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「まさに生きづらいこのささくれた社会を癒す物語」窪美澄さん最新作『朔が満ちる』に書店員さんから反響の声続々!

窪美澄さんの新作『朔が満ちる』が7月7日に発売になりました。

ヒリヒリした切実な心情を描くことに定評のある著者・窪 美澄さんが「家族」と向き合う虐待サバイバーの男女を描く「決別」と「再生の物語」です。

ひと足先にお読みいただいた書店員の方々から、ボロボロに傷ついた二人が迎える震えるようなラスト、窪美澄さんが描ききったリアルに、たくさんの声が届きました。寄せいただいた感想文を特別に公開いたします。

十三歳のあの日、僕は父を殺そうとした――
継続的に親から受けてきた暴力によってできた心の傷に
今も苦しむ史也。家族と離れ、カメラマンを目指して日々励むが、
ある日出会った看護師の梓からは、互いに自分に似た匂いを感じ、
徐々に惹かれ始めるふたりだった――
――サバイブ、したのか? 俺ら。家族という戦場から― ―

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ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん
 人はいろいろキズを持つ。キズつけるのも人間だし、でも、それをいやすのも人間だ。人によって、心がいやされ、人によって、生きる希望を持てる。とても心をわしづかみにされた。

ダイハン書房本店 山ノ上純さん
 深い傷を負った主人公が、分かり合える人と出会えたことで、自分の中の負の部分に打ち勝っていく。子供には絶対に自分たちのような酷い目には合わせないと誓い、今なおこの世界にもかつての自分たちと同じ境遇の子供たちがいる事を慮れることが素敵だと思いました。

椿書房 渡部哩菜さん
登場人物1人1人が必死に生きて闘っている。絶望の淵に立ち、どうしようもない感情と向き合っている。人生において一番大きな存在、そう簡単には断ち切れない家族に対して、長い時間をかけて苦しんだ挙げ句決別した彼らは本当に強く、その姿に勇気をもらいました。

ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
 家族からの暴力に傷ついた、同じ匂いを持つ二人。あなたたちは無理に人生に決着をつけたりしなくていい、と何度も繰り返し私は伝えたい。見せかけの家族、そんなあやふやなものより、今繋がっている誰か。本当の家族が生れる新しい生命の誕生に明るい未来を見た。

ジュンク堂書店松坂屋高槻店 貴田綾乃さん
 読み終えたあとも読んでいる途中もずっと心にあったのは、DVのまっ只中にいる子どもたちの閉塞感でした。主人公は13才以降虐待を受けませんが、その当時に閉じ込められていたままでいるように思います。そのリアルなつらさが今回とても心に残りました。
 家庭が一つずつ違えば、DVも違い、親とどうなりたいか、受け入れるのも一生許さないでいることも、結論は一人ずつ違う。一人ずつ模索しながら、日々を何とか生きている。この先もサバイバーであるというのは、そういうことだと思いました。

ブックジャーナリスト 内田剛さん
 父を殺そうとした少年と母に捨てられた少女。揺らぎ続ける愛と憎しみ。底知れぬ哀しみと痛ましい束縛があったからこそ、勝ちとった自由は尊く降り注ぐ光は眩しい。渦巻く感情をものの見事に描き切って、まさに生きづらいこのささくれた社会を癒す物語だ。

郁文堂書店庭瀬店 藤原郁子さん
 過酷な状況から生き残った者、それがサバイバー。一番過酷な状況にあるはずの史也の不器用ながらも優しく魅力的な人物像に惹かれ、過酷な描写がある中も寄り添う様に読む手も止まらない。歪でもいい、どうか彼らの心が満ちてゆくように。

有隣堂藤沢店 佐伯敦子さん
 家庭内暴力をここまで真っ直ぐに書いた作品はこれまで読んだことがない。何年もトラウマにひきずられる人生。けれど、きっとどこかで救いとなる出会いがあり、人はどんな人生を生きてきても、再生できるのだ。「何でも話せる」人と出会うことが“救い”なのだ。

紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん
 幼少期の家庭環境に問題を抱えた人たちが出逢い、人生を再生させていく。駐在さんや、伯母さんのような周囲の存在が、生きることを諦めない理由となり、誰よりも梓という存在がお互いに欠けた部分を補うピースとなる。生きていたからこそ、たどり着ける結末だ。

蔦屋書店嘉島店 迫彩子さん
 親が自分と世界の結び目であるならば、家は社会との結び目。「最低最悪な家」からサバイブした子供たちは自分の新しい家を得るまで、それを実感することはできないのではないでしょうか。光のほうへ手を引いてくれるのもまた人だという希望のラストに震えました。

丸善名古屋本店 竹腰香里さん
 想像するだけでも心が掻きむしられるほど苦しい二人の過去に向き合う史也と梓。傷つきながらも乗り越えていこうとする二人の姿に涙が止まりません。壮絶で過酷なのですが、史也と梓が前に進むほど、勇気をもらい、一緒に救われていくような気持になりました。

くまざわ書店錦糸町店  阿久津武信さん
「家族」というユニットは一度壊れてしまうと、消えることなく、一生ついて回る。しかしながらそれを修復できるのもまた「家族」でしかないのかもしれない。

成田本店みなと高台店 櫻井美怜さん
 子供の頃の自分、今ここに居る自分、そしてこの先の人生を歩む未来の自分まですべてを包み込んでもらえた、と感じる小説はこれまでなかった。過去に蓋をして「ふつう」の仮面をかぶって生きていくのは、いつまでもはがれない心のかさぶたを守り続けるということだ。

うさぎや作新学院前店 丸山由美子さん
 物語の中だけのことであってほしいと思い続けながら読んだ。

HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん
 いわゆるDVの被害者たちは、一般的な家族のイメージから程遠い経験をしたせいで疎外感を味わったり、人との関わりを恐れてしまったりする。家族からの暴力や憎悪に苦しみ続けている史也と梓が、過去と向き合い負の連鎖を断ち切る、再生の物語だと感じた。

大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん
 家族という、本当にやっかいで複雑で正解のない関係に正面から挑んだ作品。重いテーマながら一気に読んでしまった。主人公たちのこれからが、希望に満ちたものでありますように。

金高堂野市店 小松航輝さん
 最悪から生き延びたはずのDVサバイバーが背負い向き合う痛み、悲しみ、憎しみに身がすくみました。暴力がすぐそばにある日常。すべてを理解はできないだろうが、それでも知るべきだと思う。簡単には割り切ることができない憎しみや、絶対の決別があることを。

ジュンク堂書店郡山店 郡司めぐみさん
 全く抵抗できない子供に暴力をふるう父親がいるという現実の理不尽さ。その父親を殺そうと斧を振り下ろしたこと。2つの大きな傷を抱える史也の前に現れた梓。お互いの力で過去に向き合い呪縛から解き放たれた時、震えるぐらいの感動に包まれました。

蔦屋書店熊谷店 加藤京子さん
 痛々しい出来事については、知らずに無関心でありたい。目をそらしていたことが、悲劇を増やしていくのではないでしょうか。健やかで安心できる社会と私たちの明るい未来を祈って。この切なる願いと慈愛に満ちた作品への経緯の証しとして。いつかその日まで。

幕張蔦屋書店 後藤美由紀さん
 ニュースで知る虐待事件の、暴力を受けてきた子供たちが何を思い、どう生きているのか、毎日をどう戦っているのか、この物語は教えてくれる。世の中に大勢いる彼らが、どうか「サバイブ」できますように、と祈るような気持ちでいっぱいになった。

BOOKSえみたすピアゴ植田店 清野里美さん
 虐待される子供がいなくなることを切に願います。「親って、自分と世界の結び目みたいなもんじゃん。」の言葉が印象的。固く結ばれてるようで解けなかったり、見た目はきれいだけど解けやすかったり、一見結ばれてるようで絡まってるだけとか。私のはどんな結び目だろう。

明屋書店MEGA大内店 文芸書ご担当者さん
 子どもにとって、親というのはどんなに重要な存在なのか思い知らされました。よく「親はなくても子は育つ」といいますが、その子たちは綱渡りをするかのように生きているのかもしれない。そして彼らがこれからどう生きていくのか。最後の場面から、物語がまた始まる。

精文館書店中島新町店 久田かおりさん
 この理不尽な怒りをどうしよう。ただただ、生き延びてくれてありがとう、よく頑張った、とその背中をなでてあげたくなる。けれど、そんな手は必要ないのだ。彼らに必要なのは、そんな上っ面の同情や根のない共感じゃない。
 母を妹を守るために闘った13歳の少年。抱えた秘密。DVサバイバーたちはお互いに同じ匂いを感じるという。なんとなく同じ側の人間だ、とわかるらしい。幼い時、庇護する手を失い、受けるべき愛情を得られず、日常的な暴力にさらされてきた彼らが、自分自身の足で立ち、その手で生きるべき道を手に入れていく、その道の困難さよ。
 史也がどうにか飼いならして生きている怒りの龍。その龍が吐き続けていた消せない炎を、自分の中で小さな火として灯しながら生きていくしかないのか。この物語は終わらない。彼らのサバイブは続く。彼らの新しい人生は、いつ火を噴くかわからない危うさを含んでいる。だからこそ、この物語は忘れられないものとなる。

大盛堂書店 山本亮さん
 自分の隣に棲んでいる隠したい衝動と、時には慰め合わないと生きていけない人間の性が突き詰められて、読みながら息が止まる瞬間があった。そして言葉と心を遠慮なくさらけ出し生き延びていく描写に心が打たれる。まさに「これまで」と「これから」に目が覚める小説、窪さんによるストレートな願いと想いを、ぜひ堪能して欲しい。

ブックマルシェ 渡邉森夫さん
 ふとした出会いの中で、同じ目線で見てくれる人がひとりいるだけで、一歩を踏み出すことができる。立ち止まった過去をもう一度正面から見ることで、未来への扉の前に立つことは誰にでも許されているんだと気づける。激しさと悲しさと愛おしさが伝わってくる作品だ。

丸善ヒルズウォーク徳重店 熊谷由佳さん
 壊れてしまった家族と、新しく生まれようとする家族。
 辛く苦しい過去の延長線上にも、希望に満ちた未来が待っているのだ、と
勇気を与えてくれる作品でした。絶望はいつか終わる、と信じたい。