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エピソード2:どうしてアートとビジネスは結ばれないのか?

アートがビジネススキルを上げる可能性があり、その考察をすると前回頭出しをした。

エピソード1:まずはギャラリーを予約せよ

その考察の前に、なぜビジネスとアートが結びついていないのかについて考えたい。

ビジネスで最も重視すること、それは収益性だろう。もちろん、拝金主義が支配する世の中ではない。しかし、どんなに世のため・人のためといった美しいビジョンを掲げていても、継続・拡大するためにはお金や数字は欠かせない。

それでもある人はいう、儲けは明日食べていくだけでいい、お金に変えられないやりたいことがある、大事なことがあると。なぜかアーティストやアート作品はその文脈で語られる。

アートを目的とする人、手段とする人

最近、巷ではビジネスxアートについて多くの本が出版されている。個人的には、とてもよい傾向だと思う。アートに関心を持つ人、美術館に通う人がますます増えるだろう。

しかし、ビジネスとアートが融合するのは、まだまだ時間がかかるのではないか?アーツプロジェクトスクール(APS)で、様々なバックグランドを持つ人とプロジェクトを組んだ経験から、そのように考えてしまう。

APSでの一番の学びは、アートの捉え方が人それぞれ違うということである。いわゆるアーティストという人たちは、表現することを最も大事にしている。つまりアートそのものを目的としている。一方、私のようなビジネスマンは、課題とそれに対する解決策を最も大事にしている。つまりアートはあくまで思考するための1つの手段と捉えている。

プロジェクト中は、この2つは対立軸のようになっていた。ビジネスだと、進捗や相手へのメリットを考えてしまうため、それ今考える必要ある?それやることにどういう意味あるんだっけ?ということを常に感じていた。一方、アーティスト目線だと、それって面白いの?進捗も大事だけど、もっと逸脱したことやろうよっていうことを感じていたと思う。

ビジネスとアートは結ばれるのか?

ビジネスとアートが交わらない理由の1つが、このようにアートに対して共通認識が醸成されていないことだと思う。多様なチームをつくるとき、共通認識の醸成は、成功への鍵となる。

マッキンゼーはコンサルティング会社ですが、医学や物理学、哲学などのPh.D.(博士水準の学位)が在籍していたのです。社内にそれだけ多様な人材がいると、ひとつの問題に対して複数の視点を持てるようになります。専門性がバラバラだと議論がまとまらないように思われるかもしれませんが、マッキンゼーでは議論を整理するためのフレームワークを使っていたため、議論の幅を広げながら、建設的な結論を導き出すこともできていました。

アートという言葉が持っている範囲は我々が思っているよりも遥かに広い。ITがわからない人が、システムエンジニア*と聞くとなんでもプログラミングできると思ってしまうが、特定の言語を得意にしている人やインフラ・サーバ側の有識者など、細分化すれば全く異なる領域になることもある。

アートも同じ。アートといっても、何百億とする作品から地域芸術祭、ジャンルから用途、在り方まで多岐に渡る。"アート"いう言葉だけでは会話がかみ合わない。そして、アートの厄介なところは、ロジカルにカテゴライズされないところ、フレームワークに収まらないところだ。フレームワークから逸脱して、新しい価値をみつけるところに、アートの特性があるからだ。

では、どうすればよいのか?画期的なアイデアは正直ない。現時点の私の考えはこうだ。

ロジカルシンキングもアートシンキングの両方を適切なタイミングで使い分けることは、個人レベルでは可能ではないか?そして、アートシンキングは、鑑賞だけでなく製作をすることで身につくのではないか?

4月から本格的に製作に着手する。ビジネスとアートを結びつける要素を1つでも見つけていきたい。

参考文献:直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

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