名門コルシーニ家のプライベート庭園で催される職人展示会- Artigianato Palazzo :後編
今回も、前回に引き続き職人展示会の様子をご案内します。後編です。
出展された職人さんたち訪問
初参加であり、今回の展示会の王子様(主人公)は、フィレンツェ郊外はペッシャ街にある、製紙会社「エンリコ・マニャーニ・ペッシャ(Enrico Magnani Pescia」。
1481年創業の、一度は廃墟化した製紙工場を、数年かけて改装し、よやく完成。今回のコルシーニ職人展示会が、初仕事。スタッフが、全員若い!
こちらは紙を漉いている動画です。
植物繊維ではなく、コットンを使います。
西洋の書道、カリグラフィーが実演されていました。こんな美しい文字が書けて羨ましい。吸い込まれるように見ていると、居合わせたおばさまが、「昔は学校でこの書体を習わせられたの、懐かしいわ。いまの子供達は携帯で文字を打つばかりで、ペンで文字を書くことがないのが、残念。」と話されていました。
ふと気がつくと、今年の展示会パンフレットのカバーも、例外的に彼らの紙が使用されていました。なんとも心憎い演出。
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フィレンツェで活躍する日本女性マリさんと旦那様ジュリアーノさんも出展されていました。
マリさんは繊細なジュエリーを、ジュリアーノさんは、立体的なオブジェなど個性的な作品を製作されています。フィレンツェの中心街に工房がありますよ!
Mari Yoshida e Giuliano Foglia
Borgo Ognissanti 72r Firenze
フィレンツェ市オーニサンティ72番地(赤番号)
マリさんの作品
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エッチング工房。ジャンニさんとフランチェスカさんのご夫妻に、新たに息子さんのドゥッチョさんが加わり、家族で経営しています。
クーポラの見えるフィレンツェの風景。印刷するので、裏面を彫り込む緻密な作業。1枚づつ手作業でプレスにかけて印刷し、水彩で着色します。
絵として販売するだけでなく、息子さんはクッション柄にしたり、バッグ柄にしたりと、イノヴェーション進行中。
モノクロはすでに完成しているけど、着色する場合は、緑か、赤か、どちらの色にするか決めかねている、試行錯誤の途中。
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織物修復工房。
クッション修復の実演をしていました。
捨てずに修復をして生き返えらせます。ゴブラン織り(つづれ織り)、タペストリー(織物の壁掛け)、絨毯、洋服等、布と糸で作られた、ありとあらゆるものを修復します。
メディチ家出身のカテリーナ・メデイチ(カトリーヌ・ド・メディシス)がヴァァロワ朝第10代のフランス王アンリ2世の元へ嫁ぎましたが、そのときに作らせたゴブラン織りのタペストリーの何枚かも、修復したようです。
そのときの修復がどんなに心踊り、幸せな時間だったか、目を輝かせて語ってくれたのが、印象的でした。ちなみに、ゴブラン織りの修復所は、フィレンツェの市庁舎であるヴェッキオ宮殿内にあるんですよ。
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自転車修復。
納屋に置き去りになっている、使えなくなった古い自転車を、パーツごとにバラバラにして、塗装をして、組み立て直して、その年代に合わせたスタイルで、息を吹き返らせられた自転車は、新品みたい。
イタリアはロードバイク人口が多いから、こういう需要もありなんですね。
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籐籠編みも、トスカーナの大切な伝統文化。ヤナギ、オリーブ、ニレ、イボタノキ、ミズキ、カエデ、トリネコ等の枝を使って編んでいきます。
わたしの実家では、母がアケビの蔓で籠を編んでいたのを思い出す作業風景。懐かしい。
訪問者に見らても、写真を撮られても、まったく動じず。おしゃべりをしながらも、せっせと手を動かし、普段通りの自分たちの世界を作っていた、籐籠編みの職人さん達。なんとも和む雰囲気でした。
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「ローマの休日」で有名なイタリアのスクーター「ヴェスパ」。リミテッドエディション(限定販売)。細かな部分までデザインされた、仕立て屋のような、ニッチな革工房の作品。
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ヴァイオリン製作工房。イタリア語で「リュタイオ」と呼びます。
6世紀頃から18世紀半ばまでの、中世からバロック時代にかけて12世紀も続いた、弦を弾く古楽器を総してリュートと呼びます。このリュートが語源になっている、リュタイオ。
婉曲の部分も、手で彫るんですね、やっぱり。
リュタイオの歴史は古い。ヴァイオリンに引き継がれ、いまも脈々と生きている職人の仕事。カーブや、厚みでも、音が変わるらしい、奥の深い、ヴァイオリン製作。
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機織りで作られるストール。夏は麻&コットン。冬はウール。しっとりした重さがあり、手触りが柔らかくて、美しい織り目、自然染色の温い色合い。
トスカーナに小さなアトリエを持ち、そこでひとり、トントンカラリ、トンカラリと織っているそうです。
工房にはもっと品揃いがあるようなので、今度行ってこようかと。
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ヴァイオリン工房やストール工房が出店していた、この部屋。間接照明のみで、ちょっと暗めだけど、そこがまたいい感じ。かつては厩舎だったところです。
馬さんがここに居たんですね。教会の柱みたいな円柱が均等に配置され、こっくりした飴色の木製の仕切りがあって、独特なすごく素敵な空間でした。
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越冬させるためにレモンを引っ越しさせる建物をリモナイアと呼びますが、庭園には、4棟あり、メインの展示会場になっています。
彫刻がところどころに置かれた、美しいルネッサンス庭園のなかを歩きながら、リモナイアを訪れる優雅な時間と、そこに映える職人の作品。素晴らしいです。
カタログを改めて開いてみると、今回はニューエントリーが多かったこともあり、こんなのもあったのか。これもおもしろそう。と、興味ある職人さんで、素通りしたところがたくさんあった。来年も同じ規模で開催されるなら、時間を作って二日間は行こうかな。と、ひとり反省してみた。
来年は5月か、9月か、発表されてないから、まだわからないけど、もしフィレンツェに来られることがあり、タイミングがあえば、ぜひお立ち寄りを!
コルシーニ家主催の職人展示会
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