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I'm not alone.①出発編

 まるでエヴァンゲリオンの映画の副題のような、ちょっとこっぱずかしい題を掲げこれから綴ろうという名の文章は例によってひとりぷらっと出掛けた旅の記録なわけですが、みなさんどうですか。

 読み終わったあと、ちょっとでもこのタイトルが腑に落ちてくれるといいなと思います。

*

 2023年11月17日金曜日の19時頃、自分の暮らす静岡市を出発。
 当初は深夜に出発の予定だったが、諸々が幸いしたので、さっさと出掛けることに。
 目指すは長野県千曲市―X(以下Twitter)で仲良くなった人(いつき氏という)と初めて会う約束を取り付けたため。

 東名高速・清水JCTから北上し、中部横断道をひた走る。
 実はこの日、中部横断道の一部区間が工事のために夜間通行止めとなる予定で、その時間帯の前に通過できたのも早めに出発できて良かった点。
 中部横断道が開通してから数年、だいぶ道の感じにも慣れてきた。ほんと山梨・長野へのアクセスがラクになったなぁ。
 難なく中央道に合流。

 ところで、今月(11月)に入ってから急激に怪談にハマり、日頃よりYouTubeで四六時中聞いているというあまり健全ではない日々を過ごしているわけですが、この日もその例外に漏れず、怪談を車内に垂れ流していた。
 この旅の前の週にも家族旅行で長距離運転をし、その時もワイフの了承を得た上で怪談を聞きながら走っていたわけだが、同乗者がいれば「恐いねぇ…」と感想を共有したり、茶化したりして恐怖をいくらか緩和できる。
 しかしひとりきりだと、その恐怖がひたすら自分の中に蓄積され、むしろ膨張していくばかり。
 バックミラーに何か映っていないか、気になって仕方がない。

 閑話休題―ほぼノンストップで2時間ほど走り、長野県の諏訪湖SAに停車。
 時刻は21時半、休憩の目的だけではなく、今年の初夏よりTwitterの「スペース」という通話機能を用いて毎週金曜日の夜22時にやっているラジオ的コンテンツ『金曜らじお』をひらくため、このSAに車を停めたわけである。

 8月に東北を旅した際も、旅程の途中に金曜日があり、車内からラジオをやったことがある。
 毎週欠かさずやってると、まあ時にはそんなこともある。リスナーがすぐ隣にいる状態で、街のど真ん中にあるベンチでやったこともある。
 なんせスマホさえあればどこでもできる気軽さ―かえってイレギュラーな状況は、その醍醐味とも言えるわけです。

 ラジオを1時間ほどやって、そのままSAのフードコートで遅めの夕食。

 遅い時間でもちゃんとメシの食える場所が開いているとなると、わりと大きめのサービスエリアの他にない。それも諏訪湖SAに停車した理由のひとつであります。

 『山賊シビカラらーめん』。
 山椒系のちょっと辛いスープに、長野名物の「山賊焼き」(鶏の唐揚げのすごいやつ)が乗っかっている。

 ちなみに、今年の7月に長野を訪れた際も、仮眠したPAにて朝から山賊焼きを食ったのだった。

 上の投稿は当時のもので、おそらくこの時初めてクチにしたと思うのだが、まあ大変気に入ってしまった。
 ただし、いかんせん胃に強烈なインパクトをもたらす食い物であることには違いなく、前回もかなりあとまで身体の内に存在感を発揮していたという苦い思い出のある―かといって、その土地でしか食えないものをみすみす食わないという名の選択肢は、あいにく俺の辞書には存在しないわけですが、今回のこのラーメンのトッピング程度の量ってのが、「山賊焼き」を食いたい欲も満たしてくれるし、そこまで身体に負担もないしで、非常にちょうどよかったということをここに申し添えておく。

 さて食後、諏訪湖SAを出てすぐ、岡谷JCTで長野道へ。
 松本ICを過ぎ、梓川SAに停車。
 著名な長野銘菓であり、自身も大好物である『雷鳥の里』を、手土産用と自宅用に買い込む。

 奇特な読者であれば、「まだ目的地に着いてもないのに、なぜここで土産を?」と思われるかもしれない。
 土産とは往々にして、その土地を離れる直前に調達するものであるわけだから、そう思われるのも無理はない。
 ひとりでもいい―誰か、そんな疑問を抱いてほしいものである。

 翌日の土曜日は、目的のいつき氏の案内でもって長野を観光する予定になっていたので、その道中で土産などいくらでも買えるだろうし、また現地の人のオススメを聞くことで、土産のさらなる高みを目指せるかもしれない。

 不思議なものだが、実はこの時―もしかすると、翌日の行程の中に、いわゆる長野土産を買えるような場所に立ち寄らないのではないか?という予感があった。
 『雷鳥の里』ほどポピュラーな土産であればどこでも買えそうではあるが、なにぶん自分にとって不案内な土地である―欲しいと思ったときに、容易に入手出来るとは限らない。
 まあ好物である『雷鳥の里』を自宅用に買って帰るのはマストだし、他に良いものが見つかればそれを手土産に回せばいい―そんなことを思いながら、あたかもノルマをこなすかのように、必要な分だけ『雷鳥の里』を確保したわけであります。

 こうして書くと自分でもどこか「後付け」のようにも思えるが、件の予感は確かにあって―結果として、その予感は的中することとなる。

 梓川SAを出て20分ほど、筑北PAで仮眠。


 次回へつづく。

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