見出し画像

カール・アンドレとミニマル・アート

Carl Andreとミニマル・アート

カール・アンドレ(Carl Andre,1935- /American minimalist artist /詩人)

ミニマルスティック(Minimal stick)な彫刻やインスタレーションは、彫刻の形態や空間の認識に新たな知覚をもたらす挑戦として現代美術の歴史に名を刻む存在である。
鉄や木材といった、身近にあり、そして工業製品にもなりうる素材を幾何学的に組み合わせて作られたアンドレの立体作品は、工業化の発展がもたらした大量生産・大量消費のシステムに対するアートからの応答であり、ドナルド・ジャッドダン・フレイヴィン等の作品とともにミニマリズム、ポスト・ミニマリズムへと移行するアートのダイナミズムの担い手であった。

画像1

画像2

画像3

画像4

by Carl Andre

略歴とアートワーク

1935年、マサチューセッツ州生まれる。その後、ハイオ州ケニオン大学中退。そして、クインシーで働き、ノースキャロライナで兵役を終えた。
1957年、芸術に打ち込むため、ニューヨークに移る。
その1950年代、木を組み合わせた立体作品を制作している。この時、コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuşi, 1876-1957/ルーマニア出身の20世紀を代表するミニマル・アートの彫刻家)の影響を受けている。

1958-59年、フランク・ステラ(Frank Stella, 1936- /アメリカの画家・彫刻家。戦後アメリカの抽象絵画/彫刻家)とアトリエを共有し、当時のステラの直線や単色などの最小限に純化された、例えば、Black paintingなどの画面構成に影響を受ける。

1960年初めは、アンドレは彫刻をほとんど制作していない。

1960年初めは、アンドレは彫刻をほとんど制作していない。それは、彼はペンシルバニア鉄道で鉄道員として働き、三次元アートを制作するためのスペースもお金もなかったのだ。この時期、アンドレが「構成主義」を探求し続けたのは、彫刻ではなく、言葉とテキストによるものだった。

画像8

画像9

by Carl Andre

構造としての彫刻への流れを追う

1966年、耐火レンガをつなげて床に1列に置いた「Lever」を発表。構造としての彫刻への流れを追う。

画像10

Lever- 1966

この辺りから、素材をダイレクトに床に並べるロジックを取るようになる。いわゆるマテリアル(素材)の単純化を追っている。

アンドレの作品は、常に展示される空間を考慮して、現場で構想されており、展示空間のサイズ、採光などと関連を持ったインスタレーション的なミニマル・アートだ。
彫刻のプロセス(加工)を行わずに、素材の配置によっての彫刻の定義は、ミニマル・アートに於ける彫刻の本質の定義づけを行った。

1969年に開催された歴史的な展覧会「When Attitudes Become Form」(態度がかたちになるとき) -クンストハレ・ベルン、また、「Anti-illusion」(アンチ・イリュージョン)-ホイットニー美術館、そのどちらにも出品作家として名を残すアンドレは、60年代末の美術のもっとも先鋭な問題意識を体現する存在だった。 

2020年のTARONASUの展示

2020年のTARONASU(アート ギャラリー/港区六本木6丁目6−9 ピラミデビル4F)の展示では、「void」(空間・虚空)と呼ばれる、配置の中央に空白を残した鋼鉄製板の床置作品を中心に、素材である木材の存在をむき出しのまま投げ出す様相の作品群だ。
また、展示物には、言語の意味を意図的に解釈不能にすることで文字組が見せる、そして、形態の空間性を主題にすえるコンクリート・ポエトリー・ドローイングを並べている。
色彩や意味、背景となる物語といった「余剰」を徹底的に排除し、鑑賞者の知覚を通して物質と世界を直接的に接続しする試みだろう。

画像5

画像6

画像7

by Carl Andre

画像12

Carl Andre

アーティストの感性には、年齢はないと言うことだろう。

#ミニマル・アート #カール・アンドレ #現代アート

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?