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【エッセイ】いぬねこ論争

 職場の飲み会で、上司がみんなに「犬派か猫派か」と問うた。12~3人の宴席だ。
「犬派の人?」数人が手を挙げる。
「猫派の人?」残りの数人が手を挙げる。
 話題作りの質問だったのだろうが、私はこのときなぜかムクムクと反抗心が湧いてきて、犬と猫の両方に手を挙げた。そうしたのは私だけだった。
 犬も猫も飼った。両方かわいかった。派閥に分けることに何の意味があろう。もとより、選んだり優劣をつけることが苦手でもある。
 そのあと上司に両方に手を挙げたね、と言われ、「犬も猫もネズミも鳥もミニブタも、小動物はみんなかわいいです」と言い放ってしまったのを覚えている。
 それから宴会のあいだどうにも雑談に集中できず、隣の人の話に適当に相づちをうちながら、プレーリードッグとミーアキャットについてしきりに考えていた。
(プレーリードッグのまろやかな鼻先はなるほど犬のそれで、ミーアキャットのシャープな鼻先はやっぱり猫のそれなのだ)

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