浅木

あさきといいます。週一で哲学とか研究のはなしをします。フォローといいねしてください。な…

浅木

あさきといいます。週一で哲学とか研究のはなしをします。フォローといいねしてください。なぜならうれしいからです。

最近の記事

さまざまに語る異常達についてー『異常論文』(樋口恭介編、早川書房)

異常論文とは短編集である。以下、その中のいくつかについて感想を述べる。 決定論的自由意志利用改変攻撃について 円城塔 平易な日本語なのに表現しようとしている当の現象が複雑で、結果的によく分からないという事が彼の作品ではよく起こる。彼の近年の大作であるエピローグの描写が好例だろう。 しかし本作ではいつものように複雑な状況が、理系の論文のように記号を用いて整理されているのでとても理解がしやすい。過去の彼の作品の複雑な状況も、記号で書き直してみてほしいと願うほどである。 本書で最

    • 人生の意味に目的は必要である。テイラーの批判に反論する。ー人生の意味の哲学をはじめからていねいに(長門裕介,2020)を受けて

      はじめに長門(2020)はその先行研究について大きく二つに分類している。それによれば、人生の意味には現在の英語圏の標準であるmetzらによる客観的に良い目的(たとえば真善美)重視のものと、それより以前のシュリックらによる手段による充足(たとえば遊び)重視のものがある。 本論の目的は目的重視派を擁護することである。具体的には、手段重視派の論者の批判を取りあげ反論を試みる。 テイラーによる批判と、ランボーの反例手段重視派であるテイラーは、良い目的が人生の意味として不適切である

      • 苦しまずに書くためにー『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』解説

        仕事の報告や大学の課題のレポート、卒業論文、趣味のブログや小説執筆など、ぼくたちの人生には書くという行為が欠かせません。しかし、ぼくたちは往々にして、書くということに対して苦しいと思ってしまいます。しかし、できれば、苦しい思いはせずにいたい。どうすればいいか。 今回は、その答えを教えてくれる『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』(2021,星海社,千葉 雅也 , 山内 朋樹 , 読書猿 , 瀬下 翔太)について解説します。本書によれば、できるだけ苦しまずに書くた

        • 哲学初心者がやった方がいいこと3選

          今回は、哲学科の新入生や哲学を勉強し始めの人がすると成長しやすい行動を3つ紹介したいと思います。 1.自分の興味を疑問形で文章化する。(「自由な状態はあり得るのか?」など)知りたいことの軸がはっきりすることで、学習効率がよくなります。最初は漠然としていてもいいので、文章化することを目指してください。疑問が複数ある人は、それぞれ書き出して、その優先順位をつけましょう。 2.頭の中だけで考えず、ノートを使う。自分がどのように思考しているかを客観的に見えるようになることで、より

        さまざまに語る異常達についてー『異常論文』(樋口恭介編、早川書房)

        • 人生の意味に目的は必要である。テイラーの批判に反論する。ー人生の意味の哲学をはじめからていねいに(長門裕介,2020)を受けて

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          一番簡単な東浩紀の誤配についての説明

          今回は、東浩紀が用いる誤配という概念について説明したいと思います。 東浩紀とは(そもそも)誰か。東浩紀とは、現代日本における重要な思想家の一人です。 西洋哲学におけるこれまた重要な哲学者のジャック・デリダという人の研究をしていたり、日本のオタク文化を分析してみたり、情報社会について語ったりなど、様々な分野で活躍しています。また、ゲンロンカフェというトークスペースを作り、対談を主催しています。 誤配とは何か。誤配とは、ひとことでいえば、様々なものを成立させる影の主役のよう

          一番簡単な東浩紀の誤配についての説明