ミシシッピアカミミガメの恩返し【ショートショート ファンタジー】

ピンポーン。玄関のチャイムが鳴った。
「はーいどちらさま?」
「こないだ助けて頂いた亀です。恩返しにきました」
「恩返し?」
「はい、乙姫様から竜宮城へお連れするよう言われまして」

詳しく話を聞いて、ならばせっかくだしと、連れて行ってもらうことにした。

こないだミシシッピアカミミガメを拾った境川を下っていく。これを木曽川へ合流して海へ出るということなのだろうか。

「すみませんね、僕ウミガメじやないので海まで遠くて」
「いえいえこちらこそ岐阜から海まですみません」
そんな会話をしながら、ようやく汽水域まできた。

「すみません僕淡水専門なんで、こっから先はアカウミガメのアカくんにお願いしてまして」
「あ、そうですよね、わかりました。ありがとうございました」

見ると向こうにアカウミガメが待機してくれていた。
そばへ行くと手を出された。
「え?」
「3000円」
「え?」
「竜宮城行くんやろ?」
「え?竜宮城往復で3000円ですか?」
「往復なら6000円」

財布も持たずに来たので、僕はしぶしぶ歩いて家まで帰った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?