現代アート×アライグマ??ドイツのアーティストと山内光枝さん
こんにちは、アーツトンネルのタカキです。
「出会い」は予兆とともに唐突に訪れます。今年5月に開催したアキバコ展に山内光枝さんが来てくれました。
アライグマ??
山内光枝さんとの出会い
山内光枝さんは国内外で作品を制作・発表している現代アート作家。2023年7月から福岡アジア美術館で開催される「水のアジア」という展覧会にも、海外のアーティストとともに、日本の作家の一人として出展していました。
そんな山内さんにこんな山奥までわざわざ来ていただいてありがたいなあ、と思っていたところ、こんなことを尋ねられたのです。
「この辺って、アライグマは居ますか?」
「アライグマですか?」
びっくりして聞き返してしまいましたが、その理由を聞くと、とても興味深いものでした。
ドイツで活動するヘレーネさんというアーティストが作品制作のために、日本にやってくる
その作品は、日本におけるアライグマと人間の関係をテーマにしたもの
今年9月からアライグマと関わる地域や人物を取材し、作品を制作していく
このプロジェクトにおける日本での取材や通訳などを山内さんが行う
だが、山内さんは福岡県内に住んでいるものの、アライグマを見たことがない
それで、僕たちにアライグマについて尋ねてくれたのです。
アーツトンネルのメンバーにとって、アライグマはとても身近な存在でした。
というのは、普段、福岡県の田川地域という田舎で暮らす僕らにとって、アライグマは、突然道路に出てきたり、農家の方が「アライグマにやられた」と話しているのを聞いたりしていて、生活の中にたまに出てくる存在だったのです。
僕らからそのことをお話すると、山内さんから「是非、協力してほしい」とお願いされました。
もちろん快諾(食い気味で)。そうしてアーツトンネルはこのプロジェクトに関わることになったのです。
ドイツからアーティストがやってきた
ドイツのアーティストHelene Kummer(ヘレーネさん)
9月に入り、ドイツのアーティストであるヘレーネさんと山内さんは福岡県田川市いいかねPaletteにやってきました。
ヘレーネさんは日本の文化に興味を持っていて、日本に留学した経験もありました。
アーティストとしての彼女は「自然をコントロールしようとする人間」と「コントロールできない自然」の関係をよく作品のテーマにしています。
今回、彼女が日本におけるアライグマと人間の関係をテーマに選んだのは、アニメ「あらいぐまラスカル」(以下「ラスカル」といいます。)がきっかけなのだそうです。
アライグマはラスカルというアニメの人気により、ペットとして日本に持ち込まれ、日本で繁殖しました。
しかし、今では、特定外来生物として、駆除の対象とされています。
そのことを知ったヘレーネは、日本で直接、アライグマに関わる人達の取材をし、映像作品にしたいと考えたそうです。
山内光枝さんの作品について
このプロジェクトでヘレーネさんの取材のパートナーとなった山内さんの作品には「現場の声」を映像に落とし込んだものがあります。
「現場の声」や「当事者の声」を聞くことで、物や人や景色は、いつもと違って見える。
山内さんの作品の素晴らしさはそこにあり、それらの作品は、山内さんの「取材力」によるものだと僕は考えています。
このプロジェクトは、ヘレーネさんと山内さんのコラボレーションによる作品制作。取材の調整やその制作過程に関われるのは、本当に貴重な経験でした。
そして、今回、アーツトンネルがある「いいかねPalette」は福岡県内でのアライグマ取材における二人の拠点となりました。
アライグマに関わる人達への取材
今回、山内さんから人物の紹介と取材の調整をお願いされ、僕は以前の勤務先の害獣駆除担当者と帆足さんという知人にアポを取り、帆足さんの取材に同行させていただきました。
農家であり、写真家である帆足昌平さん
帆足さんは、いいかねPaletteから車で15分ほどのところにある大任町の農家さんであり、炭坑の写真を撮影していた写真家でもあります。
アライグマと帆足さんの関係については、帆足さんの倉庫にアライグマが入って繁殖していたことがあるそうで、ワナをしかけたり、役所に相談したりしていました。
取材は、帆足さんのお家と畑、そして田んぼで行われました。
なんとアライグマは、ジャンボタニシを捕食するために、田んぼに入っていることがあるそう。そして、みんなで田んぼに行くと、実際にアライグマの足跡を発見しました。
僕は一緒に回っただけでしたが、とてもおもしろい取材で、本当に勉強になりました。
作品は来年公開される予定
いいかねPaletteを拠点にした福岡県内の取材の終わりころ、ヘレーネと山内さんが懇親会を開いてくれました。
その懇親会には、アーツトンネルのメンバー以外にも、いいかねPaletteのスタッフや長期滞在の方達も参加し、ヘレーネさんが調理した美味しいドイツ料理を、みんなでいただきました。
ヘレーネの作品は来年、ドイツと日本で発表されるとのこと。とても楽しみです。
今回、アーツトンネルとして、アーティストの作品制作を支援することができて、本当にいい経験になりました。
そして、最近、山内さんだけでなく、他のアーティストの方からも、筑豊でのアート関連のことを訊ねてくれたり、相談してくれることが増えてきました。
アーツトンネルとして、本当にありがたいことで、嬉しい限りです。今後も、活動を続けて、もっとみなさんに知っていただけたらと思っています。
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