見出し画像

生徒から学ぶこと[Footwork&Network vol.22]

きっかけは突然に


 7月某日。ゼミ生のいとれいから、1通の連絡が届いた。
「よかったら高校生と一緒にフィールドワークや染め物体験しない?」とのこと。
それは、彼女がインターンをしている青春基地での課外プロジェクトのお誘いだった。普段は都内の公立高校向けに探求型学習のプログラムを提供しているのだが、今回は初めて私立高校で行われるようだった。
「面白そう!」
そんな内発的動機に従い、一緒に同伴させてもらうことにした。
今回はその活動と、そこで出会ったSさんとの出会いから「学び」について考えたことを記そうと思う。

見て、触って、感じて、あらわす。

 今回のプロジェクト名は「『わたし』を染める タイムライン」。

高校生たちが植物の葛の葉を炊き出し、媒染するという工程を体験していた。媒染中、高校生たちは「熱い!」「色に深みが出てる!」「鮮やか~」といったように、たくさんの形容詞を使って自分の感じたことを口に出す姿が印象的だった。

媒染をする生徒たち


活動終了後、生徒たちが振り返りシートを記入していたのだが、このシートの名称がまた素敵だった。
その名も「気のままジャーナル」。
このタイトルあってか、生徒の中には文字だけでなくイラストを描いている子もいた。「気のまま」という柔らかい表現を使うことで、振り返りという行為に温かみのある感情や自己表現の自由が認められているように感じて、それがとても新鮮に感じた。
そこで私はふと思った。
一体、誰が作ったのだろう?
途中から参加した私は、プログラムが終わるまでこのプログラムの経緯を知らなかったのだ。
しかし、後片付けのときにそれを知った。

「気のままジャーナル」に振り返りを書く高校生たち

友達みたいな教員

 その方は、とても気さくで明るく、生徒からもよく親しまれている魅力的な先生だった。
 青春基地のメンバーの振り返りの際に、「今回のプロジェクトはどうでしたか?」と聞いてくださったのが、私が今回出会ったSさんである。Sさんは、この青春基地で非常勤スタッフをしながら、この学校で教員をも務めていらっしゃる方である。
この日の特別授業では、染め物体験以外にフットサルのプログラムがあったりと、生徒が興味あるものを選択できるようであった。そして今回の企画は、その特別授業の一環として青春基地とコラボするという企画をSさんが持ちかけたということだった。私は気軽な気持ちで参加してみたものの、生徒たちがのびのびと感性を表現する姿に新たな教育の価値を感じたことを伝えた。するとSさん自身も、子供たちの学びの場について色々考えていることがあり、そうした自由に感性や創造性を発揮できる学びの場を提供することに重きを置いているように感じた。

余白から生まれるもの


 この日はあまり時間がなく、Sさん本人からじっくりと話を聞くことができなかったのが心残りなのだが、私は今回のプロジェクトを通して、テストのために知識を詰め込むような短期的かつ合理的に成果が得られる学びではなく、長期的な学習効果につながるような学びへの価値を感じた。生徒たちが主体的に動いたことで動いた感情やひらめき、疑問など、自らの内側に起こる小さな変化に気づくということが学びの本質だと思ったのだ。

まとめ

 私は教えるということに対して苦手意識が強かったため、自分の関心分野に教育をいれていなかった。しかし、今回のWSを通して、先生が教え、生徒が教えを受けるといった知識伝達をする場だけが学びの場ではないなと感じた。
  たしかに学校は生徒が勉強をしに行く場所である。しかし、大人になった私達も生徒から学ぶことがたくさんあるし、先生も一緒に学べるような双方向の学びを提供することも、教育なのではないだろうか。

#melc2022  #FandN

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?