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[ Human ] オッカムの剃刀

はじめに

 本件はオッカムのカミソリについての記事です。14世紀の神学者・哲学者オッカムのウィリアムにちなんで付けられた剃刀のお話。この”オッカムの剃刀”とは、あなたの思考の無駄なものを切り落とし、光へと導く大切な剃刀の名。

 先週の「ダモクレスの剣」のようにしっかりと理解し、オッカムの剃刀を己の刃としてくださいまし。それでは始めましょ〜




オッカムの剃刀

1341年に描かれたと思われるオッカムの似顔絵

 オッカムの剃刀(Occam's Razor)は、14世紀の神学者・哲学者であるオッカムのウィリアム(William of Ockham)にちなんで名付けられた”重要な原則”のことです。この原則は、問題を解決したり仮説を立てたりする際に、最も単純な説明を選ぶべきだという考え方です。オッカムの剃刀は、科学的探求や合理的な判断において重要な役割を果たしており、本件ではその歴史や応用について詳しく述べてまいります。


無駄なものを削ぎ落とす

必要が無いなら多くのものを定立してはならない。
少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない。

オッカムのウィリアム


・基本概念

 オッカムの剃刀の基本概念は、「同じ現象を説明する複数の仮説がある場合、仮定を最小限にしたものが最も優れている」というものです。これは、問題解決において余分な要素や不必要な仮定を避けることを推奨する原則です。論ずる際や思考する際に、無駄なものは剃刀で削ぎ落とし簡潔にするということ。ゆえにオッカムの”剃刀”。


無駄な情報を削ぎ落とす


例え

・蹄の音が聞こえたら…

 最も簡潔で分かりやすい例えは、”蹄の音が聞こえたらユニコーンではなくて馬”です。蹄の音が聞こえたら、それは馬の蹄の音です。おかしな情報が刷り込まれておりますと、蹄の音が聞こえた時に「もしかしてユニコーンかもしれない?」という無駄な答えを連想してしまい判断を誤るという例え。ではこの簡単な例えを念頭に、もう少し詳しく見てみましょう。
※ユニコーンじゃくてシマウマでも同じこと。


・医療において

 医療診断の分野では、オッカムの剃刀は重要な役割を果たしています。患者が複数の症状を示していた場合、医師は最初に最も単純で一般的な診断を検討します。例えば、咳や発熱、喉の痛みがある場合、風邪やインフルエンザなどの一般的な病気がまず考えられます。このアプローチは前述の「蹄の音が聞こえたらユニコーンではなくて馬」の話に象徴されるように、稀な病気よりも一般的な病気を優先して考えることを意味しています。


・天文において

 天文学においても、オッカムの剃刀は重要な役割を果たしました。歴史的に、太陽系の構造を説明するために二つの主要な仮説がありました。地球が宇宙の中心にあるとする天動説と、太陽が中心であり地球がその周りを回るとする地動説です。天動説は非常に複雑な説明を必要とし、惑星の逆行運動などを説明するために多くの仮定が必要でした。一方、地動説はより単純で、オッカムの剃刀に従って最終的に受け入れられることとなりました。


・象徴において

 象徴学においては重要どころか必須です。正しい連想を重ねなければ答えに辿り着けない象徴学において、無駄な連想を招いてしまう”無駄な仮説”は完全に省かなければなりません。「ルシファー」や「我決して眠らず」が良い例です。わたくしがよく「せっかく神話から取り出したものを再度神話に戻さないでください」というのも同じこと。わたくしがオッカムの剃刀を使用し”これしかないもの”を取り出したのに、もう一度その他の仮説くっつけて迷子にならないでくださいということ。無駄なものを無駄と決めたなら、思考から外すべきなのです。特に抽象的な答えの象徴学において、より抽象度を上げてしまう仮定・仮説は、正しい思考の妨げになります。古き秘密を見るために必要な知識・考え方はそう多くありません。あっちこっち見たって迷いが増えるだけ。知ってるヅラした盲人が盲人の手を引いてる事なんてザラな現代。なんでも必要最小限にとどめましょう。器以上を注いでも、器からこぼれるか、器が割れるだけですので。


シンプルさは究極の洗練である

レオナルド・ダ・ヴィンチ




・オッカムの剃刀の注意点

 しかしながら注意点もございます。オッカムの剃刀は非常に有用な原則ですが、その注意点も理解しておく必要があります。それは何かと申しますと、最も単純な説明が常に正しいとは限らないということ。単純さを求めすぎると、重要な要素が見落とされる可能性があります。前述の医療で例えるなら、ある病気の診断において、一般的な症状だけを考慮し、稀な病気の可能性を排除してしまうと、誤診につながる可能性があります。

 また、科学的探求においては、単純な仮説が時には誤りであることが判明することもあります。例えば、光の性質を説明する際、最初は光が波であるとする単純な仮説が受け入れられましたが、その後、光が粒子としての性質も持つことが発見され、より複雑な説明が必要となりました。

 このように、オッカムの剃刀は他の理論や証拠と併用して用いるべきであり、絶対的な原則ではないということも覚えておいてください。要は使いよう。情報過多の現代においては、注意点を考慮しても、とても有効な原則ですけどね。



まとめ

 オッカムの剃刀は、問題解決や仮説立案において、最も単純な説明を選ぶべきだという哲学的な原則です。ウィリアム・オッカムによって提唱され、その後、多くの分野で広く応用されています。本件で綴った、医療・天文・象徴学などの具体的な例を通じ、オッカムの剃刀の有用性と使い方を理解することができましたか?この原則は、注意点でも綴ったように絶対ではありません。他の科学的原則や方法論と組み合わせて用いることで、その有用性が最大限に発揮されるものであることも忘れないでください。

 このオッカムの剃刀を、真理の探求において余計な仮定を省きシンプルに考えるためのベーシックアプリとして、あなたの脳みそにしっかりインストールしてくださいまし。それでは本件はこれにて締めとさせて頂きます。あなた様の心にわたくしの剃刀が届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。


お知らせ

 来週は、以前大好評だった記事『Ancient Drug / 古代の薬』の続きとなる『Cannabis / 大麻』についての記事です。ガッツリ綴りましたのでお楽しみに〜!


作品紹介

デジタルBook:『Decode of the Matrix』

デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』

本:『Divine Ratio Re:Decode』

本:『As above So below』

アパレル&小物:Cavalier Camp



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