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歩こう巣鴨-学生の街 巣鴨へ-

「すがもプロジェクト」の七班にインタビューして内容を紹介する連載第3回は「歩こう巣鴨」班の皆さんです。大正大学は巣鴨にありますが、巣鴨と聞くと何をイメージするでしょうか。「おばあちゃんの原宿」が有名ですね。昔から親しまれている高岩寺や真性寺などのお寺、たくさんの人であふれる地蔵通り商店街。その巣鴨の町を学生の学びの場として大いに活用しよう、そのためにまずは巣鴨を学生に歩いてもらおうと様々な仕掛けを企画・実践して、新たな価値を創ろうとしているのが歩こう巣鴨班です。
今年からの新規プロジェクトに対して、これからどのように活動していくのか、どのような気持ちで活動しているのか、歩こう巣鴨班のみなさまに聴いてきました。

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歩こう巣鴨班 メンバー(2020年春学期時点)
・松下遥奈(SPS 人間科学科4年 左上)
・富田沙樹(表現文化学科4年 右上)
・塚田莉奈(表現文化学科3年 右下)
・秋山紗良(人間科学科2年 左下)

なぜ巣鴨を歩くのか?


―まず初めに、歩こう巣鴨班はどのような活動をしている班なのか、教えてください。

松下:歩こう巣鴨班は、学生と巣鴨のまちや人を繋げるという目的のもと活動しています。巣鴨は私たちが通う大正大学があるにも関わらず、若者による活気が少ないように感じています。もしかすると、学生は「おばあちゃんの原宿」というイメージが強く、巣鴨とは縁が無いと感じているため、巣鴨の街の魅力を知らないのかもしれないと考えました。
 私たちが巣鴨の街でフィールドワークを行った際に、学生目線でも魅力的と感じるところをたくさん発見しました。それらの魅力を学内に広く伝えることで、大正大学生と巣鴨の街との強いつながりを生み出せると考えています。また、学生と商店街の人たちとの交流の機会が増え、新たな化学反応が起きるのではないかとも期待しています。さらに、大正大学は地域に根差した教育活動をしている大学であるということもアピールできます。これらを実現するために、私たちは現在様々な企画を練っています。

秋山:巣鴨駅から大正大学まで歩きたくない(歩く必要がない)と考えている学生が約4割いるというアンケートがありました。その4割の学生はどうしたら歩いてくれるのか、考えてみました。

富田:現在検討している企画は3つあります。まず1つ目はInstagramを使った企画です。大正大学生に、自身のアカウントから巣鴨の街の魅力的な部分を「#インスガグラム」をつけて投稿してもらうという企画です。私たちが出したお題に沿って巣鴨の街の魅力的な部分を切り取り、写真や動画を投稿してもらいたいと考えています。巣鴨の街に行かなければ撮れないようなお題を出すことで投稿する人が巣鴨の街に繰り出し、その投稿を見て魅力に思った人も巣鴨の街に行こうと思うのではないかと考え、この企画を発案しました。

松下:2つ目は、学生にウェブ記事を書いてもらうという企画です。巣鴨の街を散策し、魅力や名所を発見してもらいます。それを3000~4000文字で書いてもらい、すがもプロジェクトのメディア班とコラボしてwebマガジンで発信します。そうすることで、すがもプロジェクトのメンバーだけでなく、より多くの学生の視点で巣鴨の街の魅力を発信することができます。

塚田:3つ目は、謎解き企画です。学生には商店街を舞台に謎解きをしてもらいます。私たちが商店街にある店名等を使った謎を作って学生のお店の利用を促したり、路地裏にも謎解きを用意し、普段行かないところにも足を踏み入れてもらったりして、巣鴨のお店や文化を知ってもらおうと考えています。このような巣鴨の街との新しい出会いを通して、学生には自分の学びにつながるきっかけを見つけてほしいと考えています。

富田:しかし、新型コロナウイルスの影響により学生が大学に登校できない今、フィールドで大々的に活動するのが難しいので、今年度は、大学に一度も登校できていない現一年生に向けた巣鴨の街の紹介と、来年度に向けた準備などに活動をシフトしていきました。

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コロナ禍でもできるフィールドワーク

現一年生に向けての活動や来年度に向けた準備とは、どのようなものですか?

秋山:まずは現一年生をターゲットにした動画制作です。巣鴨のおすすめスポットを紹介したり、『大正大学入門』という教科書から単語を抜粋して特集を組んだりしようと思っています。今後の通学が楽しくなるように、動画で巣鴨、大正大学周辺のお店や商店街の紹介、大正大学の歴史などを伝えていきたいです。また、同じく『サービスラーニング』を受講している学食in巣鴨班の人たちも、私たちと同様に精力的に活動ができない状況です。そこで、学食in巣鴨班と連携を取ることを検討しています。学食in巣鴨班は、学生に巣鴨の飲食店を学食のように利用してもらいたいという目的があり、歩こう巣鴨班の目的と類似する点があります。そこで、現一年生に向けた動画制作のなかで協働できないかと考えています。

富田:また、来年度からは大学に通えることを見越して、巣鴨を歩くキャンペーンのための企画を考えています。今はLINE公式アカウントを使ったポイント制度や、地域通貨を使う方向で検討しています。それに伴い、地域通貨についての勉強を始めました。

松下:LINE公式アカウントについて、今は歩こう巣鴨班内でテスト運用をしています。用意した公式アカウントのQRコードを読み取ると、LINEポイントが1ポイント加算される仕組みです。QRコードを商店街のお店に置いてもらい、学生が読み取れるようにすれば、巣鴨を歩くだけでLINEポイントがもらえるという仕組みを考えています。

まさに歩こう巣鴨ですね!

富田:地域通貨を使ったキャンペーンは、職員さんのアドバイスにも助けられています。普通の授業を受けていただけでは絶対わからない、大学内での予算管理や支出方法、企画が実現可能かどうかの基準などを教えていただけるのでとても面白いです。

秋山:学生の私たちのアイディアを、先生や職員のみなさんに相談することで、どうすれば実現できるかがわかってきます。今は商店街の方々とどのような連携をとるのか、予算はどうするのかといった準備をして、徐々に学生に告知していくことになりました。

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地域をよくすることは自分をよくすることにつながる

先生や職員の方々ともうまく協働しながら、活動されているのですね。新型コロナウイルスの影響で計画通り進まない状況でも、来年度へ向けた準備など様々な新しい活動を生み出していて、とても行動的な印象を受けました。最後に、なぜ『サービスラーニング』の授業を履修したのか、今どのような思いで活動されているのか、教えてください。

塚田:『サービスラーニング』を履修した理由は、プロジェクトを通して得られる知識や経験を就職活動に役立てたいと思ったからです。私が所属している表現学部のエンターテインメントビジネスコースでは、とにかく数字にこだわるよう指導されます。歩こう巣鴨の活動ではPDCAサイクルに則り、企画、実行、成果のフィードバック、そして報告書を作成します。成果を正確に測るために必要なデータサイエンスの知識や、課題や失敗をどう解消するかなどの経験を得ることができるうえ、巣鴨の街にも貢献できるのでとてもやりがいを感じます。
 私はこの活動によって、大正大学生が考える巣鴨のイメージを変えたいと思っています。一般的に巣鴨は「おばあちゃんの原宿」として親しまれているので、学生がいる街という印象を持つ方はとても少ないと思います。大正大学の立地を活かして、「多世代が活動する巣鴨」というイメージへと変化させることが目標です。

富田:私は『コミュニティプログラム』という授業を受講している際、担当の先生が『サービスラーニング』も担当しており、そこで誘われたことがきっかけです。歩こう巣鴨班を選んだのは、他の班より自由に、広い範囲で活動できると思ったからです。大正大学生に巣鴨を歩いてもらうという目標は難しいことですが、その分やりがいがあると思って選びました。
 私も塚田さんと一緒で、学生には巣鴨の街を楽しんでほしいと思っています。先日、歩こう巣鴨班のみんなでフィールドワークとして巣鴨駅周辺を歩いてみました。すると、初めて見るかき氷屋さんや、昔ながらの喫茶店など魅力的なお店がたくさんありました。これまで3年間大学に通ってきたのに知らないことばかりでした。大学の近くにある巣鴨の様々な魅力を学生たちに発信したいです。巣鴨で思う存分楽しんでほしいと思います。
 巣鴨には魅力的なお店がたくさんあることに気付き、私はもっと巣鴨駅周辺を散策しておけば良かったなと後悔しました。残り半年の活動で、後輩たちに全力で魅力を伝えていきたいです。

秋山:私は一年生の頃に、『サービスラーニング』を履修していた先輩方のお話を聞く機会があり、興味を持ったので今回履修しました。歩こう巣鴨班を選んだ理由は、自分が通っている大学周辺の地域を盛り上げる活動をしているという誇りを持てると思ったからです。巣鴨の街を学生でいっぱいにするという目的を達成するために、今後は綿密にアプローチ方法を考えていきたいです。
 私も従来の巣鴨のイメージを払拭したいと思っています。巣鴨の駅近くには学生が立ち寄りやすい、利用しやすいお店がたくさん並んでいますが、学生は若者が少ない街という印象を持っているのではないかと考えています。私たちの活動によって、巣鴨の街に若い活気が溢れたら楽しくなるのではと思い活動を進めています。

松下:私は昨年、南三陸ツアーに行って『サービスラーニング』に興味を持ちました。これまで大正大学は、東日本大震災直後のボランティアや学生が被災地に行って学ぶ『私大ネット36』といった活動を通じて、被災地である宮城県南三陸町と深く関わってきました。2017年からは『サービスラーニング』の授業の一環として、学生が南三陸で学ぶツアーを自ら企画し、運営しています。ツアーが終わってからも地域貢献活動を続けたいと思ったため、東北復興支援や巣鴨を活性化させる活動を行う『サービスラーニング』を履修しました。
 この授業ではどんな活動をするのか、そこで私は何ができるのかと考え、自分自身を試してみたいと思ったのが関わったきっかけです。そして授業が始まってからは、SPS(すがもプロジェクトスタッフの略。詳細はこの記事をご覧ください→https://note.com/arukimedia/n/na1dbc03976ba)にもなりました。SPSになったきっかけは、授業の担当の先生に声をかけていただいたことです。せっかくいただいた貴重な機会ですし、自身の経験値を上げることにもつながると思い、お話を受けました。
 このプロジェクトが始まってから、SPSとしての責任を全うするために巣鴨について情報収集をしました。それによって、巣鴨の街には魅力的な部分がたくさんあることがわかりました。例えば、特徴的な試みを行っているのが巣鴨地蔵通り商店街の「マルジ」という衣料品店です。このお店ではお客様アンケートを取っており、一日にひとつ、アンケートでいただいたお客様の声とお店の回答を公開しています。赤いパンツで有名な「マルジ」ですが、お客様の要望に応えて赤いパンツを売り始めたことで売り上げが上がり、巣鴨で有名なお店になったそうです。1952年から続く老舗ですが、お客様一人ひとりの声に真摯に向き合ってきたことが、人気の秘訣なのだと感じました。また、シベリアロール専門店の「巣鴨とげぬき福寿庵」や、具沢山のサンドウィッチが魅力的な「キムラスタンド」など、人気なお店が巣鴨にはたくさんありますので、私たちの活動で大正大学生に広く知ってもらえたらと思います。

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巣鴨のために、自分のために、このプロジェクトにかける班員それぞれの想いが感じられました。学生と巣鴨を繋げるにはどうしたら良いかを考え、オンラインという環境でも、巣鴨の魅力を新たな世代に伝えるための動画制作や、来年度の活動を見越した地域通貨の勉強など精力的に活動しているのがわかります。さらに、売り手、買い手、世間のすべてに利益があるという「三方よし」の考え方を持った運営で、巣鴨、学生、大学それぞれにとってとても意義がある活動をされていると思いました。学生のみなさん、歩こう巣鴨班の企画に参加して、新たな巣鴨の魅力を見つけてみてはいかがですか? 学生の視点から見た巣鴨の魅力を一緒に見つけていきましょう!

記事・山本陸(メディア班ライター)
2020年7月29日取材


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