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◆ミドル夫婦の車中泊de道の駅めぐり 〜函館方面編①~

1.きっかけ

 愛犬が、虹の橋を渡ってしまった。
 子どもが居ないわたしたち夫婦には、ぽっかりと空白の時間が、しかも割合たくさん出来てしまった。
 ミニチュアダックスフンドの我が娘に等しき愛犬は晩年腰が弱く、車に乗せて歩くことが困難になってしまったため、おおよそ彼女を連れて泊まりがけでどこかにゆく、ということは出来なくなってしまって久しかった。
 彼女が居なくなったということは、もう何を於いても家に居たいほど、またはどこへ出かけても心配でたまらなくて、急いで帰りたくなるほど愛しい存在が、この世界のどこを探しても居なくなってしまったということ。

『そうだ。車中泊でどっか行こう』

 そう決めたのは、家に居るのがあまりにも辛くなってしまったあの日から、1週間も経たない6月の、よく晴れた日のことであった。

2.準備

 はて、いざ車中泊と言ったところで、興味はあれど実際問題何が必要なのか、わたし自身はまったく予備知識がなかったと言っていい。
 とりあえず、昨年夫が「これなら車中泊もできるから!」と購入したトヨタのシエンタの後部座席を倒せばフルフラットになり、寝るには差し支えないのだと聞いていたので、あとはどうにかなるだろう、くらいに思っていたのだった。
 だって、別に車中泊って言ったってキャンピングカーじゃないんだから。自分でご飯の支度をするわけでもない。
 つまり、若い頃に夜も更けるまで遊び呆けて帰る途中で眠くなって、ついついパーキングに車を停めて寝込んでしまって気づいたら朝…みたいな。あれよりはマシな車でのお泊りってことでしょ?
楽勝じゃん!

 そんなことを申し述べたところ、日頃はわたしの数倍は楽観的な夫が些か気難しい顔で『そういうのとは違うんだよ』と宣った。
確かに我々の車中泊はただ寝るだけには違いないが、日頃はホテルで補っている食事以外の部分をどう車と周辺施設によって補うか、というミッションなのだという。
なるほどそう言われると、お風呂やトイレ、洗顔や身支度など、ホテルであれば何の苦もなくやり果せる些末な日常生活のあれこれ殆どを車中で賄わなければならぬ。これはそれなりに大変なのでは…?と、やっと事態が呑み込めてきたのであった。

 事に臨むにあたって念入りな事前リサーチを重ねていた夫は「何を於いてもまずはカーテンだ」と重々しく言った。
何しろご飯を食べ終わってから寝るまでのあいだ、天候や場所によってはずっと車中で過ごさねばならない可能性もある。
そういったとき、中の灯りが外に漏れ出さぬよう、また朝日が夜明けと同時に車内に差し込まぬよう、ある程度の遮光を担保できるカーテンは、車中泊の必須アイテムなのだという。
とりあえずカーショップとホームセンターをうろうろしてみたところ、リア用とサイドの窓用遮光シートはあっさりと入手できたのであった。

 しかし、このあたりから夫とわたしの間には、時折ピリピリとした空気が漂うようになってきたのである。

3.意見の相違〜妥協

 車中泊を始めるに当たり、参考動画を観まくっていた夫の中には、ある種の理想が出来上がりつつあった。
下に敷くエアマットは新車を購入した際に展示品として使っていたものをオマケでくれたものがあったが、他にこれといった車中泊グッズの類は持っていない。
しかしわたしは何事も行き当たりばったりな性分で、やってみる前から要るか要らないか想像もつかないようなものに大枚をはたく気はさらさらなかった。

少しでも快適に過ごすために、少しでも良さげな車中泊グッズを買い揃えたい夫。
まだ経験したこともない娯楽のために無駄かも知れない出費を少しでも抑えたいわたし。
この相反するわたしたちのスタンスは、その日が来るまでことあるごとにぶつかった。
 結果、折り合いがついたところで買うことになったものは以下の通り。

・リア及び後部座席用遮光シート(カー用品店で¥3980+百均のフロント用遮光シートを代用¥110)
・運転席と後部座席の間にかける遮光カーテン(百均グッズで手作り総額¥700)
・寝袋(リサイクルショップで¥4980)

夫の不満を尻目に互いの折衷案で、とりあえずあとはどうにかなるだろう!というノリで、我々の車中泊は幕を開けたのであった。

4.旅のはじまり

 まず、最初に言っておくと、この時の函館方面めぐりに関しては、記事を書くことをまったく想定していなかったため、のっけから意識的に大失敗をしていたのだ。
わたしたちはあらゆるところでスマホのカメラを起動したが、慣れない旅にはしゃぐ頭お花畑の中年夫婦丸出しで、撮るもの撮るものほとんどに自分らのキメポーズを入れてしまった。
だってnote始めてばっかで記事にしようとは思わなかったんだもん!!
だから、あまりにアホな写り方をしている場所の画像は、己らの尊厳のために掲載できない。
せっかく旅記録を書こうと言うのに文字だらけというのもつまらんものではあるが、言ってもいられないので今回はこのまま進めて行こうと思う。

 函館方面は、最初から憧れの土地だった。
互いに一度は行ったことがあったが、日帰りで行くには遠すぎる。
それに歴史好きという共通点がある我々夫婦にとっては、函館はとても日帰りで済まされる土地とは思えなかった。
何しろ主目的は【道内の全ての道の駅制覇】なので、1回あたりどれだけの道の駅を回れるかが勝負なのだが、ただスタンプをポンポン押して回るだけの旅などいかにもつまらない。
なので、できるだけ旅そのものも楽しめるようにしよう、と話し合った。
よって、渡島半島は一度で無理矢理巡り切ろうとするのはやめ、今回は函館のある渡島半島の右側を、来年の桜の頃に松前を含む左側を巡るよう、2回に分けての制覇を目指すことになったのであった。

 わたしたちの住む日高地方の田舎町から函館まで、おおよそ5時間半。
結婚してからは、まだ2回目のお泊り旅。
車中泊に関しては、未知のことだらけ。
それでも、ともかく旅は幕を開けたのであった。

5.ラッキーピエロで昼食を

 とりあえず、わたし自身は25年ほど前に行って以来の函館なので、その時から道路状況がどう変化しているか解らない。
まぁ高速道路が伸びた可能性はあっても、遠くなることはあるまいと高を括り、朝は7時すぎくらいに出発した。
できることなら初めてのラッキーピエロで昼食にありつきたい!
それがまず第一の希望なのであった。


実を言うと、これを書いているのはこの車中泊から2ヶ月も経過した8月中旬のことなので、だいぶ記憶が薄れつつある。
だいたいにして、そろそろ昨日食べた晩ごはんすら危うくなってくる年頃。
思い出しながら書くのも一苦労なのだが、スマホの画像を見ながら頑張って書いていく。


 天気は、まぁまぁの晴れ空であった。
結婚してから泊りがけで出歩くのは、4年ぶり2回目。まぁまぁ浮かれていたのは言うまでもない。

 結局、何だかんだ言って出発から4時間半後くらいの昼の12時前には第一の目的地である森町の『ラッキーピエロ・森町赤井川店』には到着していたと記憶している。
テレビでしか観たことのなかったあの特徴的な店舗を前に、初日の興奮はまずここでピークに達したのであった。

本当にnoteに上げることを想定していなかった画角
これが噂のFAT絵画~~!
アホそのものの移り具合を披露せし我

 しかし振り返るだに恥ずかしいのだが、これがアラフィフの所業なのであろうか。我ながら酷いものである。
とは言えまぁ子どももいない我々なので、日ごろから「もう一生アホのまま生きていくもんね!」と確認し合っているので、多分生涯こんなものなのであろう。
ともあれ、ラッキーピエロ森町赤井川店は噂にたがわぬ美味しさなのでありました。

チャイニーズチキンバーガーとラキポテと…あと何を頼んだっけ…

特にふっかふかのバンズがうまかったような気がする。
あとカロリーをも恐れぬチーズとミートソースどっぷりのオリジナルポテトのラキポテ。
コンプライアンス全盛のこの時代に、店内に所狭しと掲げられた名画を太らせたパロディ絵画の潔さも大変素晴らしい心意気でした。
また食べに行きたいなー!!

6.道の駅 YOU・遊・もり⇒道の駅 つど~る・プラザ・さわら

 さて、念願のラッキーピエロを堪能しつくしたあとは、どこの道の駅で一泊するかを視野に入れてスケジュールを組まねばならない。
基本的には「回ったことのない道の駅をなるべく多く回る」が目標ではあるが、先にも述べたようにそれを『目的』にはしたくないのだ。
ただ回るだけの道の駅めぐりではなく、できれば目ぼしいものはきちんと見て、観光だってなるべく楽しみたい。

 ただ、始めてみて実感したことだが、基本的に道の駅は市町村によってめちゃくちゃ落差が激しいのだ。
なので、必然的に残念な道の駅はそれなりに、しっかりした道の駅はしっかりと見て・食べて・遊んで回る、ということになる。
当然ながら車中泊もなるべく過ごしやすいところがよい。
検索すればあらゆる情報が一目瞭然で出てくる有難い時代なので、大抵のことは事前リサーチが可能なのだが、それでも実際に足を運んでみると様々なイレギュラーと出会うのが大変なところであり、面白いところ。
ともあれ、初めて経験する車中泊旅に、中年夫婦は終始ワクワクしっぱなしなのでありました。

 今回の旅で『第一の道の駅』に選定したのは、さきほど立寄ったラッキーピエロのある森町の【道の駅 YOU・遊・もり】である。
 道内では23番目に認定を受けた道の駅で、建物の古さから行くと、元々地元の物産店と展望台を備えていた公園敷地を申請・登録したのかなあ、という印象を受ける。
建物はとにかく年季が入っており、手入れもそれほど行き届いていない。
せっかくの展望台も誰かの食べこぼしや雑草などが散見され、もったいないなぁ、というのが率直な感想であった。
ただ、ラッキーピエロでおなかいっぱいだったために、名物の【いかめし】を食べることができなかったのは残念。
他にプラスポイントとしては、隣接の公園は大層広くて美しかったです!
噴水やオブジェなどが点在していて、敷地内にはたくさんの桜が植えられているそうで、季節になれば多くの人で賑わうのだとか。

確かこれ…隣接の公園だったと思うんだよなあ…

多分【YOU・遊・もり】は、春に行くべき道の駅なんでしょうなぁ。

 続いて向かったのは【YOU・遊・森】から函館方面へは南下せずに、東側に向かった先にある第2の道の駅【つど~る・プラザ・さわら】である。
 ここは正直言ってほとんど印象に残っていなかった上にどうやら画像も撮っていなかったようなので思い出すのも厳しかったのだが、検索して思い出した。
そうだ!あの【帆立めし】がやたら美味そうで、駒ケ岳がめちゃくちゃキレイに見えた道の駅だな!

 雰囲気的には1番目よりも手入れはされており、印象は格段に良かった。
道の駅めぐりの困ったところは、行ってみないと何が売っているかよくわからないため、どこか一カ所でおなかをいっぱいにすると、次の道の駅でめちゃくちゃ美味そうなものが売っていても手が出せない、という事態が発生しがちなところである。
【つど~る・プラザ・さわら】の帆立めしは本当に美味しそうだったので、食べればよかったなあ、と後悔しているもののひとつ。

あられもない感じで展望台の望遠鏡にかじりついて駒ケ岳を眺める夫氏

あと、展望台はマジで一見の価値ありだったと記憶しています!お近くまで行かれた方はぜひ!!

7.道の駅 しかべ間歇泉公園⇒道の駅 縄文ロマン南かやべ⇒道の駅 なとわ・えさん

 次の行程は、まず行く前から楽しみにしていた道の駅3つのうち、ふたつを含んでいた。
 それが【しかべ間歇泉公園】と【縄文ロマン南かやべ】である。
どちらもコンセプトが駅名から明確に見て取れ、なおかつ登録番号はそれぞれ113番目と117番目ということで、比較的新しい道の駅だから、施設もキレイなのではないかと推測された。
 何しろラッキーピエロを出た頃にはもう昼を回っていたはずなので、この辺からいよいよ切羽詰まりかけて、この日の宿泊場所についてうっすらぼんやり協議が始まったように記憶している。
明日は出来れば早いうちから函館の市内観光に充てたかったので、できるだけ市内に近いところまで行きたい気持ちはあったが、それを理由に鹿部町と南茅部町の道の駅を疎かにするようなことはしたくない。
 とりあえず閉館時間をしっかり確認しながら、時間の許す限り観光も楽しもう、ということになった。

【道の駅 しかべ間歇泉公園】は、【つど~る・プラザ・さわら】から約20分ほど国道278号線を南下したところにある。
 敷地内に間歇泉が噴き出ている全国的に見ても珍しい道の駅で、着いてみれば施設は新しくまだキレイ、なおかつお土産や飲食物も大変充実してオシャレな印象であった。
2ヵ月経ってもまだしっかり記憶に残っているくらいなので、やはり良い方の道の駅なのだろう。

なぜかこの道の駅だけは比較的ちゃんと外観を撮っていた

 ここでは、やりたいことがふたつあった。
まずひとつは『間歇泉を見る』こと、そしてもうひとつは、間歇泉の噴き出している温泉の蒸気を利用した『温泉蒸し』なるものを食べること。
『温泉蒸し』の食材は道の駅内の売店で販売されており、蒸すための指定場所へ行ったら、売店で購入した食材を貸し出し式で提供されているせいろに入れて、引き出し状になっている蒸し器に入れて食材ごとに決まっている調理時間のあいだ待つだけ。
 実に色々な食材が売られていたけれど、わたしたちは鹿部町ならではということで、噴火湾の帆立が使用されているという【ほたてまん】をチョイスした。
 時間はどれくらいだったかなあ。せいろと一緒にタイマーも貸し出してくれていて、確か15分前後じゃなかったかなあ。
とにかく待っているだけで、ふかふかであつあつの【ほたてまん】が蒸し上がった。
 ちなみに、待ち時間の間に間歇泉を見てしまおう!と思い立ち、お店の人に場所を聞いたら、1カ所しかない道の駅売店の入口からしか行くことができないという。入場料は300円…。
行ってみたら間歇泉はぐるりと高い和風の壁に囲まれ、外からはまったく窺い知ることのできない場所にあった。
せっかくだからと見に行ってみたけれど…これはまぁ…うん…自然に噴き出している北海道遺産をわざわざ見えないように囲い込んでお金を取るんだ…へぇ…そっかぁ……まぁ実際見てみたところで…へぇ…ふぅん…といった感じなんだけどなぁ…そっか…。
 まぁ、そんな感じでお察し頂ければと思う。

『温泉蒸し』で蒸しあがった【ほたてまん】
サムネを見た時、我ながら他にもっと撮り方はなかったのかと後悔した。

 『温泉蒸し』で蒸された【ほたてまん】は大変おいしゅうございました!
あと、食べれなかったけど明石焼きも気になった。
店内には昆布だしの飲み比べコーナーがあったり、昆布をモチーフとした可愛いタオルが売られていたりと、全体的にセンスが良い感じがした。
だからこそ、惜しむらくはマジで間歇泉。道の駅の名を冠した間歇泉。
それだけが残念な感じなのでした。
でもここは、温泉蒸し食べにまた来てもいい。

 続いて向かったのは【道の駅 縄文ロマン南かやべ】
夫は数年前から縄文時代にハマっており、縄文の博物館や美術展示があると聞けば喜び勇んで出かけていたため、ここが一番楽しみだったものと思われる。
 【つど~る・プラザ・さわら】と【しかべ間歇泉公園】は海際にあったけれど【縄文ロマン南かやべ】は、海沿いからはそこそこ入ったような気になるちょっとした山っぽいところにあった。
またしてもはしゃぎすぎていたのか、画像は夫が撮った展示物のものしかないが、建物自体はかなり新しいようで、普通にめちゃくちゃキレイ。

いざアップしようとしたらしぬほどブレていた、夫氏撮影の国宝の中空土偶。

 ただ、貴重な発掘物を展示しているためか、外側から見ても窓らしい窓が見当たらず、コンクリートのシンプルな作り。デザイン自体は洗練されたスタイリッシュなものなので、まさにイマドキの道の駅といった感じだった。
 裏手にある発掘地は公園のようになっていて、道の駅裏手の展望スペースからある程度の範囲が見渡せるようになっている。
閉館時間までは係員さんがおり、動画が観られるスペースもあり、南かやべや北海道地方の縄文遺跡について詳しい説明が受けられた。
説明の最後には質問タイムなんかも設けてくださり、まるで学校みたいに学びを得られる楽しい時間でした!
 ちなみにここで販売されているクルミのソフトクリームも、仄かなナッティテイストが感じられる珍しい逸品なので、立寄られた方にはぜひ味わって頂きたいと思います!

 …で、ここの時点でもう、閉館時間ギリギリだったので、確か17:00くらい。
とりあえずくるみソフトクリームを食べるという予め立てておいた小さな目標も、縄文タイムを堪能するという目的もクリアできた。
 問題は、この日の宿泊地をどこにするのかということでわたしと夫の意見はやや食い違い、車内は若干険悪なムードになった。
 夫は、とりあえず時間も遅いから【道の駅 なとわ・えさん】で車中泊はどうか、という。
わたしは、レビューも今ひとつで「寂しい場所ですよ」と書かれていたそこで、初めての車中泊をするのは何となく気乗りがしないのであった。
「レビューなんて信じられるかよ。行ってみなきゃわかんないじゃん」と夫。
「でも人気がない場所って書いてあるじゃん!トイレとか恐そうだったら行けないよ!」とわたし。
今にして考えてみれば、実際にその場所を見てから決めれば良かったのだが、2人とも初めての車中泊でそれなりにテンパっていたのかも知れない。
それに、そんなことをしている間に【なとわ・えさん】の閉館時間である18:00は刻一刻と迫っていた。

 結局のところ、海岸線の色んな意味ですごい道をたどり(どうすごいかは皆さんご自分で行ってみてくださーい!)、函館市唯一の道の駅【なとわ・えさん】に着いたとき、閉館時間は過ぎてしまっていた。
こうなったらここに宿泊して、開館と同時にスタンプを押してから函館市に入ろうか…と話していたのだが、スタンプは24時間押すことが可能だったため、話し合いの末に一気に函館市内に入ることに決めた。
 でも【道の駅 なとわ・えさん】も、思ったより見晴らしもよく人の気配もあり、寂しい感じはしなかったな。宿泊もアリアリかと思いました。

閉館を過ぎても横の階段から登れる展望台はなかなかの眺め!

 【なとわ・えさん】から函館市内までは、思ってたよりずっと遠かった。
渡島半島恐るべし。
 道が海岸線のキワッキワを走っていて、途中には『いかにも漁師町!』という風に、大漁旗を掲げてお祭りの準備をしている区域もあり、なかなかに風情があった。
 ぱっと見はうらぶれた港町の空気なんだけど、不思議と函館近辺はどこへ行っても活気を内包してるんだろうなあ、という印象を受けた。
内陸の都市部からはるか離れてやんわりと閉ざされているせいか、却って地域が自力で力を溜めている。そんな感じ。
 そうして暮れてゆく景色を堪能しながら、我々はようやく初日にして、函館市内に到着したのでありました。

8.函館の夜は暮れてゆく

 ドキドキ、していた。
 あたかも北の国からの純くんのナレーションのような導入をしてしまったけれど、ひっさしぶりにこんな時間に知らない街にいる。しかも、それが我が町から5時間以上も離れた函館。
アラフィフにもなって新鮮なトキメキを味わえるのだから、旅っていいもんだよなあ。

 蛇足ながら、若い頃のわたしは旅なんてちっとも好きじゃあなかった。
誰か会いたい友人がいるとかならいざ知らず、知らない街にいきなり行って、行き当たりばったりで色んなことをするなんて、超絶方向音痴の自分からしたらあり得ない話だった。
 現に、札幌でさえ地下鉄逆方向に乗るなんて日常茶飯事。
東京出張では、電車の乗り方が解らなすぎて、同行した外国人の上司にホームのはるか向こうから「アサさーん!コッチデース!」とたどたどしい日本語で道案内され、しぬほど恥ずかしい思いをした。
普通の人が2時間で辿りつく会議の場所には4時間かかり、危うく間に合わなくなりそうになったこともある。
 だから、ナビですべてが片付く現代には感謝しかないわけよ。
 あと、どんなこと(夫婦喧嘩以外)になっても常にポジティブバイブスをキープし、目に触れるあらゆるものを「おもしれー!!」「たのしいー!」に昇華させる能力を持った夫のおかげなんだね。こんなにも旅が楽しくなったのは。

 とりあえず函館駅のパーキングに車を入れ、海鮮は翌日の朝市に希望を託すことにして、その日は函館ラーメンを食すことに決めた。
 初めて夫と歩く、函館の夜の街。
海沿いの空気は潮の香りがして、街はまだまだ観光客で活気に溢れ、全てが非日常に感じられて、ずっとわくわくしていた。
 道を歩きながら、いたるところにあるポケモンGOのポケストップやジムをめぐる。
途中でとっても美味しい函館ラーメンのお店を見つけ、珍しい郷土料理にありつけたのだけれど、疲れていたのか何もかもを画像に収めるのを忘れてしまっていたようだ。

 ちなみに、美味しかったお店は松風町というところにある函館ラーメンの【ラーメン専科 笑てん】さんというお店です!
夫が「塩ラーメンを見直した」と感動した塩ラーメンと、豚のザンギ『ザリージ』という謎のメニューを食べた。
美味しかったし接客も素敵だったよ!
ただしバカ混みだったので、時間によっては待つと思います
お店のInstagramはコチラ↓↓↓

https://www.instagram.com/ramensenka.shouten/


 函館の駅前・港近辺を2時間近くぶらぶらして、疲れて面倒になったわたしたちは車中泊場所を駅前に決めた。
他にも1,2台車中泊と思しき車もあったしね。
あと、港付近にあるトイレが24時間だよ、ってネットに書いてあったから。

 寝る前には、港を少し歩いた。
景色はべらぼうにキレイで、この記事のタイトルにもしてしまった。

夜景が美しすぎて昼間の疲れが飛ぶ。
誰でもアートっぽい写真が撮れそうな超絶映えスポット。

夫ともすっかり雰囲気を持ち直して、楽しいねウフフ…なんつって。

だがしかし。
車中は地獄。


 何でかって、シエンタを購入した時にオマケでくれた展示品のLOGOSのエアマット。厚さ20cmくらいあんのね。
それがめちゃくちゃ高さを圧迫して狭い!!
そしてエアがふわふわすぎてだな。
夫が寝返りを打つと、わたしがぽわん!と浮く。そしてわたしが寝返りを打つと、夫がぽわん!と浮くのだ!
寝れるか!!!

 おまけに車内は暑さで蒸し風呂状態。持ってきた荷物類はあちこちひっくり返して散らかり放題。
そして当たり前だけど、駅前だから若干うるさいのよね。
極めつけは、やっとの思いで寝ついたと思ったら、朝の5時には騒音で目覚めた。気づけば外は車でぎっしりよ。
そりゃそうだよなあ。すぐ横があの有名な、天下の函館朝市だもん!!

 そんなわけで、初めての車中泊は装備・場所ともにド初心者の失敗を地でいく失敗と相成ったのでした。

いや~しかし思い出しながら書くだけでもめちゃくちゃ長くなったな!
残り2日は次回に回すとします!
もし読んでくださった方がおられたら、心からの感謝を。

それでは、このたびはこの辺で!



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