52ヘルツのクジラたち 読書記録1(読了:1-2分)

大きなネタバレはしないように書いていきます。

町田そのこさんの52ヘルツのクジラたちを読了しました。久しぶりに小説を読んでグッときたので読書記録を書きたいと思います。

タイトル

52ヘルツのクジラとは、他の鯨たちが聞き取れない高い周波数でなくクジラを指しています。同じ生物のはずなのに目の前を通る鯨に声を届けることができない、そんな姿を登場人物たちに重ねた言葉です。

目次

1. 最果ての街に雨
2. 夜空に溶ける声
3. ドアの向こうの世界
4. 再会と懺悔
5. 償えない過ち
6. 届かぬ声の行方
7. 最果てでの出会い
8. 52ヘルツのクジラたち

あらすじ

主人公の三島貴瑚みしまきこが、かつて祖母の住んでいた大分の海辺の町に移住してきたところから物語は始まる。そこで虐待により言葉を発することのできない13歳の少年と出会い、少年とかつての自分を重ね合わせ、助け出そうとする物語。

登場人物

52:虐待を受けている少年のこと
アンさん:貴瑚が21歳のときに出会い、彼女を助け出した人物
美晴:学生時代からの友人。アンさんとともに貴瑚を助け出した
主税ちから:かつての貴瑚の恋人
琴美:52の母
品城さん:52の祖父(琴美の父)
昌子:52の祖母(琴美の母)

章立て

1-2章:町の人との出会い。52との触れ合い
3章:【回想】美晴との再会、アンさんとの出会い
4章:52の祖母を探して
5章:【回想】主税との出会い
6章:主税、アンさんとの別れについて美晴に伝える
7章:品城さんの説得
8章:昌子さん夫婦との相談、52の成長

感想

52ヘルツの声を出していた人たちの物語。
登場人物たちの過去を知った上で再度目を通そうとすると、出会いのシーンからグッときてしまう。すべての人が幸せな結末にはならなかったが、未来への希望を感じる終わり方だった。

章立て
3, 5章で回想シーンが入るが、過去から現在に馴染ませるため6章では会話形式で美晴に伝えている。過去の出来事の顛末から現在にリンクし、52のことを助けるために物語が動き出す感じがあって良かった。

登場人物
それぞれキャラクターが立っていて、迷子になることが一度もなく読みやすかった。悪い・・人物と良い・・人物が明確に分かれていて、自分の感情も著者の意図した通りに揺れ動かされた気がする。

内容
ネグレクト・虐待だけでなく、他にも社会問題を取り扱っていて、考えさせられた。
また、美晴の友情やアンさんの優しさにも心を打たれた。自分も優しくありたいと思える作品だった。

再読しよう。

書籍

52ヘルツのクジラたち


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