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【エッセイ】不思議な涙~お母さんへ~

またこの季節がやってきました

桜が咲く

美しく大好きな季節でもあり 

一瞬の事故で逝ってしまった

母の命日の月

もう12年も経つだなんて…

月日が経つのは
本当に早いものです

母と最後に会った日を忘れません

それは亡くなる2日前

当時、0歳、3歳児のいた
私の家に応援に来てくれた母

兄のことで悩みがあるようだった

帰宅の際

「まぁ一緒にがんばりましょうよ」

と声を掛けたところ

母は玄関のドアをゆっくりと閉めながら

ひと言

「ははぁ〜

おおせのままにぃ〜」

深々頭を下げ
残り5センチのところで扉を止め
目を合わせてきた

二人で爆笑しながら

「バイバイ!またね!」

と交わし合った言葉

事故の一報が来たとき
もちろん
とても動転したけれど

母はその半年前ほど前から
繰り返し
自分の命の終わりについて
語っていた

最近
死を身近に感じるようになった
この年齢だしね(当時68歳)
とも言っていた

私にもし、なにかのことがあったら…

と通帳や印鑑の場所
入っている保険

葬儀については
宴会みたいに明るく
どんちゃん騒ぎしてもらうのが良い

お料理は一番良いものを

◯◯さんはお酒が好きだから
切らさないように
どんどん飲ませてあげてね

その他、臓器提供、延命について

などなど

繰り返し話していた母

私は母が亡くなるなんてことは
絶対に嫌だったので

考えたくない

介護なら喜んでするから
安心して老いてよ
だからそんな話しないで

と言っていたけれど
いつか
母を
看取る日が来るのかもしれない…

と考え
ひとり恐ろしくなったりしていた

そんな中での事故の一報

まさか…
と思ったけれど

今考えるとあのとき
”母が亡くなる”
ということについて

本当に嫌だったけど
少しでも考えたことがあった
という事は
一連の出来事を受け止める上での
なんというか
素地となっていたように
今思う

あれから私は不思議と
そんなに泣くことも
無かったけれど

最近、よく泣いている気がします
(年齢もあるけれど…)

特に
次男が小学校1年生になったとき
長男と二人で手を繋いで
登校していた
通学路に
私は途中までついて行って
大きな桜のところで見送っていた

いつも通りバイバイと別れようとした時
長男が急に

「あぁ、おばあちゃん!」

と言って私の左奥の方を見た

「えぇ?おばあちゃん?いるの?」

というと
いるじゃんそこに
とまた同じ場所を指差して

じゃあバイバイと学校に向かった

なんだか胸がいっぱいで
思わず涙が溢れていました

どうゆう感情なのか
寂しいような
温かいような
自分でもよく分かりません

といって慟哭するような
悲しい気持ちはなく
心の底は平穏

なので
どうゆう理由なのか

本当に分からないけれど
とにかく勝手に涙が溢れていた

とても不思議な
あの日あのときの空気感を目一杯感じて
ついついまた涙が出る今月です

お母さん見てる?
二人はもう
6年生と中3になるんだよ!

アラフォーからの豊かな人生をガイドする
ライフクリエイター朝比奈卵




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