見出し画像

若手が会社を辞める理由

入社して同じ部署で働き続けること17年 (その後、別の部署に異動)。
会社を辞める若手を何人も見てきた。

辞める理由は人それぞれ。 

ポジティブ派
  ● 他にやりたいことを見つけた
  - 学生の頃の夢を叶えたい 
       - 海外の大学・大学院へ行って学びなおしたい

ネガティブ派
 ● 
人間関係が上手くいかなかった(上司と合わない、パワハラ上司)
 ●  自分がやりたい仕事ではなかった (想像と違った) 
 ●  業務負荷が高かった (雑務、残業多い)
 ●  会社の経営不振で将来が不安だった(やむなく他へ転職)  
                          など 

          

ポジティブな理由であれば、「頑張れ」と背中を押してあげたくなる。

ネガティブな理由であっても、パワハラ上司など人間関係でストレスを
抱えるようなら辞めてもいいと思う。他人の性格は変えられないから。

でも「もったいない」と思わずにはいられない理由で異動してしまった若手がいた。

ここからはワタシの一経験談。
ワタシが所属していたのはインフラ系の海外営業部。「海外=華やかな舞台」と思われるのか「英語を話す仕事がしたい」、「海外で活躍したい」という理由で希望してくる学生が多い。かつてワタシの下についていた入社3年目の女性もその1人だった。

ただ実際はそんな華やかな舞台ではない。客先とのやり取りは基本メールが中心(英語だけではない)。見積書作成や計数管理など基本的な営業の業務に加え、貿易実務や英文契約書の読み込み、客先や工場との折衝、出荷指示、不具合対応窓口などとにかくデスクワークが多いのだ。とにかく質より量をこなす世界。

さらには毎回同じような報告だけで終わる大勢参加型の定例会議や何の解もでない会議など、ムダに時間を費やすことも多い。

そのくせ「ワーク・アンドライフ・バランス」と銘打って、休暇取得をやたら推奨してくる上司たち。休めるわけないでしょーが。平日に休みを取ろうものなら1日だけで100件くらいメールが溜まるわ!

・・・と業務のこと(愚痴?)はとりあえずここまでにして。

ワタシと一緒にプロジェクトを担当することになった入社3年目の彼女は、やる気もあり、仕事覚えも早い優秀な若手だった。1年後には一通り業務ができるまでに成長した。「これで安心!」とワタシは今いる部署に異動した(ワタシが異動すると聞いてかなりショックを受けていたようだが)。

ところが、その後1年もたたないうちに彼女は辞めてしまった。その理由は「相談できる人がいなかった、頼れる人がいなかった」と。会社や仕事が嫌になったわけではない、仕事で困った時など相談相手になってくれる人がいなかったというのが主な理由だった。ワタシの後任はいたはずだ。課長だって。

彼女はメンタルが少し弱く、話を聞いていると泣きだしてしまうこともあった。でも上の立場にいる以上はじっくり話を聞いてあげて、ときに鼓舞しながら一緒に問題を解決していくのが務めだと思っている。まだいっても3年目。仕事は理不尽なことも多いし、合わない人間と関わることもある。仕事に自信が持てないことだってあるし、躓くことだって多いはず。あの業務を一人でしょい込んでやっていたのだと思うと気の毒でならない。

理由は違えど毎年1人は辞めていくような部署だった。人が足りていない上、産休・育休で抜ける社員も増えていた。当然しわ寄せは他にいくのであって、一人の人材をなくすことは組織として大打撃のはず。それなのに。

彼女へのケアが足りなかっただけ。その結果、貴重な人材を失ったのだ。
それでいて人が足りない、足りないと騒いでいる。
いなくなってからでは遅いんですよ。

これは一種の大企業病なのかもしれない。




 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?