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未来の東南アジアのトップになるインドネシア、巨大化する国の成長と歪み

インドネシアでは、ボルネオはカリマンタンと呼ばれる。

国境でたむろっていた人たちから「Japan? アリガト! アリガト!」と笑顔で握手を求められた。

いきなりジュースをおごってもらった。

人口が一気に増えた。
地図には街がまったく記載されていないが、店や民家はそこらじゅうにあり、水と食料の調達に困ることはない。
マレーシアに比べると経済レベルが少し落ちた感じ。
道路も少し荒れている。
英語は通じにくい。

村人たちが「ハロー、ミスター!」と手を振ってくれる。

インドネシアもイスラム教の国だが、道中に現れるのはモスクよりも教会。

変なデザイン。

世界で最も多くのイスラム教徒がいる国ということになっているが、統計と実感にはギャップがある。
ただ、同じインドネシアでもバリ島なんかはヒンドゥー教だったりと、島ごとの文化があるようだ。

モスクは地味。

廃墟泊。

インドネシアは、植民支配時代はオランダ領で、第二次大戦中は日本が支配した。
戦後、オランダが再び植民地化しようとしたが、インドネシアは抵抗し、4年にわたる独立戦争が起こった。
1949年独立。
初代大統領スカルノの第3夫人が日本人で、日本でタレント活動をしている。
独立以来しばらく独裁政権が続いたが、1999年に民主化した。

300以上の民族が集まる多民族国家だが、大半はマレー系で、インドネシア語はマレー語とかなり近い。

時々、めちゃくちゃな英語で話しかけてきて、「ウチに泊まりに来なさい」なんて言ってくれる人もいる。

夕方、広々とした店が現れ、軒下にテントを張らせてもらえないかとお願いしたら、快くOKしてくれた。
というかテントなんか張らずに店の座敷で寝なさいよ、と。

ありがたい。

この店にいる15歳の少女が、とてもよく気が利く子で、次から次へと僕に食べ物や飲み物を出してくれた。

その代わり、英語の宿題を任されてしまった。

ここの一家はクリスチャン。
若者たちにインドネシア語を教わった。

店のおばさんが、僕の所持品が高価な物ばかりなので外に寝させるのは危険だと言って、結局部屋で寝させてもらった。
ちょっとお世話になりすぎたので、少しばかり払おうとしたのだが、受け取ってもらえなかった。

ポンティアナックという街。
交通量増大。

狭い道にこの交通量、走りにくいことこの上ない。
クチンがボルネオ最大の都市だと思ってたけど、人口比較だったらこっちの方が大都市か。

赤道モニュメント。

フェリーでジャワ島へ、40時間の船旅。

インドネシアが領有している島の数は1万3466。
主な島は、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ(カリマンタン)島、スラウェシ島、ニューギニア島など。
面積は大きくないがよく知られている島としては、バリ島、コモド島などがある。
いくつものプレートがぶつかりあい、多くの火山があり、地震多発地帯でもある。

フェリーは、思ってたより立派。

船内は満員で、ゴロ寝できる大部屋はスペースなし、なんとか空いてる座席を見つけて寝場所を確保。
数百人の乗客の中、非マレー系外国人はおそらく僕ひとりだけ。

清潔ではない。
船内にはゴミ箱がちゃんとあるのに、テーブルも床もゴミだらけ。
ところかまわずタバコを吸い、吸い殻は踏み潰して床に放置。
何よりも、平気で海にゴミを投げ捨てる人が多いことには失望してしまう。

フレンドリーに話しかけてくれる人が多いが、僕が外国人だとわかっていながらインドネシア語で話しかけてくる。
インドネシア語なんてわかるわけないでしょ。
でも、英語は話せなくても片言の日本語を話せる人がいたりする。

他人の迷惑などおかまいなしに携帯で音楽を鳴らす若者。
日本語の歌が聞こえてきた。
この後も、インドネシア滞在中に何度かこの歌を耳にすることになる。

五輪真弓の「心の友」という歌だそうで、インドネシアでは知らない人はいないほど有名で、第二の国歌とも言われている。
この若者も歌詞をちゃんと暗唱していて、歌に合わせて日本語で歌っていた。
あるインドネシア人のラジオのDJが日本に来て、五輪真弓のコンサートに行ってアルバムを買って、その中に入っていた「心の友」をインドネシアのラジオで流したことがきっかけで大ヒットしたらしい。
日本ではシングル化さえされていない、無名の古い歌。

1日3回、きわめて質素ではあるが、無料の食事が出る。
僕は最初そのシステムに気づいていなかったのだが、親切な人が教えてくれた。
言葉はわからないが、身振り手振りでだいたいわかる。

こんなに過密で、人と人との距離が近すぎる環境でも、ピリピリした空気はなく、攻撃性もなく、いたって平穏な人たち。
そして誰もが「アリガト」という日本語を知っている。

蒸し暑くて、騒々しくて、混沌としているが、この船旅も悪くはないかな。
と、下のデッキで海を見ながらたそがれていたら、上のデッキから弁当箱や残飯が降ってきて海にボトボトと投げ込まれていった。
やっぱ最悪だ、こいつら。

首都ジャカルタ。

現在、インドネシアのGDPは世界16位。
2030年には、ヨーロッパの国々をごぼう抜きして世界5位の経済大国になるとの予測。

世界経済の中心は欧米からアジアにシフトする、とはだいぶ前から言われてきたことだが、あと10年以内にそれはよりリアルに実感されるだろう。

インドネシアの強みは、なんといっても人口。
2億7000万人、世界4位の人口大国。
しかも、若い。
理想的な人口ピラミッドで、平均年齢29歳、生産年齢人口71%。
この人口ボーナスで飛躍的な経済成長が約束されている。

一方、世界一の高齢国である日本は、平均年齢49歳、生産年齢人口59%。
年寄りばかりになってしまった日本は、人口オーナスで確実な衰退が約束されている。

首都ジャカルタが置かれているジャワ島は、島としては世界最大の人口を持つ。
日本の3分の1ほどの面積に、人口は日本よりも多い1億5000万人。
すぐ近所のオーストラリアなんかは、ジャワ島の60倍(日本の20倍)の面積がありながら、人口はたった2500万人しかいない。

今まで見てきたカオスな国々と比べたら、まだ整然としているし秩序は保たれている。

マレーシアの街と違って、華人の存在感はない。

インドネシアにいる欧米人、やけにガタイがいい人が多いなと思ったら、たぶんかれらはオランダ人だ。
聞いて確認したわけではないが、オランダはかつての宗主国ということもあって、今も縁があるのだろう。
オランダ人の平均身長は男性181cm、女性166cmで、世界1位。
南アフリカとナミビアにいたオランダ系白人と同じ迫力を感じる。

オランダ人と日本人が、インドネシア人にどれだけ慕われてどれだけ憎まれているのかはわからないが、今のこの平穏が不自然だとは思わない。

ガムラン。

ジャワ島とバリ島にのみ残るインドネシアの純音楽。

デモーニッシュな響き。
おそるべきアンサンブル。
一瞬で釘付けになった。

この人は、物語のせりふを言いながら人形を操り、せりふの合間に足で小さなシンバルのようなものを鳴らしている。

楽譜は存在するのだろうか。
数時間に及ぶ演奏の細部まで暗譜するのは不可能だろうから、軸となるメロディやリズムだけを把握して、 そのパターンを守りながら即興で音を広げていく感じだろうか。
個々の音が複雑に絡み合いながらも、全体として統率がとれている。
ジャズもそういった特徴があるが、これは西洋音楽とは構造がまったく違う。

ガドガド。

2024年から、インドネシアは首都移転を開始する。
ジャカルタから、カリマンタン(ボルネオ)の東部に新たな首都を建設する。
理由は、人口過多、交通量過多、自然災害などいくつかあるが、深刻なのは地盤沈下。
ジャカルタの半分近くが海抜以下で、毎年5〜10cmずつ沈下している。

僕もジャカルタを走行中、激しい雨が降ってあっという間に道路が水没して危険を感じたことがあった。
ひどいところは水深が膝上まであり、自転車のバッグが8割ぐらい水に浸かってしまっていた。
まずい、と思った時にはもう遅し、引き返すこともできず、そのまま強行。
暗闇の中、雨の中、水の中、この先もっと深くなるかもしれないという不安で、自然と息が上がる。
車が通るたびに大波をくらった。
幸い、バッグの中の電子機器やシュラフ等は水没せず無事だった。

それはともかく、インドネシアも最初はしっかり走るつもりだったのだが、あまりの交通量の多さに走る気が失せ、次の目的地へ飛ぶことにした。

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