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名門コルシーニ家のプライベート庭園で催される職人展示会- Artigianato Palazzo :前編

今年で27回目。いつもは5月だけど、2020年と2021年は、9月にづらして開催。

庭園での開催なので、屋外ということもあるけど、延期やキャンセルせざるをえないこの状況下で、開催すること自体が、すごい。

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展示会を決行するにあたり、いつもの倍のエネルギーが必要だったのではないかしら。コルシーニ家の真剣さ、集まった職人の「想い」に、心からの敬意を表します。

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今年は庭園のほかに、屋敷の一部も開放しており、規模が大きくなっていました。2時間くらいで見終わるだろうと目論んでいたのに、結局、5時間くらいはいたかも。

出展する職人も、フィレンツェに限らず、イタリアの北から南まで84工房が揃いました。

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そもそも、コルシーニ家とは、どのくらい名家なんでしょう。

ホストとなるコルシーニ家は、約1000年(!)も続いている、ヨーロッパ貴族のなかでも最も歴史ある一族のひとつです。

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この長い、ながい、歴史のなかで、フィレンツェにおいてはメディチ財閥の重役となり、ローマでは聖職者を輩出し、さらには、ローマ教皇にまで登りつめた人物もいます。

みなさん、ローマのトレビの泉はご存知でしょうか?

ロレンツォ・コルシーニ、あらため、クレメンス12世。1730年から10年ほど在位する、このコルシーニ家出身のローマ教皇が、あのトレビの泉を建設したんです。

トレビの泉は、
わたしたちの先祖が作ったんですよ。

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と言えるって、すごくないですか! 
びっくりです。

コルシーニ家のHPより。
中央上の家紋は、
もちろんコルシーニ家紋。

観光で訪れる歴史的モニュメントは、そこで見たらお終いだけど、コルシーニ家にとっては、歴史は一族の一部であり、「過去」が「現在」と繋がっているんですね。

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蚊帳の外のわたしですら、次回にトレビの泉を訪れるときは、コルシーニ家が建てたのか。と、同じモニュメントを見るのでも、印象が違うはず。

歴史を知ると、点が線として繋がるのが面白い。やっぱり歴史は面白い。

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フィレンツェに息づく貴族社会

今回、コルシーニ家を調べるに当たり、見つけたサイト。フィレンツェの国立図書館のデータベース。

フィレンツェを含むトスカーナ州だけで、家紋を持つ一族は7965家あるらしい。

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断絶した一族も含まれているけど、それにしても、すごい数。

現在まで継承されている名家をざっと思いつくままに挙げても、コルシーニ家をはじめ、アンティノーリ家、フレスコバルディ家、カッポーニ家、プッチ家、トリジャーニ家、グッチャルディーニ家、リカーゾリ家、ちゃんと調べれば、まだまだあるはず。

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現在は、ワイナリーやファッションの分野で活躍している一族が多いです。コルシーニ家もワイナリーを所有していますが、アート分野に、とても力を注いでいるのが特徴です。

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職人展示会と国際骨董展示会

招待者だけが入れるのはなく、1000円ほど払えば誰でも入場できて、本物の素晴らしい技術や作品を間近に見ることができ、職人達を知ることができる。

そういう環境を、コルシーニ家のような名門家がオーガナイズして、一般公開するところに、イタリアの底力を感じます。

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国際骨董展示
毎年開催される職人展のほかに、2年に1度、開催される国際骨董展示があります。サザビーズのオークションのリストに載っても不思議はないほどの、秀逸の骨董品が集められた国際展示会です。

前回の展示会では、ウフィツィ美術館も何点か購入し、コレクション入りしたようです。どれだけ素晴らしい展示会か、なんとなくお分り頂けたでしょうか?

今年開催の予定でしたが、延期になり2022年9月予定。こちらは、フィレンツェ中心街にある、コルシーニ家のもう1軒のアルノ川沿いの邸宅内で開催されます。19年度の入場料は15ユーロでした。6歳までのお子様は無料。オススメです。

美術館の館長さんの「家庭のレシピ」試食会

美術館の館長さんと「家庭のレシピ」のアンバランスもすごいけど、セレクトされた美術館も錚々(そうそう)たるもの。

ローマのボルゲーゼ美術館、モデナのエステンセ美術館、ミラノのブレラ美術館。それぞれの館長が招待され、「家庭のレシピ」をお披露目しました。

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わたしが訪れた日は、トスカーナ州美術館統括の責任者ステファノ・カシュー氏の「家庭のレシピ」。

それは、ストゥルーデル。北イタリアのりんごパイでした。子供の頃から甘いものが好きで、ねだっても、ご両親がなかなか買ってくれなくて、ご自身でお菓子作るようになったそうです(笑)。

館長さんというと、威厳があり、難しい話ししか、しなさそうな、勝手なイメージを持っていましたが、カシュー氏は、長身でインテリジェンスに溢れ、ユーモアもある、魅力的なイタリアン男性でした。

アドリブでエプロンをかけられて、生地を練って実演しながらも、美術館の話をするという、異次元的な取り合わせが面白く、楽しかったです。参加してよかった。

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訪問した日は雨模様でした。
雨に濡れて、
色が鮮やかな赤い実と葉っぱ。

料理担当は、フランスが本校のフィレンツェ支店の料理学校ル・コルドン・ブルー。お皿はフォルナセッティを使用。フォルナセッティは1皿、150ユーロくらい。

そんな高価なお皿で提供される試食は、絵画が描かれたお部屋の、白いテーブルクロスのかけられたテーブルと思われるでしょう。

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ところが、簡易テントが張られ、木製の椅子をバラっと置いただけの、すごくシンプルな屋外会場。

プラスチックではなく、本物のフォークを出された時には、さすが!と驚き、フォルナセッティの本物のお皿にりんごパイが載せられてきたときには、仰け反りました。

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落として割られたら、とか、盗まれたら、とか、そんな考えは「なし」なんですね。

こういうのを「品格」と言うのでしょうか。敵わないですね。シャッポを脱ぐ(降参する)気持ちになりました。

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後半では、出展された職人さん達の展示をご案内します。最後まで読んで下さいまして、ありがとうございます!!

↓ 後編はこちらになります ↓



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