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(今日のART)ヘレン・ランドバーグのアイリスの意味


ヘレン・ランドバーグ(Helen Lundeberg)のアイリスの意味を考える。 ヘレン・ランドバーグ(Helen Lundeberg,1908–1999/アメリカの画家)

アイリス、(センチネル)、1936

Irises, (The Sentinels),
by Helen Lundeberg-1936
キャンバスに油彩
30x25インチ

アイリス(センチネル)
ヘレン・ランドバーグは、この作品は、生と死のテーマに取り組んでいる。2つの鮮やかな紫色の菖蒲は、遠くにそびえる山々に対して、規模が記念碑的であり、それらの位置と身長は、ほとんど生命感がない、空の砂漠の風景としての番人様相の役割を示唆しているのだろうか。ランデバーグの植物学への学識は、葉の静脈の精巧な詳細と曲がりくねった形状で実に明白だ。
しおれた茎とその根元に覆われた枯れ葉は、見る人に生命の希薄な性質を想起させる。(日本画にもある、虫食いの跡や枯葉の存在と同様だろう)
また、アイリスは女性の魂を冥界に運んだ神話のギリシャの女神であるため、アイリスの花は象徴的に死と結びつけているのだろう。
主題と設定の夢のような、超越的な性質は、ジョージア・オキーフの影響を示唆すると言われる。

そして、もう少し付け加えるなら、アイリスのバックに、描かれている山脈は、パサデナのアーチ型のコンクリート・コロラド・ストリートブリッジ(1912年-R66の橋梁だが、自殺の多い橋とも)によって遮られた峡谷であるアロヨセコを支配していることを示唆していると言われる。
この特定の地理は、1950年代にハードエッジの作品スタイルにパラダイムシフトした時も、その後も、彼女のアート・キャリアを通じて他の絵画で際立って特徴的だろう・・・

アイリス、(センチネル)、1936のコピー

ヘレン・ランドバーグの絵画は、誰にでも、読み取りやすい画風(物語性)に配置された「認識可能な記号」を通して、作品への合理的な理解を深めるように視聴者を誘う工夫が、所々に見えるのだ。

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Helen Lundeberg  

アートワークの概要 -Helen Lundeberg                    ヘレン・ランドバーグ(Helen Lundeberg)の夫であるローサー・フェイテルソン(Lorser Feitelson,1898–1978/カリフォルニアの画家)と共に、この二人は、*ポストシュルレアリスム運動(知覚と概念の関係を伝えるアート)を確立したと言われる。(註)*ポストシュルレアリスム:ただ、シュルレアリスムは現在形でもあるのだ。
ヘレン・ランドバーグは、絵画「植物と動物のアナロジー(類推)」を事例研究と理想として使用して、新古典主義のマニフェストを作成している。ポストシュルレアリスムは、ヨーロッパでのシュルレアリスムに対するUSでの最初の求心的な反応かも知れない。

アートワークの視点から、ヘレン・ランドバーグの芸術的なスタイルは、彼女のキャリアの過程で変化し、社会的リアリズムと*主観的古典主義、そして、ポストシュルレアリスム(主観的古典主義のキーワード)、ハードエッジ絵画(色彩領域間でハードな変化)、様々に解釈されてきた。   (註)*主観的古典主義:体系化された理論に拠らず、主観や印象を重視するスタイル/また、ジル・ドゥルーズと生成変化の理論

次回は、芸術的な橋梁であるコロラド・ストリートブリッジのご紹介の予定です。お時間の許す折に・・


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