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[ Decode : Art ] 世界宗教の群像 (中編)

はじめに

 本件は、「世界宗教の群像(前編)」の続きとなります。前編をお読みでない方は、まずはそちらからお読みくださいまし。





世界宗教の群像

 では早速ですが、前回の続きから始めます。ムハンマドとミトラはDecodeしましたから、イスラエルの大司祭からとなります。

 残りの象徴を分かりやすく書き出しておきますね。

・イスラエルの大司祭
・ギリシア神秘主義者
・アピスと父なるナイルとピラミッド
・ユピテル・アモン
・黙示録の神秘
・黄道帯

 以上6つの象徴解釈を順に綴ってゆきます。では始めましょ〜



Decode

・イスラエルの大司祭

中央にはイスラエルの大祭司が立っており、その右腕は惑星の支配者を表すモーセの象徴である七枝の燭台を抱えている。彼の右側には金の子牛の像があり

 七枝の燭台はメノラーであり意味は二つあります。一つはセフィロト。

 もう一つは7曜の惑星と太陽暦の1週間を象徴します。イスラエルの大司祭はこのメノラーを抱え、その隣には黄道十二宮の牡牛(金の子牛)が描かれておりますから、これもまた時間を示します。

 金の仔牛は、出エジプト記32章のお話。モーセが山に登っている間に、待ちくたびれた民は勝手に金の仔牛の偶像を作り崇拝しておりました。下山し、そんな民の姿を見たモーセは怒り狂い、偶像崇拝していた民を皆殺しにしました。というお話。

 このお話の真意は、ミトラと同じです。「ミトラが牛を屠る」と象徴されたお話は、ユダヤ教の場合、「金の仔牛を崇拝していた者たちを皆殺しにする」と言う表現で象徴されました。つまり、モーセを題材にした神話は、この頃の時代に成立したものということです。ここまでがイスラエルの大司祭が象徴するものです。



・ギリシアの神秘主義者


 ギリシア神秘主義者の衣をまとった人物が、犠牲の火を燃やす三脚を支えている。

 この象徴が示すは「デルフォイの神託」です。

 デルフォイは古代ギリシアの中心地であり聖域で、巫女の口を通して伝えられる神託により、戦争や植民の決定がなされました。その神託を受ける巫女は、地面の裂け目の上に三脚の椅子を設置し座り、地下から噴き上がる毒ガスに身を晒し、変性意識状態に入り、神託を告げていたと言われます。

デルフォイの巫女が先端に鍵爪のついた細い三脚だけに支えられ、信託所の深い割れ目の上空にいるのと同様に、人の霊性は神力の三本の金糸により忘却の深淵の上で宙吊りになっているのである。アポロンの顔は三脚の上部にみえ、台の周囲には、その腐りかけの死体がデルフォイの聖地の下に横たわるところのピュトンを象徴する蛇がトグロを巻いている。

 この象徴的な神話から寓意を取り除いた、デルフォイの信託が示す真の意味はセフィロトです。三本の柱、地下と地上、燃える剣を象徴する蛇。

 この「ギリシアの神秘主義者」の象徴には動物は入っておらず、時代が明示されておりませんが、最終的には大まかに分かりますので先に進みます。



・アピスと父なるナイルとピラミッド

 月を頭に頂く雄牛アピスと、豊穣の角を持ち壷から生命の水を注ぐ父なるナイルの背後には、エジプトの密儀参入者の神殿であるピラミッドがそびえ立つ。

 「父なるナイル」の象徴はエグいので詳しくは来週の「魔女の本気」で綴ります。月を頭に乗せたアピスは「生命」の象徴の聖牛です。アピスは古代エジプトのメンフィスで祀られた聖なる牛で、創造神プタハの化身とも言われます。プタハはミンのように勃起した姿で描かれますし、牛の頭には生命の象徴である月が乗っています。これでもかと「生」が象徴されていますね。その反対が「父なるナイル」です。水は生命の象徴ですからナイル川は母・女性のはずなのに、死の象徴である「父」が付けられています。その理由はというと、、、

 メンフィスでは、プタハの牛には、全身に29の特徴があるとされ、その全てを満たす牛をアピスとして祀りました。その後、もし新しいアピスが発見された場合において、前のアピスはナイル川に沈められ屠られました。よって、アピスとともに描かれる父なるナイル川は死の象徴となります。これはのちに大切なことへ繋がりますのでよく記憶しておいてください。ここでは一旦、ここまでの深度で留め次に進みます。

 この古代エジプトの象徴が示す時代は、牡牛座の時代。アピスを祀った宗教が発生した時代は、牡牛座の時代ということです。



・ユピテル・アモン

 ユピテル・アモンはローマ神話の主神です。ギリシア神話のゼウスと言った方が馴染みがあるでしょうか?

 ユピテルの角は牡羊の角ですから、ローマ神話が牡羊座の時代に成立したことを示しています。

 ちなみに「ユピテル・アモン」の「アモン」は、キリスト教徒が唱える「アーメン」と同じ意味であり、古代エジプトのアモンを指します。ダン・ブラウンの小説「ロスト・シンボル」で言及されていた通りです。


 一同が高らかに宣した。「アーメン!」

 アモンだ、とマラークは訂正した。エジプトこそがお前達の宗教の揺籃の地だ。エジプトの神アモンは、ゼウスやユピテルや、現代のあらゆる顔を持つ神の原型となっている。今日に至るまで、この世の多くの宗教はその様々な変名を声高に叫んできた。アーメン、アミン、オーム!

- 中略 -

 時は記憶を消し去りそれを過去から切り離した。もはや彼等は、強力な知恵がかつて湧き出た源を知らない。先人の神秘について訊ねられると、信仰の新たな守り手である彼等は声高に関わりを否定し、それを異端だと非難する

- 中略 -

 それでも自分達の過去が見えないというのか。教会の神秘の過去がどこよりも歴然と見られるのは、総本山だ。ヴァチカン市国のサン・ピエトロ広場の中央には、巨大なエジプトのオベリスクが立っている。イエスが産声を上げる1300年前に彫られたその荘厳な石柱は、その地にはなんのゆかりもなく、現代キリスト教との繋がりも全くない。にもかかわらず、それはそこにある

「ロスト・シンボル」
サン・ピエトロ広場


・黙示録の神秘

 天には黙示録の神秘が現れている。エゼキエルの幻の4つの生き物が祭壇を取り囲み、その上に七つの封印の書と神の子羊が置かれている。

 この象徴はヨハネ黙示録の「四つの生き物と犠牲の羊」であり、キリスト教を示しますが、いつもの象徴ではありませんので解説します。

 いつもは魚座の時代の象徴のお魚で描かれますが、ここでは「犠牲の羊」で描かれています。どちらも同じ魚座の時代を示しますが、ここではミトラ教やユダヤ教のように十二宮の動物を屠る形で象徴されています。つまり、羊を屠っていますから、牡羊座から魚座へ変わったときに発生した宗教を示しているということです。

 大切なことなので繰り返しますね。動物を屠る形で象徴されるのは、時代の変わり目です。牡牛座から牡羊座に変わるときは牡牛を屠り、牡羊座から魚座へ変わるときは羊を屠る形で象徴されるということ。その他の動物のツノで時代を示す象徴と混同しないでください。歳差周期を元にした天の時計は、一つの宮を抜けるのに2160年かかります。「変わり目」と「時代の最中」では1000年くらいずれますからね。ご注意ください。では話を戻します。

「羊の犠牲で象徴される時代」と「魚で象徴される時代」

 そして、なぜか「黙示録の神秘」として黙示録が強調されています。キリスト教が発生した時代の象徴を強調するのではなくて、聖書の最後尾の物語である「黙示録」を用いています。つまり、他の象徴のように始まりだけを表しているのではなく、キリスト教だけ「終わり」も象徴しています。しかも強く象徴しています。

 ここで思い出してください。もう一つだけ、死の象徴がありましたよね?

 古代エジプトの父なるナイルです。そう言われて見てみれば、どちらも同じ高さで描かれていることに気が付きます。では、俯瞰して全体をDecodeしてみましょう。これまでは個別の象徴のDecodeでした。ここからは、それらをまとめて何を示しているのかについてDecodeしてゆきます。



・時の流れ

 全体を俯瞰して分かることは、時間の流れ。矢印を添えましたので容易に理解できると思います。始まりと終わりがよく分かりますね。

 ギリシア神秘主義の象徴に時代を示す動物の象徴がない理由は、俯瞰してみれば必要ないからです。流れとしてみれば、古代エジプトは牡牛座の時代、ミトラ教は牡牛座から牡羊座への変わり目の時代。ですから、ギリシアの神秘主義は、両者の間の牡牛座の時代に生じたものだったのだと理解できます。

 ミトラ教は、現行のさまざまな宗教の雛形と言われています。古代の密教(科学・化学)と顕教がうまく融合した宗教の雛形と言うこと。そのため、「世界宗教の群像」ではミトラ教はレリーフ(お手本)として描かれ、ミトラ教以降の宗教の教科書的存在であることを示しています。例えば冬至のクリスマスは、元々はミトラの祭日ですし、7はミトラ教の神聖数です。また、1週間で日曜日を休むのもミトラ教です。

 なぜか現代のあなたもミトラ教のしきたりに従っておりますよね?

 不思議ですね!(棒読み)


 そして、最も新しい宗教のキリスト教が指を差し目指すのは、オリジンである古代エジプトのピラミッド。

 最終的には原点回帰。我々の世界の始まりから終わりまでの歴史を、たった一枚の象徴画にまとめ、人類に関する大切な時(とき)の流れを象徴している絵、それが「世界宗教の群像」です。



・終わりの時

 さて、個別の象徴、全体的な象徴の解釈は一通り済みましたが、まだ謎が残ったままです。

 古代エジプトの父なるナイルが示すもう一つの意味とは?

 キリスト教の象徴は、なぜ終わりの時を示す黙示録なのでしょうか?

 古代エジプトのスフィンクスと、エゼキエルの4つの顔の智天使の類似性の意味は?

 と言うことで来週の「世界宗教の群像(後編)」は冒頭から魔女の本気よ〜。「人類に関する大切な時(とき)の流れ」に繋がるお話。そして、終わりの物語「ヨハネ黙示録」のDecodeにまで繋がっちゃうお話でもあります。

 獣の数字666の、本当のDecodeを知りたくはない?

 ただ、これらのお話はダモクレスの剣だから、見るか見ないかはあなたの選択に任せるわ。


 では本件はこれにて締めとさせていただきます。あなた様の心にわたくしのオシリスの心が届きましたなら、引き続きお付き合いをお願い致します。



作品紹介


デジタルBook:『Decode of the Matrix』

デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』

本:『Divine Ratio Re:Decode』

本:『As above So below』

アパレル&小物:Cavalier Camp


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