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和ハーブ希望の物語

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和ハーブタロットに登場する和ハーブたちの姿や歴史から感じる希望の物語
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#和ハーブ

8月「葛の花に寄せて」

8月「葛の花に寄せて」

クズの花は、蔓と少し大きめの葉の間から顔を覗かせ、
紫色の房を空に向かって咲かせます。

あまりに繁茂しているので草刈りを始めると、
蔓がほかの木々や草と絡み合っていて、
どこから手をつけたものか迷ってしまいます。

もちろん、クズはそんなことはお構い無しに
元気いっぱいに、
眩しい陽を浴びてきらめいているようです。

そんな中、
甘い花の香りが漂ってくると、
私は過ぎ去りし真夏を思います。

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5月「ホオノキ(朴ノ木)に想う」

5月「ホオノキ(朴ノ木)に想う」

雑木林を歩いていると、林縁に小さなホオノキが生えていた
樹高わずか50㎝だろうか
小さくても立派に大きな葉を付けていた

辺りを見渡したが、ほかにホオノキはない
実を食べた鳥がタネを運んできたのかもしれない
もしくは、何年も経って芽を出したのか
なんと、この木の種は土の中で20年以上も休眠できるらしい

数年後には3mくらいにはなっていよう
やがて20~30mの大木になる
初夏の頃
大きなクリーム

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1月「松竹梅-松の生き様に寄せて」

1月「松竹梅-松の生き様に寄せて」

年の節目になると、ああもうこんな時期かと思う
年初ともなれば、新しい抱負や具体的な目標を掲げ
今年こそはと揚々とした気持ちになるものだ

年神さまを迎え祀るための門松に、松竹梅の正月飾り
松・竹・梅と縁起良いとされる植物たちが並ぶ

いずれも雪や寒さに耐えながら、
常緑の松、色褪せず育つ竹、残雪のころに花開く梅と、
美しくたくましく健やかな姿こそ慶びと
心を寄せた人々の想いが込められているそうだ

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12月「年の瀬に橘から思う」

12月「年の瀬に橘から思う」

師走、12月2日〜6日のころ
七十二候では「橘始黄(たちばな始めて黄ばむ)」という。
橘は古い時代から日本にあるミカンの一種。
かつてはミカンを総称してそう呼ばれていたそう。

そのまま食べるには酸っぱいが、爽やかで香り高い。
文化勲章の意匠であり
「不老長寿」「悠久の繁栄」「栄誉」を願う縁起のよい常緑低木である。
その実が黄色く色づき始める。

暮らしでは年の瀬を感じ始めるころ。
数多の人が1年

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11月「チャノキ(茶の木)に寄せて」

11月「チャノキ(茶の木)に寄せて」

チャノキの花は、白く小ぶりで、葉の影に俯くようにして咲く。
そんな花姿からか、花言葉は「追憶、純愛、謙虚、思いを辿る」などがある。

チャノキはいわゆる「茶」だが、その花をみる機会は意外と少ない。
広大な茶畑が、白い花畑になることはない。
葉に栄養を行き渡らせるため、蕾のうちに刈り取ってしまうらしい。

また、チャノキは栽培が広まった結果、山間に自生しているものも多い。
人里離れた場所でチャノキが

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