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[ Decode : Art ] 世界宗教の群像 (前編)

はじめに

 本件は、象徴画の意味を細かく読み解いてゆく手順を記した記事となります。何事も例題を知らねば応用がききません。その象徴が何を意味しているのかを正確に知らねば、あらぬ連想を掻き立てられ、とんでもない答えに導かれてしまいます。ましてや、正確に記してある書物が軒並み焚書される時代。ネットの規制もどんどん強まり、「本当のことを知る」という、ごく当たり前のことに難儀する時代になりました。

 探求熱心な人々が集まるメンバーシップの掲示板を見ていても、どこかのおかしな象徴解釈が抜けきらず、思考の迷路にハマり続けている人も多々見受けられます。

 そこで久々に [ Decode : Art ] マガジン の登場です!『獅子頭のクロノスの形をしたミトラ』の記事のように、一つの象徴画を細かくDecodeしてゆきます。めっちゃ手間がかかるから前述の記事一つでこっそりスルーしていたシリーズですが、大切なことですので、もう一度復活させ続けてゆこうと思い筆を取った次第です。象徴を解釈する上で、とても大切な例題の数々ですので、しっかり頭に入れましょ〜。では始めます。




Art / 象徴画

・世界宗教の群像(ルノワールの『真正の秘密結社』より)

ではまず「世界宗教の群像」の説明文の引用から始めます。

 図の左側には、コーランの一部を高々と掲げるモハメッドが立っており、その左足は倒した像の上に置かれている。モハメッドの背後には、牡牛座を意味する聖牛が、その角で「年の卵」を開いている。右下にはペルシャの太陽神ミトラの浮き彫りがあり、古代の春分の日に太陽が天牛を征服したことを意味する姿勢で描かれている。中央にはイスラエルの大祭司が立っており、その右腕は惑星の支配者を表すモーセの象徴である七枝の燭台を抱えている。彼の右側には金の子牛の像があり、左側にはギリシア神秘主義者の衣をまとった人物が、犠牲の火を燃やす三脚を支えている。月を頭に頂く雄牛アピスと、豊穣の角を持ち壷から生命の水を注ぐ父なるナイルの背後には、エジプトの密儀参入者の神殿であるピラミッドがそびえ立つ。左の雲の中には、燃える雷霆を振りかざすユピテル・アモンの座像があり、黄道十二宮の白羊宮の属性を象徴する羊の角が生えている。天には黙示録の神秘が現れている。エゼキエルの幻の4つの生き物が祭壇を取り囲み、その上に七つの封印の書と神の子羊が置かれている。左上には黄道帯がある。牡牛座、牡羊座、魚座の星座は、古代人によれば、地上に降り注ぐ恒星の影響を表しており、この星座がここに記されている宗教的・哲学的制度を確立する原因となっている。

『秘密の博物誌』&『Masonic Galleries』


 慣れない方は、この説明文を読んだだけで嫌になっちゃいますよね〜。でも仕方がありません。そう言うものですから。ブラヴァッキー夫人の言葉を思い出してください。

神性を扱う偉大な教師たちは、古代の書物がほぼ象徴的に、しかも秘儀参入者にしかわからない言葉で書かれていた、という点で意見が一致している

『ベールをとったイシス』
H・P・ブラヴァッキー

 そこでわたくしの出番です。古代の遺跡や文献に残る「幾何学」や「象徴」、時代によっては魔術師と呼ばれた者たちの「言葉」や「数」をお伝えする現代の魔女ですから。

 ではズバッと結論からDecodeしてしまいましょう。



・何を示しているか?

 これについては、説明文の最初と最後をくっ付けて読み解けば理解できます。やってみましょう。

 コーランの一部を高々と掲げるモハメッドが立っており、その左足は倒した像の上に置かれている。モハメッドの背後には、牡牛座を意味する聖牛が、その角で「年の卵」を開いている。牡牛座、牡羊座、魚座の星座は、古代人によれば、地上に降り注ぐ恒星の影響を表しており、この星座がここに記されている宗教的・哲学的制度を確立する原因となっている。

 これをざっくり翻訳しますと、「時間が大切だから宗教的・哲学的制度ができました」ってことです。

 え?なぜそう解釈するか全然わからないですって?オッカムの剃刀が足らないんじゃない?



 でも大丈夫よ。しっかり翻訳するから。ただし、今回のシリーズの最後はあなたの選択次第。なぜなら、これまで見ていても見えていなかったダモクレスの剣を見ることになるから。



 わたくしは、扉までは案内するわ。扉を開けて進むか進まないかはあなたの選択次第。任せるわ〜





・解釈の仕方

 象徴は直接的に明言できないことを、神話経由で示します。長々とした説明や、密儀の核心を表現してしまう可能性を含むものを言語化せずに、たった一つの象徴で伝達でき、また、知らぬ者にはさっぱり意味がわからない暗号としても機能するため古代より賢人たちは好んで使用してきました。

 例えば、今さっきあなたが頭の中で行ったようなことです。「オッカムの剃刀」と言われれば、その神話が思い浮かび、話の教訓である不必要なものを削ぎ落とすことだと理解します。「ダモクレスの剣」が見えるようになると言われれば、あ〜、恐ろしい話なんだなと理解します。したがって、象徴を読み解く際は、その象徴の神話に着目します。そこに永遠普遍の理が関わっていたらそれが答えです。では実際にやってみましょう。


Decode

・始まりの解釈

 まずは冒頭の一文の解釈から。



・「コーランの一部を高々と掲げるモハメッドが立っており、その左足は倒した像の上に置かれている。モハメッドの背後には、牡牛座を意味する聖牛が、その角で「年の卵」を開いている。

 大切なこと以外はオッカムの剃刀で削ぎ落としましょう。すると残るのは「モハメッドが倒した像」です。これが何を意味するかと申しますと、大切な数「360」です。神話は以下。

630年にマッカとマディーナで小競り合いがあり停戦は破れたため、ムハンマドは1万の大軍を率いてマッカに侵攻した。予想以上の勢力となっていたムスリム軍に、メッカは戦わずして降伏した。ムハンマドは、敵対してきた者達に当時としては極めて寛大な姿勢で臨み、ほぼ全員が許された。しかし、数名の多神教徒は処刑された。カアバ神殿に祭られる360体の神像・聖像はムハンマド自らの手で破壊された 

wiki

 つまり、モハメッドの左足が置かれている倒した神像・聖像の象徴は「360体」ですから、答えは「360」です。では「360」が何を意味するのかと言われれば、それは天の暦しかありません。我々は365日の太陽暦を使用していますが、元々は355日の太陰暦であり、最古の暦は360日でした。


 それを裏付けるように、モハメッドの背後には、牡牛座を意味する聖牛が、その角で「年の卵」を開いています。なぜこれが裏付けになるのかと申しますと、この「年の卵」は「暦」を意味する象徴だからです。(星座の話については後でまとめて説明します)

 したがいまして、始まりの解釈は「周期・時間」ということです。



・終わりの解釈

 続きまして終わりの一文の解釈です。

・牡牛座、牡羊座、魚座の星座は、古代人によれば、地上に降り注ぐ恒星の影響を表しており、この星座がここに記されている宗教的・哲学的制度を確立する原因となっている。

 地上に降り注ぐ恒星の影響とは「周期」です。そして、それらの周期を我々人間が理解できるように発展した学問が哲学であり宗教の本来の姿です。そう、学問の始まりは、宇宙の仕組み、つまり「理」を知ることなのです。中でも最も大切な理は、星々の周期、いわゆる「時間」です。しかも、24時間や1年とかそんなスケールの時間ではございません。牡牛座、牡羊座、魚座で示される、長大な時間のことです。

 だって地球規模の物理的事件は、10年や100年程度の周期ではやってこないでしょ?

 逆に考えれば、千年、万年単位で周期的にやってくるものは、10年や100年程度の周期でやってくるものの比ではない強烈なものだと言うこと。ですから時代、民族、文明の垣根を越えて、どの時代の賢者も同じ長大な時計の象徴を残すのです。

「しっかり時間を確認しろよ!」とね。

25920年の時計


象徴の解釈

 では、所狭しと描かれているさまざまな象徴を、説明文の順番で一つ一つDecodeしてゆきます。


・石板のミトラ

右下にはペルシャの太陽神ミトラの浮き彫りがあり、古代の春分の日に太陽が天牛を征服したことを意味する姿勢で描かれている。 

 ミトラが牡牛を屠る象徴の理由についてはメンバーシップの配信で詳しく述べましたので割愛します。ここでは象徴のみを記します。上記の文章が示す象徴は、春分点が牡牛座から牡羊座へ移った時期を示しています。

 この意味は、前述の「長大な時計」を知らなければ全く意味がわかりません。25920年で一巡する長大な時計を覚えておりますか?


・歳差周期

 地球の傾きにより生じる歳差運動。この運動は、我々には体感できぬとても長大な周期です。ではどうやって時間を確認するのかと申しますと、方法は二つ存在します。

 一つは北極星。一つは春分点。

 象徴の説明文には、「古代の春分の日に太陽が天牛を征服した」とありますので、ここでは春分点の時計の読み方をご説明申し上げます。

 春分点は我々の感覚では止まって見えますが、実は少しづつ、黄道十二宮上を移動しています。とてもゆっくりであるため気付けませんが確実に移動しています。どれほどゆっくりかと申しますと、春分点が十二宮の一つの宮を抜けるのに要する年数は2160年ほどかかります。これほどゆっくりな時計だからこそ、長い時代を象徴する時計として利用されました。

 ですから、前述のミトラは牡牛を屠る姿で、春分点が牡牛座から牡羊座へ移動した時代に生じた宗教であることを示していると申し上げましたが、その他の宗教の象徴の見方も全て同じです。どの宗教がどの時代にあったのかを象徴していると言うことです。



 ではその他の象徴を細かくDecodeしてゆきましょ〜、、、っと言ったところで本件は締めとなり、来週へと続きます。あなた様の心にわたくしの時計の針が刺さりましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。




作品紹介

デジタルBook:『Decode of the Matrix』

デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』

本:『Divine Ratio Re:Decode』

本:『As above So below』

アパレル&小物:Cavalier Camp




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