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ACP 人生会議

ガンの進行がこのところ進んだなと感じていた方の訪問。ここ1ヶ月くらいで病状が進んだと本人も娘さんからも報告があった。

確かに呼吸のしんどさや咳き込みが強くなってきてる。麻薬系の痛み止めも量が増え出してきた。

ちょうど息子さんも夜勤から帰ってきたところだったから、本人含め、家族にも今後起きうる可能性がある事を伝え、どうしたいのか今のうちから本人と家族で相談してほしいって伝えた。

ガンの方にはなるべく早い時点から話しをちょくちょくするようにしている。治療中、転移している、いろいろなステージもあるけど、本人がガンっていうことを理解されている時はかなり早い段階から聞くようにしている。

どうしたい?どこで過ごしたい?誰に介助してもらいたい?判断してもらいたい?どういう風になったら入院したい?家で最後まで過ごしたい?って事を毎月の訪問の中でさりげなく聞いていく。そして、自分でいろいろ判断したり、決められる人だったらほんまこういう時はどうする?って話しを早い段階から聞くようにしている。

何故聞くのか?

もちろん本人の生き方を支えるため。

ACP アドバンスケアプランニング 人生会議 いろんな呼び方あるけど、うちのなかでは「本人らしく生きるため」の話し合いの場やと思ってるし、説明している。

それぞれこうしたい、ああしたいっていうのを話してくれる。そしてよく聞かれるのが、どれくらいお金かかるの?って。これね。すごく大切。お金がどれくらいかかるのか?家族に迷惑かからないように病院に入院したいっていうても、緩和ケア病棟って個室やし、日数が長ければかなり費用面でかかってくるからそれが家族にとっては負担になったりすることもある場合も往々に。

自宅だと家族の介護負担がかなりかかってくるのは確か。家族の仕事状況や、体調、介護にどれだけ時間をかけられるのか?仕事を急遽休めるか?とかその家庭それぞれに変わってくる。そこも早い段階から相談してあると、家族も場合によっては介護休暇申請されたり、仕事をセーブする時期を考えたりすることも余裕をもってできるんよ。仕事を辞めるのだけはやめて!って良く言ってる。ここまでを自分達でやって、ここまではサービスにお願いしようって振り分けられると続けられる。

ここから関われるとほんまにあとあと家族が悩まない。あの時ああいう風にいうてたよね?これはしてほしい、これはしてほしくないっていうてたよね。って本人が意思を伝える事が難しくなった時選択しやすくなるねん。

私が関わるガン患者さんってほんま末期って言われる方が多い。依頼を受けて訪問した時には寝たきりで関わって数日単位で入院されたり亡くなるってかたもざら。本人の意思確認が出来なくて家族もうろたえられてたり、疲れすぎたり。そうなると選択肢も限られるし、バタバタと事が運んでいく。

大きな病院はガンの治療をしている間はいろんな治療法を検討してくれるし、通院できるなら通えばよい。

ただね、やっぱり、痛みやくるしさ、しんどさが出てきた時すぐに受診して相談出来る訳やないし、通えなくなったらどうするのかっていうのは早い段階で考えておいてほしい。特に医療用麻薬系の薬を使い出したり、痛みが自宅でなかなかコントロール出来なくて不安な方はまずは訪問看護師さんにきてもらって相談がいつでも出来るようにしておく事をほんまオススメする。

先日も新規の依頼の方に行ってきた。若いガン患者さん。痛みのコントロールが難しくなってきて、ほぼベッドでの生活。お薬の使い方、痛みのコントロールの仕方をいろいろ相談したいって。痛いのに麻薬系だからって怖いからって飲むのを躊躇したり、大きな病院の先生が主治医だからその相談もできないって。予後はかなり悪い。看護師と訪問して最初は痛みと不安からか苦痛な表情やったけど、看護師といろいろ話をしている間に表情が和らいできた。日常生活で出来る工夫を本人や家族に伝え、何か有れば電話して、訪問するよっていうことが分かった時、本人や家族の安堵した表情。これが凄く重要なのかも。そしてこの方は訪問診療も入ることになった。

家族が言うてた。早く相談しておけば良かったって。でもまだ、本人の意思疎通がある程度出来るからこれはこうしたいとかしてほしくないとかしっかり考えられるから一緒に考えましょうって。

選択肢の提案は多いに越したことはない。チームメンバーを作り、この相談はこの人にしてみよう、これは共有しておきたいとか言ってもらえると私達も動きやすい。

毎度毎度ながら言いたい。

病院の先生や看護師さん、連携室のMSWさん達。ガン患者さん、難病の方には特に早い段階から治療が困難になったらどうするか?どうしたいと思っているか?っていうのを聞いておいてほしい。それはACPをとるとかBSCですとかをとってほしいということではない。本人や家族に考える時間を作ってほしい。どう生きたいのかを支えるためにね。




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