近況報告①:人材業界20年の浅井の最近の話と、これまでの話。
「浅井慎吾は最近、何をしているのか?」と聞かれることが増えましたので、このnoteにて報告させてください。
久々に文章を書くと、だいぶ長くなってしまいました。
これまでと、これからの2部に分かれております。
ご興味ある方はぜひ両方とも読んでいただけると嬉しいです。
まず最初に、僕自身の現在についてです。
昨年、15年間運営してきた就職メディア旧パッションナビを信頼できる仲間たちに事業譲渡し分社化も経験しました。理由は、彼らであれば今以上に社会のためになるサービスへとブラッシュアップしてくれると確信が持てたからです。
突然、あれだけ拘っていたメディアサービスを事業譲渡の話をすると、確実に心配されますよね(笑)
ご安心ください。私は新たな冒険の旅を始めました。まだまだ、この人材業界で為せることは多いと感じています。あ、分社化した会社との関係性は良好ですのでご心配なくです。
活き活きと働く人を増やすために立ち上げたパッションナビ
さて、久しぶりに原点の話から始めたいと思います。
パッションナビを立ち上げた理由は採用におけるミスマッチを無くすことでした。
大手ナビサイトが主流の時代に、「志あるベンチャー企業のみ掲載」という独自の立ち位置でのスタート。
今では当たり前のベンチャー企業特化の就職メディア。当時、僕たち含めて数社のみ。完全に未常識な市場。不安がないと言えば嘘になる。
しかし、確実にニーズがあるのは様々なベンチャー企業の社長との対話から明白でした。
結果、立ち上げ当初から80社以上のベンチャー企業に登録して頂きました。そして、若くして挑戦し、成長したい学生とのマッチングを実現。そんな姿を見る度に、本当にやってよかったと心の底から思っていました。
メディア立ち上げ当時、新卒入社後の離職率は38パーセント。
「ミスマッチを無くそう!この数値をゼロにするんだ!」そう想ってパッションナビを立ち上げ、ユーザーにひたすら向き合ってきました。
会社紹介の方法を変えたり、これまでになかった就活イベントを作ったり。
できることは少しづつではありましたが、挑戦してきたつもりです。
しかし、残念ながらこの数値に大きな変化はありませんでした。
目的を達成できずに離れる悔しさはもちろんあります。
しかし、僕は諦めたわけではありません。
少しだけやり方を変えてみることにしました。
僕は、現在HR TRADEというサービスに力を入れています。
パッションナビが採用の入口を整えるものであれば、HR TRADEは出口を整えるもの。
つまり、入社ではなく、退職シーンにフォーカスを当てたサービスです。
世界でもあまり主流となっていない退職マネジメントの領域。
またもや、未常識の市場と向き合う挑戦が始まりました。
今回と次回のnoteでは、20年以上人材業界で課題に向き合い続けた僕が、なぜ今このサービスに全力で向き合っているのかについてお話しさせてください。
働く意義を教えてくれたベトナムの少女
僕の人材業界との出会いは就職活動です。
就職活動の軸は、「活き活きと働く人がいるかどうか」。
とにかく、仕事に前向きで、のめり込んでる人たちと一緒に働きたい想いがありました。
僕の価値観をそう決定付けたのは、大学時代にベトナムで出会ったバラ売りの少女。
20年前のベトナムは、決して安全な国とは言えない場所でした。観光客が強盗にナイフで脅されたり、ときには殺されるような事件が頻発していました。そんな時代に、少女は夜な夜な路上でバラを売り続けていました。
そんな彼女に「何のためにそこまで働くのか?」と聞くと、
屈託のない笑顔で「生きるため」と一言返ってきたんです。
「生きるために働く。」
安全な生活が保証されている国で育った若干20歳の僕は、強い衝撃を覚えました。
世界には、生きるために働かなければならない人たちがいる。
でも、今の自分にはその必要がない。バイトしてお金を貯めれば好きな国に行けるし、明日のご飯を心配する必要もない。
では、「これから僕は何のために働いていくのか?」
帰国後の僕の頭の中はこの問いで埋め尽くされていました。
その結果、僕が出した答えは「活きた仕事」をすること。
そのために必要なのは、とにかく自分が仕事を楽しむこと。
そして、仕事を楽しむ人たちと一緒に働くこと。
当時の就職率は1.08倍。いわゆる氷河期ど真ん中。大手金融や総合商社や総合広告代理店などの人気企業も採用人数を大幅に縮小し、選考に応募することすら難しい時代でした。
高いハードルだと知りつつも、挑戦せずに諦めたくはない。
微かな希望を胸に大手企業を中心に数十枚ものESを提出するも結果は全社落ち。
「これからどうしよう」そんなときに出会ったのが、新卒で入社したベンチャー企業でした。
リクルートの代理店営業をしており、当時はまだ30人規模。この会社を知ったのは、実家から転送されてきた説明会の案内。もし、母が案内を捨てていたら、この会社を知ることもなかったでしょう。
「今日は会社の説明はしないので、みんなの質問に答えます。」会社の代表佐藤が、大勢の就活生を前にそう言って始まった説明会。
「説明会=一方的な情報の羅列」というイメージがいい意味で崩れ去りました。
質問する学生一人一人の目を見ながら真摯に語りかける姿勢や、後ろの席に座る学生にも目線を配る配慮を怠らない。そして、何より活き活きと仕事について語っていたんです。
「この人と一緒に働きたい!」そう思って選考に進み、無事に合格。
人材領域専門の広告会社での仕事が始まりました。
トップ営業になるためには、WHYを唱え続けよ
仕事は求人媒体の広告枠の販売。入社後のギャップはもちろんありました。
新規獲得の飛び込み営業は、決して楽ではなかったです。店先で怒鳴られたり、思ったような結果が出ないこともありました。
そんな環境でも、仕事を楽しめていたのは、活き活きとした人たちと働けていたから。
僕にとって就職活動は、就人活動。
人で会社を選んだことにより、会社の持つ価値観や文化、社風に強くマッチすることがわかりました。そして、それが仕事のモチベーションを支えてくれた。
ベンチャー特有の早期から挑戦できる社風が後押しし、2年目にはトップ営業を達成。
大切にしていたのは、常に「WHY」を考え尽くすこと。本質を追求し続けて、本来の課題はどこにあるのか、適切な打ち手は何なのかを考え尽くす。
総合広告代理店も志望していた僕は、求人広告枠の販売だけをすることを疑問に思っていました。
雑誌や新聞やラジオ、そしてTVCMと、広告の枠は無数にある。にもかかわらず、僕は決められた枠しか売れない。「でもそれって本当にそうなのか?」その問いから、お客様に対してTVCMを提案し、異例の高い売上を記録した時は社内が騒然としていました。
強烈なまでのWHY思考を身に付けたのは学生時代。地元名古屋を離れ、単身関西の大学へ進学。地元の友人たちが東京を目指す中、僕が選んだのは、知っている人が誰もいない関西でした。
人間関係を1から作り直す不安とは裏腹に、意外とすぐに友達ができました。
しかし、初めての関西人との接触は想像を絶するもので。。。笑
「ほんで?」「なんで?」「そんで?」大袈裟かもしれないが、彼らは常にWHYを聞いてくる。何をするにしても理由を求められ、真面目に回答すると「おもんな」という一言で片付けられる。とにかく笑いに厳しい。
そんな環境下で4年間も生活していると、自然と頭の中でWHYを唱える癖がついてきました。
なんで学校に行くのか?なんで働くのか?どうして人材なのか?
WHY思考は、関西人からかなり学んだと思います。
誰のための仕事なのか?
入社から数年経つと会社の規模も拡大していきました。
そして、僕自身も東京へ拠点を移し、東京エリアでもトップセールスを記録。年収も1000万円の大台に差し掛かかっていました。
しかし、その頃から仕事に対するワクワクがなくなりかけていました。
仕事も生活も安定し、人から見れば順風満帆だったでしょう。
30歳を前にして将来がある程度見えてしまって、そこに全くワクワクしなくなりました。
これはまずいと上司に相談するも「お前は俺よりも成果出して、年収も高いんだから、何に悩んでんだ」と言われる始末。
そんな時、ヘッドハンティングの声がかかり、複数の企業を訪問する機会が舞い込んできました。「とりあえず話を聞いてみるか」くらいのテンションで訪問。
いろんな社長に「最近仕事にワクワクを感じなくなっているんですよね」という率直な悩みを打ち明けました。
すると、一人の社長が「君の仕事は社会のためになっているのか?」と一言。
会社の売上には貢献していたので、会社のためにはなっていた。しかし、社会のためにとは、考えたこともなかった。
全身に稲妻が走った瞬間でした。
とはいえ、急に何かを始めるわけにもいかない。どうすればいいのかと悩んでいると、「自分の感じる社会の歪みに目を向けてみろ」というアドバイスを別の社長からいただき、身近にある社会の歪みを探し始めました。
そんな時に飛び込んできた「新卒の38%が3年で辞める」というニュース。
当時担当していたクライアントに確認すると、62%が3年以内に辞めていると言われました。
語弊があるかもしれませんが、当時の僕の仕事は人が辞めれば儲かる仕事の構造になっていました。
人が減れば求人広告を出す必要があるので、掲載の依頼が舞い込んでくる。そして、その売上が積み重なり、僕はトップセールスになることができていた。
この歪みを解消したい。初めて社会のためにという軸が芽生えた瞬間でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回のnoteでは、アイパッション設立後のお話をします。