続・夢十夜(七)
一 娘の男友達
妻の実家にいる。庭に出ようとすると手作りの小さな草履がある。はいてみたら簡単にばらばらになってしまった。僕は近くにある茎などを集めて同じようなものを作ろうとする。結局集めるだけ集めて新聞広告でくるんで棚においた。表玄関が騒がしい。どうやら娘が引っ越しをしてきたようだ。大きな荷物を運びこんでいる。男友達が複数人手伝ってくれている。僕も手伝おうと出ていく。男友達にねぎらいのことばをかける。台所では大鍋にカレーができていて、それをみんなにふるまう準備をしている。デザートのスイーツまで並び始めている。
二 亀頭
僕は実家の前にいる。コンニャクをアスファルトの道路の上で転がしている。父が仕事から帰ってきて大工道具の手入れをしている。僕は父にコンニャクいる?ときく。父は「はあ、いる。置いといて」と言う。そして、ぐっと押さえると、なかから少しピンクがかった太い亀頭そっくりのものが現れる。父は「また買っといてや」とも言う。僕は父がこれを何に使うのかな?と思いながら、勝手口を開けて家の中に入る。
三 MさんからXさんへ
父方の田舎Mさんの家に来ている。両親といっしょだ。法事か何かだろうか。他にもたくさんの人が来ている。帰りに手作りのパンをお土産にいただく。僕は1つ余分に袋をいただく。そして、これは親戚のXさんに送ってね、と言われる。父は「そんなんうちで食べてしまったらいいねん」と小さな声で言う。Mさんは「Xさんには電話でしゃべっているからちゃんと送らないとばれるよ」というようなことを言っている。母は「あとで私が電話して聞いてみる」と言っている。僕は、何でうちに頼むのか、Mさんが直接送ったらいいのに、と思っている。
四 じっくり探さないと見つからない
社員旅行の夢をよく見る。出発時刻になるので大勢でバスに向かう。さあ、バスに乗り込むぞという時間になって、僕はリュックを持っていないことに気づく。途中で落としたのか、出発前に時間をつぶしていた場所に忘れてきたのか。いま来た道を探しながら戻って行く。旅館に入って、事情を説明し、さっきいた場所でリュックを探す。忘れ物が届いていないかとも聞くが見つからない。ここで僕は一人称の僕から離れて俯瞰的に見ている。僕のリュックはたくさんの箱が積んである途中の1つに埋め込まれている。ぼーと見ていては見えない。よくじっくりと探さないと見つからないのだ、と一人称の僕に向かって忠告している。
五 K先生(源氏物語専門)
K先生が濡れた刷毛で塀や机に何やら模様を描いている。水で濡らしているだけなので、描いたあとからどんどん乾いて消えていく。僕は「何のためにそんなことしているのですか」ときく。先生は「やりたいからやっているだけ」と言う。僕は内心思う。僕には無理だな。なんの役にも立たないことを、そんなひたすら続けることは。そう考えてふと思い直す。いや、でも、人間皆、何にも役に立たないことを一生懸命やっているものなあ。妙に納得してしまう。やりたいからやる、それが大事だなあ、とも。
六 針金
自分のデスクに戻ると長い髪の毛が数本見つかる。僕はそれを引き抜いてゴミ箱に捨てようとする。しかしよく見るとそれは細い針金のようだ。ゴミ箱にはいろいろな太さの針金が何本も突き刺さっている。かなりの長さでもある。これはいったい何か。どうやらY先生が壁を修繕するのに使うらしい。壁のボードがはがれているところがある。それを貼り替えようということらしい。しかし、もう授業開始時刻になっている。僕は他の先生にも、もうこれはこのままにして授業を始めてくださいと言う。僕はデスクからテキストを取り出して行こうとするが、そのテキストが見つからない。あせる。
七 T先生(北大名誉教授)
僕が出勤するために家を出ると斜め向かいの家の前でタバコを吸っているT先生がいる。僕は最近先生がそこに移り住んできたことを知っていたが挨拶をしていなかった。「T先生ですね。昔、○△の出版の際にお世話になったSです。私、そこの家に住んでいます。」先生はポケットから3000円ほど出し私に渡そうとする。「それは受けとるわけには・・・」「いやいや、ちょっとお昼でも食べながら話しましょう」と喫茶店の方を向かれる。仕事の時間が気になったが「では1時間くらいなら大丈夫ですので」と中に入る。テーブルにつくと横で子どもたちが騒いでいる。その中に私が今塾で教えている生徒がいる。そのお父さんもいて「そうですか、先生は昔編集の仕事をされていたんですね。」と話に入ってくる。「あっ、はい」僕はラインで職場に遅れることを連絡しようとしている。「この前のMさんとの対談読みました。むちゃくちゃおもしろかったです。」「・・・」僕はラインしようとしている。しかし、どうしてもSさんのトークが見つからない。
八 ピストル
2階の部屋に洗濯物を干している。天気がよくなってきたので外に干そうと思い2階に上がる。すると部屋数が急に増えている。お客様用のベッドが2つあり、ちょっと柄の悪そうな人たちがゴロゴロしている。客は選んだ方がいいなあと思っている。洗濯物を干している部屋に向かおうとすると、そこに行くまでに大広間がある。たくさんの人がいる。何だかお店のような感じである。突然、大柄な外国人のような人4、5人がやってくる。そして、そのうちのリーダー格の1人がピストルを打つ。そして暴れ出す。部下のような人に、お前も打てと言う。しかし、できませんと答えている。僕はそのボスを刺激しないように、部下の人たちに、君たちが止めるしかないから止めてくれ、と頼む。しかし、それはできなさそうにしている。僕は横にいる人に警察に電話するようにと言う。ふと見るとすでに警察官が1人来ている。しかし、なんだか頼り無さそうである。僕たちはどうなってしまうのか。
九 歯医者とカメと親戚と
朝9時ころ僕は歯医者にいる。奥歯が気になっている。今日は時間ありますかと医者に聞かれる。何か重篤な問題が隠れているのだろうか。医者は僕の横に座り、僕の太もも(なぜか太ももを出している)に液体を塗り付ける。歯をコーティングするようにと勧められるようだ。僕はいくらか説明を聞いたらきっぱり断ろうと思っている。気付くと家に帰っている。10時過ぎのようだ。うまく歯医者からは逃げられたようだ。薄暗がりの部屋の隅の方にヤモリのような生き物がいる。僕は捕まえて逃がそうと思い、近寄る。すると急に大きくなってカメのような姿になる。そして、近くにあったマスコットを抱え込みスラスト運動を始める。その姿がおもしろく、外に娘の気配があったので「○○ちゃん、ちょっとこれ見て」と声をかける。扉が開く。するとそこにはたくさんの人がいる。妻側の親戚のようだ。外から2階の窓に向かって呼ぶ声が聞こえる。外にもたくさんの人がいる。下から写真を撮ろうとしているようだ。みな窓から顔を出している。僕は近くにいた妻に声をかける。「なんか、カメが変な行動をとっていたんで○○ちゃんを呼んだら、人がいっぱいいてびっくりした」「ごめん、言ってなかった? 今日来ること知らなかった?」僕はまったく聞いていない。戸惑っている。
十 忘年会
雑居ビルの4階で会社の飲み会(忘年会?)をやっている。会費は4000円。しかし、あまりおもしろくないので外に出る。エレベーターで下におりる。その中に昔同僚だったT部長が乗って来て、外回りでもしてた方がましやな、などと言っている。僕は、ここで会費分「もと」とれてないからやっぱり戻ろうと思う。席に着くと、やはり会場を抜け出している同僚の娘さん(娘は新入社員)と話をする。父は有給休暇もしっかりとるし、仕事は仕事、遊びは遊びとちゃんとメリハリをつけているんですけどね、と言っている。だから、いまここから抜け出して仕事をしているような人とは思えないと。
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