無償の愛

私はずっと、「どんなときも私のことを見捨てない人」を求めていた。

こういった場合、まずは親などが候補に挙がるのかもしれないが

私は不登校になった高校生の頃、母から

人目があるから日中外に出るな

と言われた。

その時

ああ、不登校の娘は親からしたらいらないのか

と、素直にショック受けた。

それが今でも私の「やわい部分」としていつまでもいつまでも存在している。

それでも勘当したりせずに、家に置いてくれたのだから厳密に言えば見捨ててはいないのだけれど

甘ったれた私は

親はどんなことになっても子どものことを受け入れてくれるものだ

と心底信じていた。

その経験が、無条件の愛を注いでくれる人がほしいと心のどこかで願っている根っこなのだと思う。

だけれど、最近やっと、そんな人は存在しないのだという考えに至った。

家族だってきっとお互いの気遣いや努力のうえに円満が成り立っている。

それが他人であれば尚更だ。

どんな「良い関係」も当人同士の気遣いや努力の上に成り立っている。

手放しに私を愛してほしいなんて、過程を軽んじて結果ばかり求めてしまうのは私の悪い癖だ。

それでもいつか、私が母になることができたら

我が子に無条件の愛情を注ぎたい。

勉強ができるから、運動ができるから、優しいから、愛しているのではなく

なにもしなくても、なにもできなくても、

「あなたという存在を愛しているよ」

と、伝えることができる親になりたい。

子どもに「理想」という見返りを求めなくても愛を貫けることを私が証明したい。

それが私にとって唯一にして最大の、

母への復讐だから。