日記125 高校でふるい落としているだけ

 理系が足りない理系が足りない、もっと理系学問に興味関心をもってもらおう! という試みがあちらこちらで語られているけれども、理系が少ない理由は別にそこではないと思う。最大の原因は、僕の私見だと、高校数学でふるい落とされているからだと思う。
 概ね偏差値70程度の母校で、理系5クラス/文系4クラスと、ここまであがれば理系のほうが多くなる。だが偏差値60強の高校になると、理系3クラス/文系6クラスになる。
 ふつう偏差値60なら学力でいえば上位1/6にあたるので、相応に勉強ができる層のはずだが、そのレベルでさえ文系が圧倒的に多いのなら、それ以下はどうなるのか。工業高校等の実業高校や高専など、実際的な技能を身に着け、いわゆる理系とみなされる人々が求められる仕事に就く人もいるから、上記の文理のクラス分けのみで語るのは正確なところを捉えられていない向きもあろう。だが、大学や専門学校でいわゆる理系の学問を学びにいく、概ね学力上位の1/2にあたる層の中で、猛烈な選別が行われているのは明らかだと思われる。偏差値60前後の学校に通う層は、大学を受験する層においても、ごく単純に見れば上位半分以上ではあるはずなので(ここでは入学後の努力量は無視している)、このあたりの層からもっと理系にいかなければならないのではなかろうか。彼らも中学校の範囲ではそれなりに勉強ができた人たちのはずなので、鍛えれば充分理系人材として生きられるはずなのだが。いくらキャンパスライフのイメージがあるとはいえ、差が出るのが大きすぎる。とすれば、高校数学で大多数が、学力上位層下位ですら振り落とされていると捉えるのが妥当だと思う。学校の勉強や入試では、教育よりも選別の効果のほうがおそらく期待されているから、こうなるのも宜なるかなといったところだが、全体としてはあまりよい結果をもたらしていないように感じる。

(2024.2.5)

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