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続・夢十夜(九)




一 ワクチン入りハンバーグ


 インフルエンザのワクチンを打っておくように言われている。僕は家族とファミレスのようなところに来ている。前の掲示板には、本日のスペシャルメニューとして、インフルエンザワクチン入りのハンバーグがあると書かれている。口から入れて効果はあるのだろうかと思いながらも、まあこれでいいかと思って中に入り行列に並ぶ。かなりの混雑ぶりだ。ワクチンがあるからだろうか。前にいた5人くらいの子どもたちが、店員に声をかけられている。前に出ていくと調理場に入り、どうやら皿洗いをしているようだ。僕は娘に「バイトやったのかな」などと言っている。「こんな忙しいときに初バイトって大丈夫かな。もっと暇なときにちゃんと教えてからやらせたらいいのにな」と言う。なんかきれいになっていない食器で出てきたら嫌だなあと思っている。
 

二 世情


 妻と僕は京阪の快速特急に乗っている。かなり混み合っている。妻は運良く座れたが僕はその横で立っている。後ろに座っている年配の男性の裸足の足が出ている。妻は「ちょっとすみません。足引っ込めてもらえませんか」と大きな声で言う。隣りに座っていた男性が自分に向かって言われたのかと思ってびっくりしている。その内、女性の車掌が検札に回ってきた。妻は僕に「何があっても私を信じてね」と言う。まず、僕が切符を渡す。次に妻が自分の切符を渡す。車掌は「これはちょっと困りますね。この人を連れて行って」と助手のような人に頼んでいる。妻は引っ張られて連れて行かれそうになる。「ちょっと待ってください。よく見てもらえば分かりますから。」などと妻は言い訳をしている。BGMにはもちろん中島みゆきの「世情」が流れている。
 

三 カクテル


 家族で温泉旅館に泊まっている。隣の旅館の風呂の方が露天でとても大きな岩風呂になっている。みんなでそちらに入りに行くことになる。何人かの友人や近所の人たちもいる。少しの移動だからと下着もつけずに来た人もいる。隣の旅館に入ると、友人Kはちょっと高級なラウンジでカクテルを買って飲みだした。僕はそれを見て「これって千円くらいするの?」と聞く。「僕はこういうのは我慢するなあ、まあデートで二人きりだったらいくらでも飲むけど」などと言っている。さあ、温泉に入ろうとするが、皆まずは近くの海に向かう。海は隣の旅館と一続きなのになあなどと思っている。
 

四 長袖ヒートテックの上に半袖Tシャツを着る


 1人で仕事をしていて暑くなってワイシャツを脱いでいた。長袖のヒートテックを1枚だけだ。うっかりそのまま出てくる。途中気づいて、厚手の半袖Tシャツを上から着る。駅につくとものすごい人で、2列に分かれて電車を待つ。放送で次はこちらの列の方、前にお進みくださいと言われて進んでいく。しかし、ホームではなく、何故か集められて話を聞かされる。しゃべっているのはT部長だ。部長は僕の服装に気づき、なぜそんな格好なのかと聞く。僕は事情を説明する。
 

五 200%停めるなんてあり得ない


 グランドにあるバレーコートで、3人対3人で試合をしている。1人負傷のためしばらくは2人でプレイしている。僕はバレー経験者に、交代選手で出ていいよね、と聞いてから試合に出る。ネットの前に大きなシーツのようなものが干してある。なんか見にくいな、などと思いながらシーツをめくりつつプレイする。ふと気がつくと若者たちの車がコートに入って来ている。「ここ停めていいですか」と聞かれる。僕は「ここどう見てもバレーコートですよね。しかも試合してるよね。120%、いや200%停めるなんてあり得ないよね」とちょっと興奮気味に若者たちに答えている。
 

六 GW8日目


 ゴールデンウイーク9連休の8日目。ああ、あと1日で休みが終わってしまう。お盆や正月よりも長い連休。1年で一番長い連休。僕はやっぱり働かずにダラダラしているのが好きやなあと家族に話している。ふと見ると低い天井に僕が過去に書いたものがいっぱい貼られている。父はそれを1枚1枚はがし取ってじっくり読んでいるようだ。僕は、父がどう思っているのかなと気になっている。
 

七 ちょっといい靴 


 ちょっといい靴を履いて出かける。定食屋で1000円ほどのランチを食べる。しっかり味がついていて美味しい。横のテーブルには少しだけ知っている女性が1人で食事をしている。僕は上着を椅子に置いたまま外に出る。その女性が僕の名前を呼んで上着を手渡してくれる。少し好意を持っていたので、それをうれしく思う。「ランチ美味しかったよね」と彼女が言う。「うん、味が濃かった。」それ以上大した会話も出来ないまま彼女はバスに乗って帰ってしまう。少し残念に思う。
 

八 長い紐の靴


 僕は紐の長い靴を履いている。バイト先からの帰りだ。行きは池の西側を通ったので、帰りは東側を通ってみる。民家の前の狭い道を通る。子どもたちが遊んでいる。そこを通り抜けると、動物園かと思うほどたくさんの動物が池の畔で寝そべっている。ワニもいる。僕はちょっと怖くなって、やはり反対側の道を通ることにして、少し戻る。急に僕は走り出す。池の上を走っている。反対岸までたどり着く。僕は何の上を走ったのだろう。到着すると学校がある。体育館からたくさんの人が出てくる。僕は下駄箱から長い紐の靴を出して履く。似たような靴を履いている少女が「これは私のですから」と言う。もう1人の男性も同じような靴を履いている。「僕の靴はずっと紐がないけど、そのまま履いている」と言っている。少し歩いていると友人が合流する。「もう食事の時間かな」と僕が言う。「まだ4時台だよ」と時計を見ながら彼は言う。僕も時計を見ようとするが、腕時計はしていなかった。背中のリュックの中にスマホがあるが、それを出すのも面倒だなあと思っている。
 

九 にやにや、フラフラ


 チェックアウトの朝、僕だけが外に散歩に出ていた。戻って来て家族が朝食をとっているかと探すが見つからない。僕は部屋に戻ろうとするが部屋番号が分からなくなる。今は8時30分、どうやら妻と娘はすでに仕事に行ってしまったようだ。僕はフロントに行って部屋を確認し鍵を借りようと思う。僕も昼から仕事で、そろそろ出ないとまずい。あわてて小走りで行くと息子がにやにやしてフラフラしている。「もう皆仕事に行ったで。鍵持って出たん違うの。洗濯物は取り込んでおいた。そのままやけど。」などと言っている。部屋番号を聞くが定かでない。8番やったん違うかな。いや、ここはABCになっている。とにかくフロントに行って聞いてみる。しかしチェックアウトの人が行列を作っている。僕はあわてる。割り込んでしまおうかどうしようかと悩む。
 

十 距離感


 古くて狭い商店街から路地を入ると簡易宿がある。玄関の自動ドアが故障しているのか、横のドアが開いたままになっていて、皆そちらから出入りしている。僕もそっちに回る。知り合いが声をかけてくる。「部屋に戻る前になんか売店で買うものないか?」と聞かれる。僕は「別にないです」と答える。知人がもう1人の別の知人に向かって「ふられたわ、やっぱり付き合い悪いな、あいつ」と言っている声が聞こえて来る。そう、僕は大概付き合いが悪い。特に弱いつながりの人とはどう接していいか分からない。うまく距離感がつかめない。

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