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インフルエンザとアサイゲルマニウム


ウイルス感染症と免疫

感染症に関わる免疫システムについて

神戸ナカムラクリニックの中村篤史医師により今年(2023年)2月に有機ゲルマニウム研究会が立ち上がり、有機ゲルマニウムの学術的な面に関するサポートを依頼されて協力会員という立場で関わらせていただいています。
ぼくは25年間の浅井ゲルマニウム研究所での研究部員としての勤務において、アサイゲルマニウムの生理活性に関する研究に従事してきました。そもそも、有機ゲルマニウムの生理活性研究を始めたのは弊社の創設者である浅井一彦博士が設立して所長を務めた財団法人石炭綜合研究所でした。そこで作られた水溶性有機ゲルマニウム化合物である現在のアサイゲルマニウム(開発名はGe-132)を浅井ゲルマニウム研究所が今日に至るまで56年研究し続けてきたのです。
そこで有機ゲルマニウム化合物の研究の中心になって尽力されたのが所員であった及川浩先生です。及川浩先生は、浅井先生の著書『ゲルマニウムと私』のタイトルページをめくると、そこに名前が出ています。この本を捧げると・・・。如何にアサイゲルマニウムの誕生に多大な貢献をされたのか、これだけでうかがい知ることができます。ぼくが持っている記録として、石炭綜合研究所の記録誌である『炭研誌』の中に有機ゲルマニウム化合物の合成研究の黎明期についての記載があります。(及川先生は炭研が解散して後、東洋大学工学部にて教鞭をとられたと聞いています。既に故人ですが、ぼくは生前2度ほど会う機会がありました。が、残念ながら、ほぼ面識もないので挨拶を交わしただけでした。)

その後、アサイゲルマニウムが完成し、炭研は諸事情(経済的問題が大きかったと思われます)により解散してしまいました。ですが、浅井先生の私財をつぎ込んで作った私的研究所である浅井ゲルマニウム研究所がアサイゲルマニウムの開発の母体として、私設の研究機関でありながら延々と生理作用研究や人による摂取を前提とした安全性評価のための毒性試験に取り組み、今に至っています。(別記事に記したように1975年に株式会社化しています)
弊社以外にも、その後にニーズを見出した研究者や研究機関、製薬会社などが有機ゲルマニウム化合物の生理活性に注目し、研究も行われています。しかし、不遇な時が多々あったにも関わらず、一貫して資金を費やして研究し続けてきた弊社の先人たちの姿勢に、ぼくは敬意を持っていますし、誇りとしています。

『アサイゲルマニウムとは何なのか?』の連載記事の中にも記していますが、様々な経緯(笑)をとおして、生理活性の研究が下火になったときにも、ぼくが関わり続けて研究し続けることを許可(許容?)してくれた会社のお陰で(現実として収益が全く途絶えた中でも細々と研究を続ける道を用意していただきました)、自称・有機ゲルマニウム化合物の生理活性について総合的に世界一詳しい者になっているわけです。
それなので、その知識を活かしての立場として、有機ゲルマニウム研究会の会員資格(医師・歯科医師・獣医師)の枠を超えて、特別に協力会員という謎の立場に据えて頂き、文字通り協力している状況です。以下の有機ゲルマニウム研究会の会員一覧を見ると、実に多くの医師・歯科医師・獣医師の皆さんが参加してくださって、励まされます。
この記事をお読みの皆さんの地域にも、会員の先生方がおられるかもしれませんね。

さて、前置きが長くなりましたが、毎月定例で有機ゲルマニウム研究会会員のZoomミーティング(勉強会)が行われ、有機ゲルマニウム・・・特に安全性が確認されている唯一の素材として当会が推奨しているアサイゲルマニウムについて、基礎知識のレクチャーを承っている次第です。
6月の勉強会では、アサイゲルマニウムの最も深く研究されてきた領域である『免疫』についての知見を過去の研究を踏まえて紹介したのですが、その流れをくんで、今回は『アサイゲルマニウムのウイルス感染症に対する作用性』の研究紹介を行いました。

なぜ免疫研究の流れでウイルスなのか・・・。
ここ数年のコロナ禍で、過去にないくらい『免疫』というものに注目が集まったのではないでしょうか。免疫とは「疫(病)を免れる」という意味を持つ言葉で、生体が”神(天)から与えられている”健康を維持するための力、システムだとぼくは考えています。生まれながらにして、ぼくたち人間は(ヒトに限らず動物・植物も)自己の正常性・恒常性を維持するのに必要な機能を持っています。これは謂わば天与のものであり、DNAに組み込まれているわけです。
ぼくは、あまりにも複雑なので免疫の勉強が嫌いで、大学時代に見て見ぬふりをしていました(汗)。
しかし、そんなぼくがアサイゲルマニウムに関わることになり、「免疫に効くとか胡散臭いなぁ・・・(苦笑)」などと思いながらも、実験をしていくと明らかにアサイゲルマニウムが免疫に影響していることが見えてきます。それは、金太郎飴のように、切り口を変えた実験でも、やってもやっても免疫への影響がでてきます。
そんな免疫の重要な働きの一つが、疫病をもたらすウイルス感染症により感染した細胞への応答です。免疫というと、一般の人達に浸透している概念は抗体だと思います。きっと免疫について特別勉強したことのない文系コースだった皆さんも、『抗体』という言葉は聞き慣れたワードだろうと思います。実際には”本物の抗体”が関係しない用例で、苦手な組織や人物との関わりに慣れてくることついても「抗体ができてきたから大丈夫!」とかの間違った使い方がなされるケースもあると思います。
これというのも現代社会では「感染症(忌避するべき状態)にかかると免疫系が作動して抗体を作って感染防御する(耐性を持つ)・・・」というのが決まり事のように刷り込まれているからです。これが最も大事なことで、免疫による生体防御においての全てであるかのように、それは念入りに刷り込まれ洗脳されているのではないかと・・・ぼくは感じています。皆さんはどう思われますか?
たしかに、抗体は抗原と結合して抗原性を減弱し(結果として生体が受けるダメージを軽微にしてくれ)ますが、それだけが免疫ではありません。また、もう今回のこと(パンデミック騒動)でおわかりでしょうが、皆さんが思っているほど抗体が万能なわけでなく、次々と変異を繰り返すウイルスの作るタンパクに人為的に作った抗体で対応するのは難しいです。結局、即席のワクチン(と言って良いのかすら疑問)は看板倒れで、感染を予防どころか接種以降の方が感染者が激増し、接種した方々も普通に罹患し、何度も何度も注射しなければならなくなる始末。さらには接種のたびに光熱や副反応で苦しむという・・・何目的のプレイなのか。。このあたりは、各々の考え方があると思うので、ぼくはそんなふうに感じたことを記しました。

さて、免疫の仕組みについて、一応概略を示します(詳しいことは書籍や漫画・・・『はたらく細胞』?などで学んでください)。この抗体を産生するのに主要な役割を果たすのが、B細胞という免疫細胞で、細かいことは抜きにしてB細胞とT細胞が中心的に機能します。
免疫は、極めて単純化して表現すると、大きく2つの種類のシステムに分類でき、これらが共同的に働いて”他者である異物から自己を防御”しています。この2つのシステムの一つが、上で述べた抗体産生を中心とする獲得免疫系です。獲得免疫というのは、後天的に獲得される防御素材である抗体を介した作用であることによる名称です。これらはリンパ液や血液などの液性のものに溶け込んだタンパク質・サイトカインやケモカインが中心に機能するので、別名として液性免疫とも呼ばれています。
一方、先的に生まれながらにえられている天与の免疫システムが自然免疫系と呼ばれるもので、別名として細胞性免疫とも呼ばれています。
アサイゲルマニウムが中心的に活躍するのが、後者にある自然免疫のフィールドです。このあたりは以下の記事『アサイゲルマニウムと免疫~その1』にも記しています。

さて、この細胞性免疫ですが、マクロファージとともに重要な働きをするのがナチュラルキラー細胞です!『ナチュラル・ボーン・キラーズ』という映画がありましたが、大学生のときに観て、かなりやばい映画でした。名前が似ていますが別物です(笑)
まぁ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は分別のある殺し屋で、普通に異常な細胞を見分けて殺傷していきます。おもな標的細胞は癌細胞とウイルス感染細胞になります。
マクロファージやNK細胞は普段から身体の中の異常をいち早く見つけて、健康を守り・引き上げてくれる重要な働きを担っています。記した通り、攻撃標的の細胞がウイルス感染細胞も含んでいます。


マウスインフルエンザ感染症に対するアサイゲルマニウムの防御効果

そんなわけでアサイゲルマニウムによって活発に働くようになる細胞性免疫により、ウイルス感染への抑制的な作用が現れるのです。
かくして、アサイゲルマニウムの免疫研究はウイルス感染への作用性研究に進みました。
その中で、東北大学医学部の石田名香雄先生のグループで熊本大学医学部の教授となっていた鈴木富士夫先生が共同で研究され、インフルエンザウイルスによるマウスの致死モデルにおけるアサイゲルマニウム投与の影響検討を行われました。追試的な内容で、更にメカニズムを検討している研究が東北大の麻生久先生により行われ、1986年に熊本大学・東北大学の2つの研究論文が以下リンクのように発表されています。

いずれの論文もインフルエンザウイルス (A2/熊本/H2N2株)をマウスに感染させ、マウスの半数が致死するウイルスの10倍量で確実に致死する状況におけるアサイゲルマニウム(Ge-132)の効果について検討しているものです。

発表資料のタイトルページ

レクチャーでは、基本的には文献の紹介を丁寧に行う形で、一つずつの図表を説明しました。ここでは、その中でもわかりやすく変化が明快なデータのみ紹介します。

まず、鈴木先生が発表された前者の論文です。
感染させてアサイゲルマニウムを投与しないControl群は20日以内に全個体が死亡します。しかし、アサイゲルマニウムを100mg/kgで投与したマウスは生存率が最も高く(至適量)、60%が30日経っても生き残る結果になっていました。

さらに、投与のタイミングを検討したデータがあり、感染の直前と感染後に頻回投与した場合に最も有効で生存率が高くなり、治療的な感染後の投与のみの場合よりも有効だったことが示された結果になっています。

次に、麻生先生が発表された論文の紹介からいくつか抜粋します。
基本的に、鈴木先生と同じ実験系を踏襲して研究されています。
ここでも至適投与量は100mg/kgであり、有効な量が再度確認された形です。こちらの研究では20mg/kgという五分の一量の投与でも40%が生存することが示されています。(確実に死に至るウイルス量の感染状況での生存であることは重要でしょう)

つづいて、この致死モデルで肺の状態がどうなっているかを確認しています。昨今のウイルス感染症(新型コロナウイルス)でも話題になりましたが、インフルエンザも含め、風邪系のウイルスの問題点は肺に感染したときに肺で激しい炎症、すなわち肺炎を起こし、呼吸困難の後に死亡するということになります。
この研究で用いているインフルエンザA2ウイルスも劇症肺炎を引き起こし、肺のレントゲン所見として炎症による影がでて、白く霧がかかったようなレントゲン像になるコンソリデーションという状況が生じます。
このコンソリデーションの様子を以下に図示していますが、先の生存率のデータと逆の相関で、100mg/kg投与ではコンソリデーションスコアが最も低く、次いで20mg/kg投与が低くなっていました。
生存率の低くなる500mg/kgではさらにコンソリデーションスコアが上がり、Controlは非常に高いスコアになっていて、このコンソリデーションが肺の機能不全につながって死亡する原因となっていることが示唆されます。
つまり、アサイゲルマニウムの適量の摂取が肺炎の抑制に繋がっているわけです。
このようなコンソリデーションを伴う肺炎の原因は、サイトカインストームという炎症を引き起こすサイトカインというタンパク質の過剰産生にあります。

要するに、ウイルス感染によりサイトカインが大量に産生され、肺に炎症が生じ、過剰な肺炎により死亡するのですが、アサイゲルマニウム投与でこの炎症が抑制されて、重症化が抑えられた結果として死ななくなったということです。図は示しませんが、このときの肺でのウイルス増殖を検討した結果、アサイゲルマニウムの有効量投与はウイルス増殖も抑制していたことが確認されています。

効果の出る理由を検討するために、細胞性免疫の要でもあるNK細胞の活性を調べた結果の表を上に示しています。細かいので、見にくいと思いますが、結論としてはアサイゲルマニウム投与を行うと、感染したマウスでの脾臓や肺におけるNK活性が上昇し、感染細胞を殺傷するであろうことが示されています。特に、脾臓では感染がない場合でもNK活性が上昇するのですが、肺では感染した場合に対照となるPBS(生理食塩水)投与でも3日目からNK活性が上昇します。この時のみアサイゲルマニウム投与でNK活性上昇が誘導されています。
おそらく、感染により肺にNK細胞が増え、このNK細胞がアサイゲルマニウムで活性化されているのだろうと思います。
元の文献には、さらに興味深い検討が行われてNK細胞の標的細胞に関する実験結果が載せられていますが、内容が難しく専門的なので、ここでは敢えて触れません。上記の文献リンクから元文献のPDFをフリーで見ることができるので、興味のある方は御覧ください。

この他に、既にnote記事として紹介したことのあるRIG-IシグナリングにおけるRNAウイルスの3pRNAとの結合を介したアサイゲルマニウムの作用を紹介しました。興味のある方はこちらの記事も御覧ください。


インフルエンザ以外のウイルス感染症への作用性

上記の紹介例はインフルエンザおよび3pRNAに特化したウイルス感染症に関する内容になっているのですが、インフルエンザウイルス以外にも検討されています。例えば宮崎医科大学の中川先生が行われた以下のマウスサイトメガロウイルス感染症の研究。
こちらも同じように致死モデルを使い、60%が生存するようになる結果が得られています。

いずれにしても、アサイゲルマニウムによりインターフェロン(γ)が誘導されます。ウイルス感染ではγ型ではなくインターフェロンβが激しい炎症を起こすため、肺炎の劇症化が生じるのですが、一方でアサイゲルマニウムは免疫細胞であるマクロファージの炎症性を抑制してくれるので、過剰な炎症を抑制しつつ細胞性免疫を高め、問題を起こしているウイルス感染細胞を除去してくれるのを早めるということが起きていると考えられます。

そんなわけで、ぼくは周囲で感染性のウイルス疾患が流行っているときは100mg/kgを目安に躊躇せずにアサイゲルマニウムを口に放り込みます(笑)まぁ、20-50mg/kg程度というのがいいのかな。


ウイルス感染症への有用性についての研究とその顛末

ちなみに、アサイゲルマニウムの開発の歴史としての記録は、文献検索をすると見えてきます。NCBI(National Center for Biotechnology Information)という米国政府のNIHが運営するサイトがあり、ここでPubMedというツールを使って無料で文献検索することができます。
Ge-132がアサイゲルマニウムの開発名なので、この名称が文献に記されているものが多くなっています。

このデータベースで2023年8月23日現在でGe-132を検索すると131件の文献がヒットします。PubMedでヒットする最も古い文献は1978年のものです。東北大医学部の年報の中の記事になります。1985年あたりから免疫系の基礎研究の文献、癌に対する作用研究が現れます。さらに1989年で先に上記で紹介した研究の英文での発表がされているのが出てきます。
1990年代に入り、1991年から毒性の問題が文献上でも出ています。結論は無機の二酸化ゲルマニウムが毒性が強く、腎不全を起こす。一方、アサイゲルマニウムには毒性が出ない。というものでした。
1994年になるとPropagermaniumとかSK-818という文献が入り込んできます。Ge-132と記されていないのにヒットするのは、化学の領域で考えればどちらも同じ水溶分子の重合物で、重合の仕方が違うだけのものと捉えられるからです。このことは脇に置いておいて、これらのプロパゲルマニウムによる抗ウイルス作用に関する文献ですが、アサイゲルマニウムの抗ウイルス作用の研究(日本国内の発表)から10年、1989年の英文誌での発表からでも5年経ってから出てきているわけです。
ちなみに、一緒に研究していた人たちが重合パターンの違う結晶を使ってプロパゲルマニウムという名で開発し、ウイルス性肝炎の治療薬として認可を受けたという経緯です。(ちょっと表現は悪いですが旧Twetterの中ではパクリと記させてもらいました・・・)

いずれにしても、アサイゲルマニウムのウイルス感染への作用というのは明確な有効性があり、医薬品としての開発ノウハウがしっかりしていれば、医薬品として認可を受けられたのかもしれません(ぼくは医薬品にならなくて良かったと思っていますが)。なお、このプロパゲルマニウムは慢性肝炎の治療薬としてセロシオンカプセルという製剤が使われています。今では肝炎に対しては他の有効な後発医薬品があるので使われなくなっています。
現在、使われなくなってきたプロパゲルマニウムは適用を変え、癌転移の抑制への応用が検討されています。アサイゲルマニウムとプロパゲルマニウムは水に溶けたときの構造は一緒ですから、当然のこととしてプロパゲルマニウムも免疫に働いて癌に作用するはずですね・・・。
結局、1970年代に取り組んだアサイゲルマニウムの癌への作用が40-50年経た今になって、医薬品メーカーで転用を考えているということだと思います。

アサイゲルマニウムとプロパゲルマニウムは、司法の場で別の物質であると結論が出ています。このあたりは化学的な世界と物理的な世界の考え方の違いがあると思います。物理的見れば、両者は実際に結晶構造が異なっていて、粉としては別の分子です。面白いのは(おもしろくないけど)水に溶けるとポリマー構造が崩壊し、単分子モノマーとしては同じ3-トリヒドロキシゲルミルプロパン酸になって、同じ挙動を示すだろうということです。
アサイゲルマニウムは医薬品ではなく、安全性についてもよく確認されている食品(素材)になっているものですから、普通に流通されてエンドユーザーが購入できます。
ある種の健康維持作用を期待して、皆さんに健康のために用いていただければ、嬉しく思います。


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