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大熱狂の国境閉鎖式、因縁のインドvsパキスタン

積年の敵対関係にあるインドとパキスタン。
その黒幕は他でもない、宗主国であったイギリス。
民族や宗派を敵対化させる支配構造を意図的につくりだし、本当の支配者に対する不満をカモフラージュする分割統治はイギリスのお家芸であった。

パレスチナにしても香港にしても、そもそもの火種をまいたのは、かの大英帝国。
いまだ解決しえない紛争の数々、張本人は知らぬ顔を決め込んでいる。

独立の際に勃発したカシミール地方の紛争は、三度にわたる印パ戦争へと発展し、今もそこは両国が衝突する前線となっており、多くの死者を出している。
両者ともに核保有国であるため、単なる隣国同士の小競り合いにとどまらず国際的な影響としても軽視できない。

そのカシミールへのゲートとなるワガー国境では、毎夕、国境閉鎖式がおこなわれる。
イン・パ両サイドで威勢を張り合うパフォーマンスに観客も大勢集まり、歌ったり踊ったり叫んだりで、熱狂につつまれる。

パキスタン側国境。

女性席。

男も混じってるな。

席についてまず気づくのが、インド側の熱狂ぶり。
向こうはものすごい人が集まっているのが見える。

女性が活き活きとしている。
極度に女性が抑圧されているパキスタンに対してあえて見せつけるかのように、女性が旗を持って走っていたり、踊ったりしている。

パキスタンも負けてはいない。
人数は少ないながらも大声を張り上げる(男のみ)。
激しいエネルギーのぶつけあいに、僕も心が震えた。

兵士登場。

歴史問題も領土問題も解決は困難。
一度火がついた敵意はそう消えはしない。
その負のエネルギーを、パフォーマンスというひとつのフィクションの中で表現することによって正のエネルギーに転換している、そんな気がした。
具体的な解決策とは別に、こういった形でエネルギーをぶつけあうことも、決して無意味だとは思わない。

隣国同士というのはたいてい敵対するもので、我々日本人も無縁ではない。
直接的な衝突は避けてネットや内輪で毒を吐く、そんな島国の日本人には、こんな風にパフォーマンスでぶつかり合うという発想はなかなか出てこないだろう。

翌日、インド入国。

国境は日中だけ開いている。
地元民の越境は制限されているようで、僕以外の越境者はひとりも見当たらなかった。

夕方、インド側からも観戦。

女性は優先されて側道で行けるので、メインの道は男だらけの群衆。
グイグイ押されて、いつ将棋倒しになってもおかしくない。
ただでさえクソ暑いのに、男同士でこんなに密着して気持ち悪くないのかな。

外国人は専用の席に優先してくれるので、この先はスムーズに進めた。
外国人旅行者の少ないパキスタンに、観光大国インドを見せつけるためだと聞いた。
パキスタンの席からは遠すぎてそんなもん見えなかったけど。

インド側はすでにこの熱狂ぶり。

インドの女性はこんなにも自由で開放的なのよ、と見せつけんばかりに踊りまくる。

パキスタン側では女性はおとなしく座って見ているだけだった。
かつては同じ国だったとは思えない。

インド側は毎日8000人が集まる、と聞いた。
イカれとる。

女性席。

男性席。

僕は前方の外国人席で観戦。
でも図太いインド人のおっさんたちが割り込んできて押し出されそう。

こんなエキサイティングな国境は他にない。
しかしこれを毎日やるって、一周まわって仲いいんじゃないの?

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