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アジアのオアシス、台湾

台湾一周スタート。

自転車を排斥する香港から一転して、台湾はアジア一の自転車先進国。

車と干渉しない自転車レーンがあって走りやすい。

歩道を走らざるをえない場面もあるが、境目の縁石が滑らかになっており、段差の衝撃を解消してくれている。
これはベビーカーや車椅子にとってもやさしいつくり。
電車内も、自転車をそのまま持ち込める場合がある。
人々の自転車に対する理解も深い。

日本は自転車の普及度だけはどの国よりも高いのに、どうしてあんなにもひどい扱いをされるのか。
自転車環境に関しては、日本の失敗はもう取り返しがつかないほど劣悪なレベル。

GIANTやMERIDAといった世界的自転車メーカーも台湾の企業。
2011年大震災の時、GIANTは被災地にマウンテンバイク1000台を無償提供してくれた。

派出所でも、ポンプや工具が用意されており、うまくいけば泊まらせてもらえる。

台湾は物価が安いと思われがちだが、長期旅行者からすると十分高い部類、特に宿代が高い。
宿代は浮かせたい、しかしとてつもなく暑い。

暑くてしんどいけど、学校でキャンプさせてもらった。

台湾を一周するなら海沿いに走ればいいのだが、とにかく暑いので標高が高い山へ逃げ込む。

ひたすら登っていると、すれ違う車から次々に声援を受ける。

皆、「ジャーヨー!」と言う。
最初はわからなかったが、そうか、「加油!」と言ってくれているのか。
てっきり「カユ」って読むものだと思ってた。

「シンクーラー!」とも聞こえてくる。
これは「辛苦了!」だ。

それから日本語で、「ガンバッテー!」とも。

台湾道路最高地点、武嶺(標高3275m)。

ここは日中は多くの人でごった返すが、峠の少し下にいい場所を見つけたので、そこにテントを張る。

人目につかず、静かだ。
夜は5℃ほど。
ようやく涼める。
輝く天の川。

星空も朝日も、何もかもひとりじめだ!

見ることはできなかったが、台湾には玉山という標高3952mの山がある。
日本統治時代の50年間、日本一高い山は富士山ではなく玉山だったのだ。

どこでも気さくに声をかけてくれる台湾人。
パーキングでテントを張っていたら、車でキャンプしている家族が、一緒に食べようと誘ってくれた。

台湾で最もよく聞いたフレーズは、「ライライライ!」。
「どうぞ、どうぞ」という意味なのだろう。
ついさっき店で定食二人前食べたばかりなのだが、遠慮なくいただきます!

どういうわけか皆さんほとんど食べようとせず、しきりに「ライライライ!」と僕に食べさせる。
山の中での貴重な食料、決して欲張ってはいけない。
でも箸が止まらない。
結局、ほとんど僕ひとりで平らげてしまった。

しかし、この後勧められた酒がキツかった。
よくわからないがウイスキーのような酒に漢方薬を混ぜているようで、喉が焼けるようにヒリヒリする。
でも断れるような状況ではないので、むせながらチビチビ飲んだ。

物価が高くて安宿がないのは決して悪いことではない、キャンプすればこういう出会いがあるから。

「ライライライ!」

山を下ると、また猛暑。

台湾が沖縄のすぐ近くであることを感じさせる。

宿で出会った人たちと川遊び。

台湾で僕が最もハマったのは、水餃(スイジャオ)。

中華圏では、餃子は焼くより蒸すのが一般的。
どの店もたまらなくおいしく、いくら食べても止まらない。

ホステルに泊まったら、蒸し器があった。

店ではいくら食べても足りないので、冷凍の水餃100個入りを買って、自分で蒸してみることに。

簡単にできた。

やめられない止まらない。

水餃100個、一気にやっつけたった。

そしてもちろん、かき氷屋さんを見つけたら必ず駆け込む。

かき氷天国、台湾。

嘉義。

「白飯飲料自助無限」

嘉義は、台北でお世話になったカップルの彼女、イーリンのホームタウン。
ちょうど帰省中だというので、彼女の実家に泊まらせてもらうことになった。
さすがに厚かましすぎるが、当然のことのようにもてなしてくれるので、遠慮するのもかえって不自然なのである。

イーリンのお母さんはレストランを営んでおり、ここでもごちそうになった。
台湾でよく見る、「自助餐」と呼ばれるビュッフェ形式で、イーリンが次々に料理をよそって運んできてくれる。

雞肉飯(ジーローファン)。

シンプルだが、これがたまらなくウマイ。
肉は柔らかくて引き締まっていて、絶妙な歯ごたえ。
味付けは、日本にもありそうでない味。

魯肉飯(ルーローファン)。

文字を見ると魚を連想してしまうが、これは豚肉。

さすがに支払わないわけにはいかないのだが、払おうとしても「ダイジョブヨー! ダイジョブヨー!」と受け取ってくれない。
イーリンのお母さんもハナから僕に払わせるつもりはないらしい。
なんてことだ。

その後、イーリンに街を案内してもらう。
一緒に御飯を食べ、何軒もの店で買い食いする。
コストコにも行った。
「シショク、シショク」と、買い物よりも試食がメインのようだ。

話題の中心は、やはり食。
世界中の家庭でお世話になってきたが、食の話題だけでこんなにも引っ張れるのは台湾人だけかもしれない。

中秋。

中国語だと中秋節、英語だとMoon Festival。
日本では忘れられがちだが、こちらでは大きな祝事。
あちこちで花火が鳴り、BBQの煙が立ち上る。

何気なくただ焼いているだけのように見えるが、ひとつひとつが驚くほどおいしい。

親戚や友人が集まって、僕もおじゃまさせてもらう。
ここでも「ライライライ!」とたらふくごちそうになる。

イーリンとはたくさん話をした。
日本人ではない人とこんなにも話したのは初めてかもしれない。
何から何まで親切に至れり尽くせりで、あまりにも優しくされて、危うく好きになってしまうところだった。
しかし友人の彼女、それはあってはならぬ。

世界の人口の60%がアジアに集中している要因は、やはり気候、とりわけ米食文化か。

米は耕地面積あたりのカロリーが高く、かつ連作障害を起こさない、穀物界のスーパー優等生。
ふだんあたりまえのように食べている米、これが人口を増やしてきた。
ただ、米が育つには大量の水が必要。

水に恵まれて作物がよく育ち、バリエーション豊富な食文化が生まれた。
アジア以外の地域、世界の大半の人々は、毎日同じようなものばかりを食べ続けているが、我々は同じものを食べ続けることができない身体になってしまった。

ぐるっと一周して、台北に帰還。

謝謝台湾!

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