僕のものだけだから、と遠慮していたけれど、今では私にも手伝わせてくれるのが嬉しい。

それから掃除の手伝いなんかして、空いた時間でお茶を飲む。11時半には私は昼食を作り始め正午には食事できるようにする。片付けて少しのんびりしたら駅まで送ってもらう。

そうやって英気を養って、私は帰っていく。
穏やかで大切な時間。変わったことをしないからいいのだ。
こんな時間がいつまでも続いてほしい。

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