絵空伝《4》
〜カレー日和〜
検索すれば解らないことがないと思える程の時代になっても予測まではしてくれない。そして、検索結果から答えを予測してしまうプログラムの開発が進んでいた。
博士:これが開発中の予測プログラムだ。
まだ非公開のものだが、キミには特別に紹介しよう。
記者:予測プログラム…ですか?これまでもあったように思いますが。
博士:その通り。言語における予測変換は既に普及している。
また、地震などの予知に関する研究も進んでいるところです。
記者:では、このプログラムでは何を予測するのですか?
博士:そう。
このプログラムは人があまり関心を持たないことも予測します。
記者:はぁ。具体的に言いますと?
博士:たとえば…まぁ、関心を持たないことは想像することすら難しい。
しかし、関心のないことにも無関心なプログラムで処理させる。
そうだな。たとえば「カレー」をインプットしてみよう。
記者:カレーは好きですよ。無関心と言うより関心があります。
博士:まぁ、見ていてください。
博士がキーワードを入力し計算を開始すると画面には計算される項目が次々に表示された。
・前回カレーを食べた時期
・具材:原産地・品種・栽培方法・生産者・鮮度・カロリー
・メニュー及びサイドメニューの栄養バランス
・スーパーの特売日(距離によって交通費を試算・スケジュールの調整)
・食材の在庫
・何食分作るのか
・味付けと嗜好
・健康管理データとの照合
記者:おぉ…これはすごいですね。
博士:そうでしょう?関心のない部分とは不必要なことではなく無意識の意識とでも言うべきでしょう。私たちが無意識のうちに計算していることなので意識的に計算することは難しい部分まで計算してくれるわけです。
このようにキーワードをインプットするだけでカレーとは何なのか、ご飯なのかうどんなのか、或いはナンなのか…と計算を始めます。人間は無意識のうちにこれらの計算をしているわけです。実際には複雑で膨大な計算をしますから最終的には結果のみが表示されることになります。
結果が出ましたね。
「最適なカレーの食べ時:昨日」
記者:…予測するタイミングを予測する必要がありそうですね。
博士:うむ…カレーだけにナンがあるくらいでちょうどいい。
… ART 頼風 …
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